大学院附属の生活心理研究所では、毎年度研究紀要を発刊しています。
今回、研究紀要の最新号に、2024年度心理学専攻(修士課程)修了生・土屋 萌さんの修士論文の研究をまとめたものが掲載されました。
土屋 萌・田中 奈緒子 (2024).若年者の「推し活」における消費行動 -心理的所有感・時間的態度に与える影響- 昭和女子大学生活心理研究所紀要,27,27-37.
紀要論文の掲載に際して、土屋さんに論文の内容や研究テーマの決め方などをインタビューしました💁♀
心理学専攻への進学を検討されている方にとって,大学院の研究活動の紹介になれば幸いです💡
現在のお仕事を教えてください。
現在は大学病院の精神科で心理研修生として勤務しています。
週に2日は大学病院、それ以外の週4日は関連病院の単科精神科病院・クリニック等で働いています。
主な仕事内容は、精神疾患を抱える方へのカウンセリングや心理検査、予診の実施です。
紀要論文の内容(研究テーマ)を教えてください。
紀要論文では、「推し活」における消費行動が心理状態や適応に与える影響について研究を行いました。
心理状態の指標として心理的所有感*、適応の指標として時間的態度*を取り上げました。
*心理的所有感 …対象に対して人が抱く所有感のことであり、心理的にこれは自分のものだ、と思う感覚のこと。
*時間的態度 …過去・現在・未来に対する個人のポジティブないしネガティブな態度のこと。
研究テーマはどのようにして決められましたか。
推し活は、2021年ユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされました。
さらには、Z世代の6割が推し活をしていると報告されるなど、特に若者にとっては非常に身近なものと言えます。
そのような中で、
「なぜ推し活がこんなにも広がっているのか🤔」
「実際にはどのような推し活が行われているのか?」
「推し活はファンにどのような影響を与えるのか?」
について興味を持ち、研究テーマに選びました。
研究を行う上で大変だったこと,研究をして良かったと思うことを教えてください。
まず、推し活の実態把握をしようと試みましたが、推しの対象、推し活の方法は多岐に渡ることを知り、どこに焦点を当てるべきなのか…ということを悩みました。
結果的に、本研究では調査の中で多数派だったJ-POP・K -POPアイドル、日本人・韓国人俳優に対する推し活に焦点を当て研究を行いました。
メディアでは、推し活をポジティブなものとして取り上げられていることが多い印象でしたが、本研究ではポジティブな側面だけでなく、推し活を行う人の消費行動や心理状態によってはネガティブな影響を及ぼす可能性があるという知見が得られたことが興味深かったと感じています。

最後にこれから大学院を目指す方に一言お願いします。
大学院の2年間はやるべきことが多く、あっという間でしたが、様々な人と出会い、様々な経験が得られた濃い時間だったと思います。
ぜひ、大学院で積極的に多くのことを経験し、充実した日々を過ごしてくださいね😊
(2024年度 生活機構研究科心理学専攻[修士課程]修了生・土屋 萌)