元宋の『赤』 [2017年12月15日(金)]

 キャンパス内には、いろいろな所に由緒ある絵画や美術品が飾られています。その中で、とても印象的なのが、上の写真の絵画です。この絵を見たことがありますか?

 奥田元宋の作品です。11月10日のブログで紹介した『歓びの像』の作者で人形作家の奥田小由女の夫です。1912(明治45)年に広島に生まれ、上京して画家生活を始めましたが、戦争が激化して1944(昭和19)年に故郷の広島に疎開しました。第5回新日展で文部大臣賞を受賞した『磐梯』により、1963(昭和38)年には日本芸術院賞を受賞しています。1974(昭和49)年には日展の常任理事となり、1975(昭和50)年の『秋嶽紅樹』で、「元宋の赤」を確立したと言われ、自然の風景を印象的な赤色で描くようになりました。1984(昭和59)年には文化勲章を受章しています。風景画に新しい表現をもたらした奥田元宋は、1977(昭和52)年に日展理事長に就任し、1996(平成8)年には、銀閣寺の弄清亭障壁画を完成しましたが、2003(平成15)年に逝去しました。

 写真の作品も、『元宋の赤』と呼ばれる独自の赤色で描かれています。『魁夷の青』で有名な画家で元宋と親交のあった同時代の東山魁夷と並んで、日本画壇を代表する画家と称されています。

 さて、写真の作品には『秋嶽晩照』という題がつけられています。1988(昭和51)年に奥田元宋氏の特別のご厚意により、本学に寄贈されたもので、1979 (昭和54)年10月発行の『昭和学報』には、次のように紹介されています。「日本画という伝統的手法の中に、独自の美の世界を築きあげた氏の、文字通り生命の炎を削るようにして生まれた、真赤に燃える山に、静かに見入る私達に、氏は何を語りかけてくれるのだろうか。」
 秋、日が暮れて静まりかえった山、そこに立つ燃えるような真っ赤な木々。記念講堂のロビー正面にありますので、是非、開演前にゆっくりとご覧ください。