人権教育(岩間健一先生) ~外部講師講演・国立ハンセン病資料館及び多磨全生園見学実習~

先日ご紹介した人権教育の東京都人権プラザについての授業紹介はいかがでしたか。

今回は「ハンセン病と人権課題を学ぶ」をテーマにした授業を紹介します。

5月13日、5月27日に佐久間建先生をお招きし授業内で特別講義をしていただきました。

佐久間建先生はハンセン病人権学習に取り組まれてこられた元小学校教諭で、ハンセン病市民学会教育部会世話人、ハンセン病に関わる偏見差別の解消のための施策検討会委員もされています。

5月13日の講義では、「ハンセン病問題と教育の現在」「ハンセン病の子どもたちの状況」を中心に講義をしていただきました。

5月19日には、実際に国立ハンセン病資料館・多磨全生園を見学に行き、DVDを視聴したり、ハンセン病体験講話を伺ったり、施設を見学したりすることで13日の講義内容をさらに深く理解することが出来る貴重な実習となりました。

5月27日は「ハンセン病人権学習で大切にしたい10の視点」をテーマに、再度大学にて佐久間先生に講義をしていただきました。

1.授業を担う教員が、一人の人間として「ハンセン病」に出会う

2.ハンセン病問題との出会い(導入)の授業では、子ども達が知りたい、学びたい、学ぶ価値があると思えるように資料や活動を工夫する

3.問題解決的な学習過程を工夫する

4,ハンセン病を正しく理解することによって、ハンセン病への差別・偏見の不合理さや非科学性に気づかせる

5.人物との出会いを大切にし、人物の心情や生きる姿に共感しながら学ぶことを大切にする

6.当事者の過酷な「被害体験」とともに、被差別の状況でも尊厳をもって生きた「抵抗体験」を取り上げる

7.学習する児童生徒と同年代の「ハンセン病の子ども」を取り上げる

8.児童生徒の発達段階を考慮して教材を作る

9.学んだことを表現し、発表・発信する活動を大切にする

10.「ハンセン病問題から」学び、さまざまな人権課題へと発展する学習や自己の生き方を考える学習へと高めていく

「ハンセン病問題とは何か?」講義に加え、実際に資料館や全生園に足を運び、自分の目で見て考えて学び、そして自分が将来社会に出た時、教員になった時に、どのように人権課題と向き合っていくか、どのように人権教育を行っていくかまで学びを深める大変貴重な機会となりました。

———-学生からの感想———-

ハンセン病が完治する時代になったにも関わらず、日本のハンセン病患者に対する偏見がなくなっていないことに衝撃を受けました。正しくハンセン病を理解できるような教育を受けることが出来れば、偏見も差別も生まれないのにと思いました。なぜ偏見や差別的な意識が生まれるような教育課程になってしまったか考えてみました。

一つには単純な人権教育に対する意識の低さ、重要さの欠如があると思います。ハンセン病問題だけでなく、人権を考える機会が教育面でとても少ないと感じています。私が小中高で受けてきた人権教育は、世の中にある人権的問題の紹介、そしてそれを解決しなければならない・・・のように受動的で、人権について考えて意見したことはありませんでした。児童生徒が積極的に参加し、意見しあえる人権教育の授業が大事だということを学びました。

治らない病に人々は良くも悪くも関心が高まります。しかし、完治すると分かった途端、人々は当事者意識を失い、情報を入れることをやめます。だからこそ、教わっていない、知らない世代が、「知らない病」として恐怖心や偏見を抱くのではないかなと思いました。子どもに差別や感染症について伝えるときには、正しい知識を持ってもらえるように子ども自身が考え学ぼうとするような伝え方が必要だと分かりました。

 

 

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