今年度も大学院附属の生活心理研究所が発行している研究紀要が発刊されました。
前回,2020年度心理学専攻修了生の三輪さんの掲載論文を紹介致しました。
▶【心理学専攻】2022年度 紀要論文紹介:母親の養育態度と娘が母親に向ける感情・認知の関連 ―思春期から青年期にかけての変化に注目して―
今回は,2020年度生活機構研究科生活機構学専攻を修了され博士(学術)を取得された修了生の木川智美さんにインタビューを行いました。
木川 智美・今城 周造 (2022). 日常生活における他者操作方略が操作者自身に及ぼす影響 ―年長者も含めた検討― 昭和女子大学生活心理研究所紀要,24,51-62.
木川さんは社会人経験を経て博士後期課程に進まれたご経験をお持ちです。同じようなキャリアをお考えの方に,博士後期課程における研究活動の紹介になれば幸いです💡
現在のお仕事を教えてください
この4月より短期大学の専任教員として心理学を教えています。
主に子どもの発達に関わる心理学やコミュニケーションの心理学を担当していますが、心理学は身近な学問であることから、多くの学生が興味を持ってくれています。
紀要論文の内容(研究テーマ)を教えてください
研究テーマである「他者操作」は、「諸個人が自らの意図の通りに、他者に何かをさせようとする際に用いる手段」のことです。
私たちは日常生活で人に何かを依頼したり、頼みごとをする際には、相手を従わせるために圧力をかけたり、あるいは騙したり、策を弄することもあれば、理由を説明するなど丁寧かつ熱心にお願いをすることもあります。
この他者操作方略の違いが、操作者自身や被操作者にどのような影響を及ぼすのかについて、今回の紀要論文を含め、一連の研究をいたしております。
研究テーマはどのようにして決めましたか?
紀要論文をはじめ、修士論文、博士論文など全ての学術論文に共通して言えることですが、やはり研究テーマには、新規性、独自性のようなものがもとめられます。
「他者操作」はすでに先行研究もあり、全く新しい概念ではありませんが、これまでの各心理学領域における研究を俯瞰し、新たに定義することで、社会心理学における対人的影響、説得コミュニケーション研究の領域に、進化心理学の視点を加えた新たな理論的枠組みを提唱し得るものとして、「他者操作」に決めました。
研究を行う上で大変だったこと,研究をして良かったと思うことは何ですか?
まず大変だったことは、研究は一朝一夕にその成果や結果を出せるものではなく、常日頃の積み重ねから成ること、そして研究の成果が学術論文として認められるには、その内容をアカデミックな俎上に載せて、専門の先生方の審査を経る必要があることです。
研究をして良かったことは、博士課程の研究は私に、これまで自分のいた世界、人生とは全く別の世界、景色を見せてくれたことです。
指導教員の今城周造先生からは、博士論文作成のためのご指導をいただいたことはもとより、先生ご自身の研究者、学者としてのお姿から非常に多くのことを学ばせていただきました。
最後にこれから大学院を目指す方に一言お願いします。
私自身は大学卒業後、一度社会に出て、社会人として働きながら博士課程を過ごしました。
昭和女子大学は社会人入試制度が充実しており、長期履修学生制度もあります。また各領域には、その専門分野で著名な先生方が数多くいらっしゃいます。
大学院に進学すると、アカデミックな世界で研究をしていくことになるわけですが、まず心理学に興味があり、大学院で研究をしたいという方は、昭和女子大学大学院に進学することをおすすめします。
(2020年度修了生 木川 智美)
社会人入試制度を含む大学院入試の詳細は以下の入試情報サイトをご覧ください。
▶大学院入試|昭和女子大学入試情報サイト