2010年3月

国際化 [2010年03月23日(火)]

 ハーバード初の女性学長のファウスト博士が来日された。前任のサマーズ学長の「女性は科学者に向かない」という発言が物議をかもした時に私もガバメントスクールの研究員として滞在していただけに「ついにハーバードも」と感慨深い。(ちなみにMITも女性学長である)彼女は歴史学者で南北戦争の専門家である。就任後初めての来日で昨年秋からスーザン・ファー氏やアンドリュウ・ゴードン氏が準備に心を砕いていた。

 

(写真はボストン昭和女子大学)

 15日の昼食は国際文化会館で京大、早稲田、慶応などの学長や関係者が集まる40人余の会でほとんど顔見知りだったが、16日夜はホテルオークラで360人以上の大夕食会で、思いがけない人にあい、ハーバード人脈の大きさを実感した。ファウスト学長は、とても率直で力強くユーモアもあって素敵な女性である。彼女の話を聞いて改めて日本が国際社会でもハーバードでもすっかり影が薄くなっていることを感じた。何で日本の若者が留学を好まなくなっているのか。TOEICの点数も韓国中国よりリスニングは引けを取らないが読み書きが劣る。友人の鳥飼久美子さんも指摘しているが、語学力だけの問題ではないだろう。内向き日本といわれるが、何とか昭和女子大学から国際舞台で活躍する人材を一人でも二人でも育てたいものである。日本の総合力はエリートだけでなく中堅層も含めた人材の質で決まるが、今その層が弱くなっているだけに昭和女子大学の役割は大きいのではないかと思う。ハーバードの学生を夏のインターンに受け入れているのも刺激になって欲しい。

 先週、自己点検評価について外部委員の意見をうかがった。昭和女子大学は学寮研修にしろ、5修生制度にしろ、ボストンキャンパスにしろ、文化研究講座、女性教養講座、クラスアドバイザー制度なども含め、現在ほかの大学が遅ればせながら取り組んでいることを先駆けて実行している。しかし、その意義を教職員が、頭で理解しているが納得しておらず、したがって外へも自信をもってアピールできていないのではないかと反省する。私も来年度からは昭和女子大学の教育の特徴について内部に対しても、外部に対しても明確に打ち出していかねばと思う。

卒業式 [2010年03月19日(金)]

 今週は充実し、かつ忙しい日が続いたが、最大のイベントは16日の卒業式だった。
 大学にはいろんな行事があるが、卒業式は入学式と並んで最も重要な式典である。学生たちは大学院、学部、専攻科、短大それぞれの昭和女子大学での勉学を終えて、人生の新しいステージに踏み出す。わたしも自分でできるだけのことをして、卒業生を祝う気持ちを表そうと努めている

 その一つが学位記、修了証書を一人ひとりに手渡すことである。学生一人一人に「がんばったわね」という気持ちを込めてアイコンタクトをして「おめでとう」と言って渡している。午前1時間、午後1時間15分ほど立ちっぱなしとなるので足は疲れる。しかし、学生たちが目を合わせニッコリして受け取ってくれるとこちらの気持も明るくなる。
 もう一つは式辞である。卒業するときに学長がこんなことを言っていたなと思いだしてくれるような、心に届く言葉を贈りたいとわたしなりに心をこめて準備している。
 自分としてベストを尽くしていても誉めてくれる人はないのだが、今年はあるお母様が「今まで3人の子どもの卒業式に出ましたが、式辞で涙が出たのは初めてでした」と言ってくださった。そういえば昨年も大学院を卒業した人に何ヶ月か経って「私たちをこんなに大事に思ってくださるのだと感激しました」と言ってもらえた。(何年か前には「慣れていらっしゃるから時間どおりでしたね」と褒められて(?)がっかりしたこともあるが)

 卒業式の後、NPOで子育てボランテイアをしてくれた学生に感謝状贈呈。その後、ハーバードの学長のディナーに出席するため三軒茶屋に向かうが、駅に行く間も卒業生が「一緒に写真を」と言ってくれる。ロングスカートにスニーカーという珍妙なスタイルで記念写真。
 今回初めてガウンを着て式に出席したが、8時間近く着続けていると重くて肩がこるとはいえ、大学らしくていいかなと思う。学生たちは足元も姿勢もよく、立派に見えた。

両立力 [2010年03月12日(金)]

 昨日今日と春らしい陽気となったが、花粉は「非常に多い」らしく、マスクをしている人が目につく。

 今日3月12日は3月期入試。今年度最後の入試である。今年は新しい学科の開設はなかったが、昨年に比べ19.1%増と受験生が増えてうれしい。入学手続きをしてくださった合格者の割合も予想以上に高い。昭和女子大学が全員でよい教育をしようと取り組んでいることが少しずつ理解されている何よりの指標である。

 10日は終業式。1年を振り返る「反省と決意」の機会だと思うが、Time is flying、ぜひいい習慣を身につけて、どこへ出ても通用する女性になってほしいと願う。

 11日は大学院の院生の発表会。私のもとで博士号をとった社会人院生の渡辺さんが「人生が私に与える役割を果たした」と言っていたのが胸に響く。小森さんも修士から5年間勉強して満期退学。健闘を心から祈らずにはおれない。松島さんは「アメリカの女性労働の分析」という壮大な研究テーマに取り組む。縁あって、ともに勉強した人は格別の親しみを感じる。また教えるというより一緒に勉強することでこちらが学んでいると感じる。
 女性文化研究所で女性文化研究賞・奨励賞の選考委員会。最終候補作をどれにするか、大いに議論し時間があっという間に過ぎる。深くユニークな研究でなく社会にインパクトを与える作品を選びたいと願う。

 「両立力」という本の試し刷りが届く。仕事と家庭の両立に悩む女性の役に立てばよいのだが。