<授業紹介>ピアサポートで上級生が後輩を導く [2021年07月20日(火)]

<日文便り>

『源氏物語』は寛弘五年1008年に紫式部によって書かれました。
古典文学の最高峰であるこの作品は文字による観賞と同時に、平安時代から多くの絵師によって絵巻や冊子、扇面、色紙、屏風など様々な媒体に描かれてきました。

本学図書館所蔵の「源氏絵貼交ぜ屏風」は六曲一双の中型屏風で、
右隻、左隻に27枚ずつ、合計54枚の「色紙型源氏絵」が貼られ、
『源氏物語』のエッセンスが凝縮されています。
最新の研究によりますと、この屏風における「源氏絵」の人物描法や図様の継承から、
江戸中期土佐光吉の流れを汲む絵師たちによるものではないかと考えられます。

五十四帖にも及ぶ長大な物語のなかから、絵師、あるいは屏風の注文主がどの場面を選び、
文字による物語の情景描写がどのように視覚化されたのか、画面構成と人物描写はもちろん、
屏風における場面配置の意図にも絵師や注文主の様々な思いが込められているはずです。
その思いを読み解き、より高い次元で『源氏物語』を理解していくのが
中古文学ゼミ生にとって最大の楽しみとなっています。

ゼミでは、昨年から4年生が3年生を支えるピアサポート制度を導入しました。
合同ゼミで上級生が「源氏絵」の魅力について熱く語り、
授業時間外では、1対1でレジュメの作り方、参考資料の調べ方などを伝授し、
後輩に学びの姿勢や方法を伝えていくことで、上級生も成長していきます。
相互に学び合い高め合うことで、ゼミ生全員を繋ぐことをモットーに、
平安文学の研究方法を主体的実践的に学び、
やまとことばによる古典文学作品の奥深い魅力と高度な表現法を研究します。
実際に先輩の応援によって、「源氏絵」を多角的な視点から解釈する方法を学び、
物語本文の読みをさらに深めていくことができたとの感想が多数寄せられました。
(S・K)

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「花宴」

「花宴」の源氏絵は桜を楽しむ宴のあと、光源氏と政敵の姫君である朧月夜が劇的な出会いをし、
これをきっかけに禁断の恋に進んでいく場面を描いています。
「朧月夜に似るものぞなき」と口ずさむ姫君との恋を通して二人が接近していく様子は、
現代の恋愛ドラマにも勝るストーリーだと思います。
場面の華やかさだけでなく、二人の間で交わされる優雅なやり取りなどから、
読者たちも「花宴」を高く評価してきました。

この有名な場面の源氏絵を発表するにあたり、
私は「花宴」巻の本文と源氏絵の魅力を分かりやすく伝える方法を探していました。
本文との比較、その他の源氏絵との比較をするために、
関係論文を何本も読むなど大変なことが多く、行き詰まったりもしました。
その時、年生の先輩に相談することで一緒に解決することができました。
ピアサポートの利点は、基礎的なことでも分からないことを気軽に質問できることだと思います。
基本的なレジュメの体裁や論文引用のルールなど、
専門的な質問も親身になって考えてくださり、多くの助力を頂きました。
完成版のレジュメを確認して頂いた時に「よく頑張ったね」と褒められた時はとても嬉しかったです。

源氏絵の解析は、『源氏物語』本文の理解を深めるきっかけであり、
文字を読み解く視点とは異なる角度で物語を楽しむことができます。
今回のサポートで先輩に教えて頂いたことを、
今後は後輩にも伝えていけるように学んでいきたいと思います。
(H・H)
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「橋姫」

私は今回の課題で初めて源氏絵というものを学術的に観ました。
最初に先生から「橋姫」の源氏絵を受け取った時は
パッと目に映る人物くらいしか把握していませんでした。
4年生との合同ゼミで源氏絵の鑑賞法や、調べる時に参考すべき文献などを教えていただき、
先輩たちは自身の努力で広げた知識を私たちのために示し、親身になってサポートしてくれました。
それが私にとって大きな支えとなり、
より実のある発表をしようというモチベーションに繋がりました。

そうは言っても初めはなかなか上手くいきませんでした。
一度自分なりに満足のいく原稿を作ることができ、先輩に添削をしていただきました。
自分ではいろいろ調べて上手くまとめたつもりでも、先輩の目を通して見てみると、
まだまだ本文をよく読めていなかっ たり、偏った意見の文献ばかり取り上げているという
指摘のおかげでそれに気がつくことができました。
今まで気にしてこなかったことや、知らなかったことに触れることで、
新しい感覚を受け入れることになり、新鮮で大きな学びに繋がったと実感しています。

この合同ゼミと発表を通して今では人物以外に、周囲に映えている植物や、調度品、絵師の意図など
さまざまな情報を頭に入れながら源氏絵を観ることができるようになりました。
そして源氏絵の理解を通してこれまでとは異なる視点から、
『源氏物語』本文の読みを深めることができました。
これはひとえに先輩のおかげだと思います。
何度レジュメの添削をお願いしてもその都度丁寧にフィードバックしてくださり、
とても心強かったです。
今回の課題研究で身に付けた力はこれからの学びの糧になると確信しています。
(K・O)
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