専門科目「現代社会論」より:「引きこもり」から現代社会を考える!

シム チュン・キャット先生が担当する「現代社会論」という授業では、学生たちはグループごとに自分たちで選んだ国について発表をしたうえで、その国の社会事情や教育問題などを取り上げてクラス全員でディスカッションを行います。

世界各国の社会と教育について議論することを通して、色々な角度から物事を見る複眼的思考法を身につけていくことが授業の狙いです!ただ1月末の授業は特別であり、ゲスト講師として本学のキャンパスに移転してきたTUJ(Temple University, Japan Campus)の堀口先生に来ていただき、「引きこもり」をテーマにディスカッションをしながら講義を受けました。

 

 

皆さんは引きこもりと聞いて、どのようなイメージを持っていますか?

多くの人は、暗い部屋にこもりっきりというネガティブなイメージを持っているのではないか、と思います。しかし、引きこもりの定義が定まっていないだけでなく、引きこもりを支援する団体へ相談に来る人は、今の引きこもり状況を変えたいというような人もいて、実に色々な人々がいるそうです。また、支援団体に来るのは男性が多く、女性は非常に少ないと言います。女性としては、男性が多くて行きづらい、トラブルメーカーに見られがちなどが行きづらい理由だそうですが、女性は家に引きこもっても問題はないという、ジェンダーと偏見に基づく考えも混在していると言えます。

とにかくこのような傾向から、引きこもり女子会と呼ばれる引きこもりの女性たちが集まりやすい場も生まれたそうです。

 

 

そもそも、なぜ人は引きこもってしまうのかという原因は複雑です。核家族化、いじめ、不登校、労働環境の変化、都市化に伴う地域社会の喪失、ネット社会など現代社会の問題として、あるいは集団主義・空気読みすぎ、忖度・建前/本音、甘えなど日本文化特有の問題として捉えることができます。

さらに、支援団体のあり方についても考えなくてはなりません。上から目線ではないか、外に引き出すべきか・そのまま放っておいたほうがいいのか、自由さ・適当さを保ちながら、ステップアップ方式ではなく伴走型支援の必要性も重要なのではないか、などなど考えなければならないことが山積しています。加えて、海外の引きこもり事情と比較するのも興味深い考察になるのでしょう。

 

私たちの身の回りには引きこもりがいない、もしくは見えないため、引きこもりをきっかけに、現代社会の現状とそこに潜む課題について知ることができました。引きこもり当事者からすると、助けてもらいたいという考えが嫌という人もいるようで、放っておいてほしいという思いもあるそうです。しかし、私たちは引きこもり当事者にコミュニケーションを取ってほしいと思います。コミュニケーションをすることが新たな発見や気づきに繋がる可能性があるからです。

堀口先生から、引きこもり女子会というコミュニティもあることを知り、これは非常に素晴らしいアイディアだと思いました。同じ状況に置かれている人々と会うことによって、当事者は安心感が得られるため、引きこもり状態について考えるきっかけになるのではないかと思います。

 

最後に、全部は書ききれなかったのですが、たくさんのことを気づかせてくださった堀口先生、貴重なお時間を本当にありがとうございました!テンプル大学ジャパンキャンパスは近いので、是非またお会いしたいです!

記事:2年平澤・寺島