2019年12月

先輩たちの作った絵本 [2019年12月20日(金)]

 『子象のエルフィー』は2009年2月25日に水声社から発行された絵本です。

 こんなお話です。「遠い国のポルルの森に子象のエルフィーが住んでいました。ある時、さるのお爺さんから不思議な種を3つもらいました。その種を飲み込むと、どんなことでも願が叶うというのです。そこに、歌が上手くなりたいといううさぎや、空を飛びたいというペンギン、開けない羽をどうしても広げたいと願う孔雀が来て、エルフィーに悩みを打ち明けると、エルフィーはもらった種を一つずつ分けてあげたので、とうとう種がなくなってしまいました。せっかくもらった種を自分のことには一つも使えなかったけれども、エルフィーは幸せな気持ちでいっぱいでした。そして、エルフィーが少しずつ成長していく間に、ポルルの森には優しいエルフィーがいると聞いてたくさんの動物が集まるようになりました。周りにはいつもともだちが集まって、エルフィーはみんなと楽しく賑やかに暮らしました。」

 また、『ねずみのハーデル』も『子象のエルフィー』と一緒に発行されました。

 自分だけ容姿が仲間と違うので、自分に自信が持てなかった赤い鼻をしたねずみのハーデルが、誰にでも悩みがあることを知り、難しい練習をこなしてサーカスの玉乗りで一躍有名になり、新聞や雑誌の記者に、自分が森で鳥と出会い世界の広さを知ったことや、川の魚が汚れた水に生活を苦しめられていることを聞いたこと等の経験を通して、自分の得意を活かして、努力を続けて自分が変わっていくことが大切だと話した、という筋です。
 こちらの英語版、A Mouse Named Hadel は2010年3月に発行されました。

 次の2枚の絵はハーデルが、サーカスで初めて演技を披露し、皆から笑顔で拍手を贈られて、一生忘れることのない喜びを感じたことを描いたページです。とってもシンプルで優しい色使いで描かれています。

 これらの絵本は2010年3月まであった昭和女子大学短期大学部の文化創造学科の学生65名が、文部科学省の平成19年度「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」に採択されて作ったものです。テーマは差別について考えること。何回も何回も書き直したそうです。製作に加わった学生達は、奥付に、目に見えるものだけでは本当のことはわからないことに気づいたと記しています。本学図書館にもありますので、是非、手に取ってお読みください。

※年内の更新は今回が最後となります。

「貴重図書」ってどんなもの? [2019年12月14日(土)]

 資料的に価値が高く、希少性が高い図書のことを「貴重図書」と言います。勿論、非常に高額なものでもあります。しかし、貴重図書の詳細な基準については図書館によって違いがあるのだそうです。本学の図書館でも、貴重図書は、一般資料とは区別して大切に扱っています。約15,000冊の貴重図書を現在所蔵しています。

 本学創立100周年を迎える2020年に、本学が所蔵している貴重図書を公開展示する企画があり、準備が進められています。それに先駆けて、12月4日と11日に、近年図書館に登録した貴重資料の特別内覧会がありました。

 内覧会で拝見した本学の貴重図書のいくつかを紹介したいと思います。

 下の写真の書物には、どんなことが書かれていると思いますか。

 美しい色彩で彩られた表紙を開いて中をみると、墨で描かれた絵の余白に文章がぎっしりと詰まっています。これらは、江戸時代、1846年に出版されたもので、今でいう絵本のようなものと言っても良いかもしれません。『釈迦八相倭文庫』(しゃかはっそうやまとぶんこ)のシリーズで、初編から55編の合本27冊が揃っています。内容は、釈迦の生涯を表したもので、誕生して19歳のときに出家し、12年の修行を積んで悟りを開き、人々に教えを諭すまでの過程を描いたものです。他にも、『金色夜叉』の著者として有名な尾崎紅葉直筆の掛け軸をはじめ、紅葉と泉鏡花の印譜(鑑賞や研究を目的として、印章の印影や印款を中心に掲載した書籍のこと)、そして、泉鏡花の初版本33点もあります。また、与謝野晶子の「批評は好悪なり」という論説の自筆原稿もありました。

 さて次の写真は、英語の本です。皆さん『不思議の国のアリス』の話はよくご存じだと思いますが、小さな子どもに読み聞かせができるように易しく書き直し、挿絵にも柔らかく色づけしたものが、この“The Nursery Alice”『子供部屋のアリス』です。これは、1889年に出版された、その初版です。他に、イギリスのヴィクトリア時代の有名な小説家、チャールズ・ディケンズ旧蔵の“The Holy Bible” (欽定約聖書)もありました。12月もいよいよ3週目に入り、ディケンズの『クリスマス・キャロル』をもう一度読んでみたくなる時期になりましたね。

 さて、最後に紹介するのは、『源氏物語絵帖交屏風』(げんじものがたりえはりまぜびょうぶ)です。『源氏物語』五四帖の桐壺から夢浮橋まで、各帖一場面の絵を選んで貼り付けた六曲一双の金屏風です。屏風に張り付けられた絵の金銀をはじめとした豪華な色使いと、緻密で優美な絵を見ていると、源氏物語の世界に自然と引き込まれていきます。

 今回は、それぞれの分野のご専門の先生方に解をもしていただきながら、14の新しいコレクションを見せていただきました。来年度の創立100周年記念の展示はきっと素晴らしいものになるだろうと、期待がますます膨らみました。

ご案内をしていただいた方々:右から、図書館前之園次長、日本語日本文学科胡秀敏教授、吉田昌志図書館長、左端に、英語コミュニケーション学科金子弥生教授