「楚形昭韻」

 ブログのタイトルについて、何のことかわかりますか?昭和学園のどこにあるでしょう?

 「楚形昭韻」は、1992(平成4)年の5月2日の昭和女子大学の創立記念日に世界で初めて演奏された編鐘のことで、アメリカのボストンやオーストラリアでも、写真が紹介されました。「世界で初めて」というのは大げさですが、きちんとした楽譜も無く、どのような楽曲をどのように演奏するのかもよくわからない中で、演奏が試みられました。「楚形昭韻」という名前の意味は、「中国の楚の時代にあった形そっくりの昭和女子大学に響く鐘の音」といった意味ではないかと思います。

(昭和女子大学 創立者記念講堂にある楚形昭韻)

 「楚形昭韻」は、本学の記念講堂のロビーに飾られています。編鐘は、音の高さの異なる複数の鐘を枠に吊るした、古代中国の打楽器で、宮廷や上流社会で使われ、権力の象徴でもあったそうです。打楽器ですから、長い棒のようなもので、鐘をついて音を出します。組み合わせる鐘の数は7、13 、16、32など様々のようですが、本学にあるものには、大小43の鐘が3段に並んでいます。高さは3メートル、横幅9メートル、総重量6トンもあり、一番大きな鐘は1個で350キロもあるとか。記念講堂を訪れた人がインスタグラムでも時々紹介しているようです。

 1978年に中国の湖北省で発見された本物の編鐘は、戦国時代初期の諸侯であった曾侯乙墓(そうこういつぼ)から出土したもので、3層の木製の横木に最大153.4cmもある65点の総重量2567kgにもなる大きなものです。1つの鐘で2つの音を出すことができ、音階は七音階あり、音域は5オクターブ半あるのだそうで、中国の国宝に指定されているそうです。日本には編鐘を使用する音楽は伝えられていませんが、13世紀伝来と考えられている本物の編鐘は日光東照宮に保存されているのだそうです。2008年の北京オリンピックでは、中国の古楽器として演奏されたそうです。

 ところで、本学は上海交通大学と交流協定を結んでいて、今年度の3月には上海交通大学と昭和女子大学のダブル・ディグリーを授与される卒業生が出ます。本学からの要請で、記念講堂の編鐘を制作したのは、その上海交通大学付属の中国芸術研究所です。ちょうど1992年は日中国交正常化20周年の年にも当たり、編鐘は、それを記念して上海交通大学とこの年に提携を結んだ記念として本学のために製作してくださったそうです。

 今度、創立者記念講堂に入ったときには、是非、編鐘やその解説を見てください。