皆さん、こんにちは! 12月5日に現代教養学科では、今年度2回目の「特殊研究講座」が開かれました。今回は、放送大学・千葉大学名誉教授であられる宮本みち子先生をお招きし、「若者にとって社会はどう動いているか~長期化する成人期への移行の時代~」と題して、若者が大人になるための課題と対処法についてお話をいただきました。
はじめに、宮本先生ご自身の大学時代や卒業後の社会環境についてのお話を聞きました。その後、昭和の時代は子供から成人期に入るルートがレール式であったことに対して、現在は何本もの道へと多様化しているという歴史的背景をもとに、「大人」の形の変容も教えていただきました。今後、日本では18歳で成人となるものの、18歳はまだ子供だという意見もあります。このことについて、「成人」と「大人」は決して同義ではなく、おそらく年齢が大人の決め手ではないだろうと宮本先生は考えていらっしゃいます。
次に、現在の若者が大人になるための移行政策(=transition policy)にはどのようなものがあるかを伺いました。具体例として、「積極的シティズンシップ(=active citizenship)」があげられます。ヨーロッパなどでは、小学生が街づくりに参加するようなプログラムがその一例だそうです。
そして、最後に21世紀社会の良い点・悪い点も含め、現代とはどういう時代なのかを教えていただきました。良い点は、①高い雇用率・低い失業率と②教育への高い期待・信頼があげられ、悪い点としては①日本型雇用・日本型福祉社会の崩壊および②離婚率の上昇がありました。それらを踏まえ、現代は確立した規範・人生行路・終焉の形がなくなるそうです。そこで、日々学び、皆で考え、新しいものを見出すことが重要だということでした。
以上のことから、宮本先生のお話を聞いて考えたことが2点あります。
1つ目は、若者の移行政策で大学教育がカギとなることです。宮本先生は、大学は将来を考える場であると仰っていました。私は、自分の価値観を広げる場でもあるのでは、と感じました。大学は中高とは違い、自らの教養を深めつつ、学問ができたり、様々な人と関われたりするからです。これまで自分にはなかった考えを積極的に取り入れて、多様な考えができるようにしていくことが求められるのではないかと考えました。
2つ目は、成人年齢についてです。日本でも18歳に選挙権が引きさげられ、2022年には成人年齢が18歳となります。ただ、成人としての自覚がないまま18歳になると突然「大人」としての責任を負わされる日本の制度、とりわけ教育制度は果たしてこのままで良いのか、という疑問が浮かびました。
今回は講演直後に別件のお仕事もあるというご多忙の中、貴重なご講演をいただいた宮本先生にこの場を借りて心から感謝の意を申し上げます。先生が教えてくださったことを肝に銘じ、良い大人になれるよう今日から頑張ります!
(記事:シムゼミ3年 鈴木・高島)