6月2日(金)の「福祉サービスの組織と経営」の授業では、外部講師として田宮尚明さんをお招きしました。
田宮さんは、株式会社地域福祉総合研究所の代表取締役とともに、社会福祉法人長岡福祉協会・医療法人崇徳会の理事もされています。
長岡福祉協会と言えば、福祉の業界では「知る人ぞ知る」有名な法人です。
すでにお亡くなりになってしまいましたが、小山剛さんという同法人の総合施設長をされていた方が、リーダ―シップを発揮し、今日、国レベルで強力に推進されている「地域包括ケアシステム」の先駆け的な実践を次々に行ってきた法人です。
地域包括ケアシステムというと、例えば、以下のような図などで紹介されることが多いと思います。
要するに、地域包括ケアシステムは、「重度な要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制」のことを言いますが、なかなか分かりにくかったり、実際にできるのかと言われる部分があります。
それで、田宮さんから経営戦略・事業計画のお話の一環として、長岡福祉協会の実践について伺いました。同協会では、たくさんの実践をされてきていますが、例えば、人郷離れたところにあった特別養護老人ホームを解体して、町中の地域に分散し、地域に溶け込んだシステムを完成させました。
受付も時間制限もなく、家族はもちろんのこと、地域のこどもの障害者も気軽に寄ることができる場(地域密着型施設)を作ったほか、3食365日の配食サービスの実施やICTを活用した定期巡回随時対応型訪問介護看護などの実施です。
受講した学生の皆さんから一週間後にリアクションペーパーを集めましたが、田宮さんのお話(同協会の実践)にとても感心したようでした。例えば、「将来は地元のために働きたいと思っているので、地元にも開かれた施設が増えていったらいいと思った」とか「企業に就職できればいいと思っていたが、福祉にかかわることができたらと思った」とか「これからもっと勉強して、こういうアドバイスを利用者さんにできるようになれたらと思った」とか、たくさんのよい反応がありました。
今、福祉業界では人材不足が言われていますが、一方でとても素晴らしい実践が全国各地で行われています。そうした取り組みを紹介することで、福祉の実践や仕事への興味がアップするかもしれないと学生の皆さんのリアクションペーパーを読んで感じました。
テキストや国家試験対策とともに、これからも先駆的な事例の紹介をしていきたいと思いました。(北本 佳子)