7月16日(水)の午後、私たちシムゼミの3年生メンバーは、荻野太司先生の引率で福祉社会学科の学生とともに東京都府中市にある関東医療少年院を訪問しました。事前ゼミで『悲しみの子どもたち-罪と病を背負って』(岡田尊司著、集英社新書2005/5) と『少年A 矯正2500日全記録』(草薙厚子著、文春文庫2006/4))という二冊の本について討論はしたものの、少年院と聞くとやはり厳しいイメージ、高い塀と壁や暗い色などの殺風景な外観ばかり連想していました。だが、実際に訪れてみると、私たちが目にしたのは、ピンクや黄色を基調としたパステル色で非常に明るい建物でした。
少年院では、はじめに施設内を見学しました。中には男子寮・女子寮の他に、面接室や診断室などもありました。また、在院生が作った版画や陶芸などの作品も展示してあって、いずれもプロの作品に見えるぐらい素晴らしい作品ばかりでした。これらの作品を作っていたとき、在院生たちは自己と対話をしながら自分の犯した過失に対する反省をしたのだろうか、あるいは過去の過ちを記憶の片隅から追いやり一時の忘憂となったのだろうか、と私たちは考えながら作品を眺めていました。
次に会議室で公安官による院内処遇の基本指針の説明や、私たちの質問への応答などが行われました。教官の方々のお話を聞いていると、在院生たちのことを思う気持ちがとても伝わってきて、私たちが今まで通った学校の先生と何ら変わらないという印象を受けました。この医療少年院は他の少年院とは少し異なり、病気や障害、心のケアが必要な子たちが集まっているため、教官の方々も叱る際には細心の注意を払うそうです。少年少女たちの気持ちを重んじ、自由にさせることが更生につながるのだと教官の方々のお話を聞いて学びました。
この医療少年院訪問を通じて、在院生一人一人に人権があるということを再認識し、過ちを犯した少年少女たちは必ずしも彼らだけの問題ではなく、彼らの周りの人々にも責任があることに改めて気づきました。
(記事:3年浅野 with inputs from シムゼミの良き仲間たち)