大学院附属の生活心理研究所では,毎年度研究紀要を発刊しています。
今回,大学院附属の生活心理研究所が発行している研究紀要の最新号に,2021年度修士課程心理学専攻修了生・鬼頭 智美さんの修士論文の研究をまとめたものが掲載されました。
鬼頭 智美・藤島 喜嗣(2023).悲観主義が予期後悔を介して先延ばしに及ぼす効果 昭和女子大学生活心理研究所紀要26, 1-10
紀要論文の掲載に際して,鬼頭さんに論文の内容や研究テーマの決め方などをインタビューしました💁♀
心理学専攻への進学を検討されている方にとって,大学院の研究活動の紹介になれば幸いです💡
先延ばし※という行動に対して、個人の持つ考え方が影響を及ぼし、先延ばしが抑制されることもあるのではないかと考えました。
そこで研究の仮説を「防衛的悲観主義傾向を持つ人は、後悔するかもしれないという不安を感じることで、先延ばしを抑制する」としました💡
※1 先延ばし(procrastination)…〆切が迫っているレポート課題など、取り組まなければならないと分かっている課題や問題に取り組むことを先送りする行動。過剰な先延ばしは心理的な不適応につながるとされ、課題や問題を遂行できるという「自信」や、得られる「メリット」、どの程度の作業量・時間がかかるかという「見積もり」などさまざまな要因から先延ばしのメカニズムが研究されている。
※2 防衛的悲観主義(defensive pessimists: DP )…結果について、意図的に悲観的な予想をすることで失敗に備え、かえって良い成績を収めようとする行動や考えのパターンのこと。例えば、いつも成績が良いのにもかかわらず、「次はもっと難しい問題が出るかもしれない」「覚えた単語をど忘れしてしまうかもしれない」などと最悪の状況を想定し不安になることで、念入りに準備を重ねて良い成績を取るといったものを指す。
先延ばしはさまざまな問題につながることがあり、大学院入学前に働いていた現場でも、先延ばしにより問題への対処が困難になっている場面をいくつも目にしてきました。
また、私自身も腰の重い作業は、つい先延ばしをしてしまう傾向に困っています😅
そこで、そもそも先延ばしのメカニズムを解明し、先延ばしを予防(抑制)するにはどうすればよいだろうかと思ったことが、今回の執筆につながりました💡
他学部出身ということもあり、心理統計📊に関する知識はあっても実践経験に乏しい状態からスタートしました💦
そのため、統計処理だけでなくそもそも研究論文を書くこと自体にも大きな不安を抱えて手探り状態でした。
しかし、指導教員である藤島先生から統計に関する知識だけでなく、文献の探し方を始めとした研究の基本のキを指導していただき、安心して研究に取り組むことができました😊
また、私にとって今回の論文執筆は、臨床現場で心理専門職となっていく過程における「研究の重要性」を考えるきっかけとなっています。
大学院とは、自身の興味に従って思う存分に学べる貴重な場所であり、時間です。
一方で、学びたいこと/学ばなければならないこととの葛藤で悩むこともあるかもしれません。
しかし、どのような経験も決して無駄にはなりません。さまざまなことを考え、感じ、体験できる大学院生活を送れることを心から願っています✨
(2021年度修了生・鬼頭智美)
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