こんにちは。
2024年3月に昭和女子大学現代教養学科を卒業しました、西崎羽美です。
卒業生として、このような形で執筆の機会をいただき、大変光栄に思います。
今回この文章を書いているのは、大学4年生の夏に制作・監督した映画『よそ者の会』が劇場公開されることになったからです。そのお知らせも兼ねて、在学中からお世話になっている福田淳子先生から「学生時代のことや、今の活動について書いてみては」とお声がけいただきました。
よろしければ、最後までお付き合いください。
「大学生活について」
昭和女子大学に入学したのは2020年で、ちょうどコロナウイルスが流行し始めた年でした。入学式は中止となり、思い描いていたキャンパスライフとはかけ離れた静かな日々が始まりました。授業もオンラインとなり、思うように人と会えない日々が続きました。
それでも、高校生の頃から抱いていた「映画をつくりたい」という思いは揺らぐことがなかったため、大学2年生からは映画美学校とのダブルスクールを始めました。
日中は大学で学び、夕方からは映画美学校で映画の理論や実技を学ぶという生活を、卒業まで続けました。体力的には決して楽ではなかったはずですが、日々が本当に充実していて、ただただ楽しかったことを覚えています。
年齢もバックグラウンドも異なる友人たちと映画について語り合い、一緒に作品を作る経験が、自分の視野を大きく広げてくれたと感じています。
現代教養学科では、社会・文化・ジェンダーなど、さまざまなテーマを横断的に学びました。特定の専門に偏るのではなく、多様な分野に触れることで、複数の視点から物事を考える力が身についたと感じています。それは映画をつくる上でも、そして今、映画を研究する上でも、とても大きな土台になっています。
また、映画制作に没頭するなかで、「つくる」だけではなく、「知る」「考える」ことの重要性を感じるようになり、卒業後は日本大学大学院芸術学研究科に進学しました。現在は、映像芸術専攻で映画研究に取り組んでいます。映画を理論的に学ぶことで、創作の基盤をより深めています。新たな視点に触れる毎日が刺激的で、充実した日々を過ごしています。
『よそ者の会』について
今回劇場公開される『よそ者の会』は、大学院の入試のために制作した作品です。「大学を舞台にした映画を、卒業する前に撮っておきたい」という思いが出発点でした。ロケ地として昭和女子大学にもご協力いただき、在学中の空気や時間を刻み込むようなつもりで撮影を行いました。
映画のタイトルにもなっている“よそ者”という言葉は、私自身が日々の生活の中で感じてきた感覚に由来しています。「どこにいても、完全には溶け込めていない気がする」「どこにも属していないように思える」。そういった感覚を抱える人は、きっと私だけではないはずです。そうした「よそ者」たちの存在を、映画というかたちで描いてみました。
こうして制作された本作は第18回田辺・弁慶映画祭でキネマイスター賞を受賞し、第20回大阪アジアン映画祭のインディー・フォーラム部門にも正式出品されました。そして、田辺・弁慶映画祭の受賞を受け、テアトル新宿(東京)・テアトル梅田(大阪)での劇場公開が決定しました。
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映画『よそ者の会』劇場公開情報
【上映スケジュール】
・テアトル新宿(東京):2025年5月23日(金)〜27日(火)
・テアトル梅田(東京):2025年6月24日(火)
*両劇場ともに、上映開始は20:40~
【出演】
川野邉修一、坂本彩音、比嘉光太郎
【スタッフ】
監督・脚本・編集: 西崎羽美
撮影: 松田恒太
録音: 色川翔太、大澤愛花
照明: 根岸一平
助監督: 中江伶乙 / 小林慶太郎
宣伝協力: 中沢志保
協力: 昭和女子大学
配給: 13 oʼclock films [42 分] ©HAMI
(2023 / Color / Vista vision / 42min / Japan)
【あらすじ】
鈴木槙生は大学の清掃員として静かに働く傍ら、密かに爆弾作りに没頭している。
そんなある日、構内で「よそ者の会・会員募集」と書かれたポスターを目にした槙生。
入会の条件は、「よそ者」であること。興味を抱き会合に参加してみると、そこには日々の鬱憤や殺伐とした感情について語り合う学生の姿があった。その奇妙な集まりを主催するのは坂田絹子という女子学生。一見普通の学生に見える絹子も、意外な秘密を抱えていて…。
「どこにいてもよそ者だと感じる」。そんな「よそ者」たちが、ひとつの場所に集まった。
【関連リンク】
予告編:https://youtu.be/ZgHYTk6dN0E?si=HpdJIJ3iK_JUZWhc
公式サイト:https://www.yosomononokai.com/
X/Instagram:@yosomono_movie
ぜひ、劇場でご覧いただけたら幸いです。
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卒業してからそれほど時間は経っていませんが、昭和女子大学での学びや出会いは、今の私の活動を支えてくれている確かな土台となっています。
たとえ今いる場所に不安や迷いがあったとしても、その選択が後に「間違っていなかった」と思えるよう、自分なりの歩みを続けていけばいいのだと思います。
これから大学に入学される方、そして在学中の皆さんにとっても、この場所で過ごす時間が、それぞれの未来に繋がるかけがえのない時間となることを願っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
映画館でお会いできたらとても嬉しいです。
西崎羽美

