2022年度特殊研究講座が開催されました

2022年度福祉社会学科の特殊研究講座は、6月22日(水)4限にグリーンホールにて開催されました。

特定非営利活動法人OVA(オーヴァ)代表理事 伊藤次郎先生をお招きし、「ICT を用いた若者自殺対策の実践」というテーマでご講演いただきました。

伊藤先生は、「死にたい」といった自殺関連用語をネット検索した人に対して相談を促す検索連動広告を表示し、メールやSNSを通して相談支援を行うもので、自殺防止対策の新たな取り組みをされています。伊藤先生が実践されているOVAのICTを活用したアウトリーチや相談活動、またソーシャルアクションを行っていった活動内容をお話しいただき、自殺の問題への意識を深めるとともに、私達が出会う相談者個人の問題を社会化しながら社会側にも働きかけていくこと、そして社会側に変革を促していくことの重要性について、学ばせていただきました。

若者の自殺の増加について深く考えさせられるきっかけをいただきました。SNSが普及し、家族や学校の先生などが気づくことの出来ないいじめが増えたことも若者の自殺者の増加につながっていると思います。しかし、そのSNSを活用し「死にたい」と検索した人に向けて広告を発信するという考えを実行する伊藤先生の行動力にすごく感銘を受けました。(2年Aさん)

ご講演の中で「支援者側は対面で支援するのが一番やりやすいので対面での相談援助を希望する場合が多いが、相談者側からするとそれは非常に相談しづらい」というお話がとても印象に残っています。「相談者側の立場からすると、面と向かって話し始めたらもう逃げられないと感じてしまうため、コミュニケ―ションを遮断したいと思ったときにすぐに遮断できるメールやチャットの方が精神的な負担が少なく相談しやすい」という相談者側の想いをうかがって、伊藤先生の実践の意義深さを理解しました。できる限り相談者が精神的な苦痛を感じないような環境、方法を提供していくこと、そのための工夫をしていくことのできる支援者になりたいと思いました。(2年Bさん)

「孤独だと感じているのは本人の主観だが、そう思わせる環境をつくっているのは社会」というお話が大変印象に残っています。伊藤先生が実際にかかわった事例を聞き、その人が抱えている問題はその人だけの問題ではなく、社会が生み出していることもあるということを改めて認識しました。 個人の問題で終わらせるのではなく、常に社会にまで目を向ける、背景を考えることが大切だということを改めて感じました。(2年Cさん)

最後のお話で、社会を変動させることも必要であると学びました。社会が変わらなければ、自殺者も減ることは無いし、コロナ禍で失業者が増えたことで支えなくてはいけない人も増えたと思います。多くの人に焦点を当てて、制度の狭間にいる人や、なかなか相談することができない声なき声を拾うことがこれから必要となってくることだと学びました。(2年Dさん)