【生活機構学専攻】紀要論文紹介:心理劇におけるウォーミングアップ体験の検討―ウォーミングアップ効果、ドラマ体験、心理劇の効果との関係から―

大学院附属の生活心理研究所では,毎年度研究紀要を発刊しています。

今回,生活機構研究科心理学専攻(修士課程)を修了し生活機構学専攻(博士後期課程)に在学中の榎本 万里子さんが行った研究をまとめたものが掲載されました。

榎本 万里子・島谷 まき子(2023).心理劇におけるウォーミングアップ体験の検討―ウォーミングアップ効果、ドラマ体験、心理劇の効果との関係から― 生活心理研究所紀要,25, 19–30.

掲載に際し,榎本さんに紀要論文の内容や現在のお仕事についてインタビューしました。

榎本さんは他大学で演劇を専攻され、演劇を活かした心理療法である心理劇を研究するため博士後期課程まで進学されています💡


現在のお仕事を教えてください。
精神科クリニック大学の保健センターで働いています。
精神科クリニックでは、デイケアのグループの一つである復職支援グループ(リワークプログラム)を担当し、心理劇を実践しています。
大学の保健センターでは、学生や教職員へのメンタルヘルス相談(カウンセリング)を行っています。

 

紀要論文の内容(研究テーマ)を教えてください。
私は、現在、本学の博士課程に在籍しており、「心理劇の体験過程と効果」について研究しています。
心理劇は、ウォーミングアップドラマシェアリングの三段階があり、心理劇参加者はそれぞれの段階に特有の体験をしていると考えられます。
今回は、ウォーミングアップ段階に着目して、ウォーミングアップ体験ウォーミングアップ効果について検討しました。

 

研究テーマを決めた理由について教えてください。
元々、学部は他大学で演劇を専攻しており、俳優への心理的サポートや、役割を演じ表現することの心身への影響について関心がありました。
心理臨床の現場で実践されている心理劇の存在を知り、本学修士課程に進学して、心理劇シェアリングの重要性について実証的に研究を行いました。
現場に出てからも、心理劇を自身の研究や臨床実践の専門にしたいと思い、今回の紀要論文の執筆につながっています。
心理劇(サイコドラマ)は即興劇により,自発的にある役割を演じる効用を活用した集団心理[精神]療法の1つです。
研究を行う上で大変だったこと,研究をして良かったと思うことを教えてください。
調査期間中はちょうどコロナ禍にあり、グループの中止や参加者数の減少などの影響で、調査を実施すること自体や、調査対象者数(実数)を確保することがとても大変でした。
遠方での郵送調査にご協力いただいたりもして、研究を支えてくださった方々とのご縁に大変感謝しています。
研究を通して、改めて人との繋がりの大切さやありがたさを実感できたり、研究活動が臨床実践における自己研鑽の一つになっていると感じられて、研究をしていて良かったなと思います。

 

最後にこれから大学院を目指す方に一言お願いします。
大学院では、仲間からの刺激を受けつつ、先生の温かくも的確な指導を受けられることで、漠然として曖昧であった研究テーマも洗練されて形になっていきます
研究の好き嫌いにかかわらず、志望した大学院に入学でき、研究活動を通して人と繋がり、新しい発見をしながら、充実した学生生活を送れますことを願っております。
(生活機構学専攻院生・榎本 万里子)