【現代社会と社会学】は、学生にとっての身近な社会問題を取り上げ、学生同士のディスカッションを交えながら社会学の基礎を学んでもらう、僕が最も好きな担当授業でもあります。7月16日の授業では、例年通り、ローレルゲート株式会社の代表取締役や企業研修講師として活躍されている守屋麻樹先生にお越しいただき、パリ五輪開幕を目前に控えているこの時期に「スポーツとジェンダー」について学生と一緒に考えました。
グループワークでは、以下の4つのテーマでディスカッションが行われました。
① 「スポーツ参加におけるトランスジェンダーの課題:ルールと個人の権利」
② 「大相撲の土俵における女人禁制の課題:ルールと伝統」
③ 「女子マネージャーの課題:ジェンダーバイアスと性的役割分担」
④ 「女性をめぐる差別発言の課題:ジェンダー平等とオリンピズムに関する課題」
以下、授業についての学生からのコメントを紹介しますね。
● 毎回刺激的な授業をありがとうございます。とても勉強になっています!
● このような身近なものに焦点を当てて考えることができた今回の授業もとても面白かったです!
● どのテーマも即座に何かを結論づけることは難しいと感じるものだった。今回までの授業では、社会や集団が自分に与える影響について着目することが多かったが、今回は自分(1人)が社会や集団に与える影響について考える機会となった。
● シム先生の授業でたびたび出てきた「機会の平等」は尊重されなければいけないと思うので、どうすればいいのかもやもやしているが、守屋先生のお話を聞いて、スポーツにかかわる職業も魅力的だなと思った。女性が少ない分、自分の意見が、女性がそのコミュニティに入ることが重要なのだと改めて思った。将来いろんな可能性があってとても楽しみ!
● トランスジェンダーの方がどちらの性別の枠で出場するべきであるのかについての判断は非常に難しいと感じたし、きっと正解もないのではないかと感じた。男女の体の作りが異なることは事実である。自認している性別で分けるにも、体の方の考慮をされていないため、それが正解であるとは考えにくい。今は移行期として、色々な方法を試してみればいいと思う。
● 「伝統的」であることと「排除」は紙一重であると感じた。それまで守られてきた内側には、外側の変化や動きを排除し、守るような機能があると考えたためである。
● 今まで自分が女子マネージャーというものを美化して認識していたのかに気付くことができた。私は小中の頃はとてもテレビっ子でたくさんドラマを見ていた。そこで女子マネージャーになればこんな輝かしい学生生活が送れるんだ!という認識になっていったんだなと今考えると思う。それほどメディアが与える影響が大きいことも実感した。
● 女子マネの存在について私は肯定的である。私も選手をサポートすることをやりたいと思う…(中略)発表者が言っていたように、性別に関係なく男性でも女性でもマネージャーという大事な役割をやっていい。
● 女性がいると会議が長くなるという発言について…(中略)これまで男性社会で過ごしてきた男性の立場からすると、女性の社会進出・ジェンダー平等が浸透することは不都合が生じる場合もあるだろう。更なるジェンダー平等を目指すには、女性が声をあげるだけでなく、男性の理解も必要であると考えた。
● スポーツとジェンダーの問題はまだまだあるが、今回取り上げた問題は一部でしかない。ディスカッションしていくべき課題は多いので、もっと学んでいきます!
● 「当たり前」になってしまっているルールにこそ実は異常が隠れていたりするのかもしれないと感じた。
● 現代社会と社会学の授業を受けていると、新しい発見ができ、様々な見方ができるようになった!
今回の授業を通して、学生たちが五輪で繰り広げられる熱戦を楽しみつつも、スポーツの背後に潜むジェンダー問題に少しでも思いが至ればと思います。
担当教員
シム チュン・キャット