2021年8月

日文ブックリレー第19回 [2021年08月31日(火)]

インスタグラムで始まった「日文生ブックリレー」をブログでも掲載しています。
今回で第19回目です。

日文のインスタグラムは以下の通りです。日ごろのイベントなどをアップしています!
是非覗いてみてください。
日文アカウント:@swu_nichibun_official

本を通じて日文生同士はもちろん、受験生の方とも繋がっていければ嬉しいです。
今回も3年のお2人です👏

①MKさん🌠

こんにちは!犬や猫の動画を見ることにハマっているM・Kです。

今回私が紹介させていただく本は、三浦しをんさんの『きみはポラリス』です。

三浦しをんさんは、『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞を、『舟を編む』で本屋大賞を受賞した方です。
『舟を編む』や『風が強く吹いている』などの作品は、テレビアニメや映画にもなっているので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

『きみはポラリス』は、「恋愛」をテーマにした短編集です。
「ラブレター」や「信仰」、「あのころの宝もの」など、定められたお題に沿って書かれた11篇の作品が集められています。

11篇の作品の中で、とくに私のおすすめの作品は、「年齢差」というお題に沿って書かれた
『冬の一等星』です。
この作品は、主人公が8歳の冬に「誘拐」されたときのことを回想する話です。
このときの「誘拐犯」との思い出を、大人になっても大切に思い続ける主人公の愛が描かれた、切なくも心温まる作品です。
「恋愛」がテーマの本なのに「誘拐」?「誘拐」なのに「心温まる」?と興味を持ってくださった方に、ぜひ読んでいただきたいです。

『きみはポラリス』は、愛とはなにかを考えさせられる本だと思います。
この本には、さまざまな立場の登場人物たちの、多様なかたちの愛が描かれています。
どのような愛が描かれているのか、ぜひ、実際に読んで楽しんでいただきたいと思います。
普段あまり恋愛小説を読まない方にもおすすめの一冊です。

次は、暇さえあれば推し事に夢中になっているというM・Sさんです。よろしくお願いします!

②MSさん🔥

アイドルが大好きで、暇さえあれば推し事に夢中になっているM・Sです。
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今回、私が紹介する本は宇佐見りんさんの『推し、燃ゆ』です。
突然ですが、みなさんには「推し」はいますか?

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物語の主人公は、女子高校生・あかり
あかりはアイドルである上野真幸を推すことに全身全霊を注いできました。
学校もバイトもうまくいかないあかりにとって、推しこそが自分の救いでした。
そんなある日、突然推しがファンを殴り、炎上してしまうという事件が起こります。
炎上によって、あかりの推しは人気を失い、芸能界引退を発表。
このことが、あかりの人生にも大きな変化をもたらして…。
生きがいである推しを失ったあかりはこれからどう生きていくことになるのでしょうか?

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この作品を手に取ったきっかけは、タイトルに書かれている「推し」という言葉に惹かれたからです。
推しの存在が必要不可欠だった私は、この言葉に敏感に反応してしまいました。
そして、作品中にあかりが放ったある言葉が心に残りました。

推しを推すことがあたしの生活の中心で絶対で、それだけは何をおいても明確だった。中心っていうか、背骨かな。

推しを背骨だと表現したあかりにはとても共感しました。
推しは、私にとっても、生きる糧です。
推しがいるから頑張ることができます。
推しが頑張っているから、私も頑張らなければならないと思わせてくれます。
今では、推しのいない生活は考えることができませんし、推しが与えてくれる力はとても大きなものです。

しかし、推しは永遠ではありません。
いつか、推せなくなる時が必ずきます。

あかりという女の子を通して、自分だったらこの大きな局面をどうやって乗り越えることができるのか、ぜひ一緒に考えてみてください!

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推しを推しているあなた
推しを見つけたいと思っているあなた
推しの世界を覗いてみたいと思ったあなた

ぜひ、この本を手に取ってみてはいかがでしょうか?
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次は、最近ランニングで汗を流すことにハマっているというY・Oさん、お願いします!

(CC)

2021年度 第1回「毛筆書写検定」合格! [2021年08月25日(水)]

「書道実習Ⅳ」(木村先生担当)を履修している学生の中から5名が、文部科学省後援 (財団法人)日本書写技能検定協会主催書写検定に合格しました。
この授業は仮名文字古筆の学びを主としてしますが、木村先生の指導により、書写検定にもチャレンジ。
木村先生からは、この検定は手本があって揮毫する出題ではないので、書写応力が試され、自分の不足は何なのかを問いながら、何度も添削を繰り返し、学生が努力していたとコメントをもらいました。
↓合格した2名の取り組みなどを紹介します。(嶺田)
2級合格 TIさん
過去問の3回分を繰り返し添削指導していただきました。
手本を見ずに楷書と行書を書くことは、最初は不安や迷いがありましたが、基本を徹底することで、最初より迷わず書けるようになりました。また、仮名の臨書は、書道実習ⅡとⅣで身につけたことが活かせました。
2級の試験で特に私が苦戦したことは、俳句を、字の崩し方だけではなく、バランスよく書くことです。先生は、この点を重点的に指導してくださり、自信を持って試験に臨めました。この試験や練習を通して、書道の基礎力が向上しました。次は準1級に挑戦してみようと思います。
3級合格 SMさん
今回、初めて書写検定を受験しました。
先生の添削やお手本を参考にしながら、授業中の課題をこなすだけでなく、家でも練習を何度も繰り返しました。また、自分でも添削を行い、できない部分を意識しながら、練習に取り組みました。不安もありましたが、無事に合格することができ、とても嬉しかったです!
私は大学に入るまで書道を習ったことはなく、大学入学と同時に始めました。検定を受験してみて、徐々に書写能力が身についていることを実感することができました。
これからも、日々の授業を大切に、上の級を目指していきたいです。

オンラインで海外の大学と交流(2)アイルランガ大学 [2021年08月24日(火)]

<日文便り>

こんにちは!日文の植松です。
6月は日本語文法論の授業で2回、海外の日本語教育機関とオンラインで交流を行いました。
その2回目の様子をお伝えします。

6月29日(火)に、日本語文法論(80名)のクラスに本学日文卒業生の外口さんをゲストスピーカーに迎え、日本語教師の仕事および在学中の過ごし方についてお話をうかがいました
外口さんは在学中から、日本語教育実習の授業でもキラリと光る力を発揮していましたが、
3年間日本語学校の教壇にたつという経験を経て一回りも二回りも成長し、
学生たちは夢中で外口さんの経験談に耳を傾けていました。
卒業生が活躍している様子を見るのは、本当に嬉しいものです  🙂


(外口さん)


(対面60名、オンライン20名で実施)

外口さんは在学中に、国際交流基金の「日本語パートナーズ」という制度を利用して、
1年間インドネシアの高校で日本語教師のTAを経験しました。
その際に研修でお世話になったアイルランガ大学のアントン先生にもオンラインで参加していただき、インドネシアの日本語教育の実情、インドネシア語母語話者が日本語を学ぶ際の困難点等について、興味深いお話をうかがいました。


(アントン先生に質問)

学生からのコメントを一部紹介します!
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日本語を教えている方のリアルな本音を聞くことができて楽しかった。
自分が感覚的にしかわかっていないことを人に理解してもらえるように説明するというのはとても難しいので、それを実際にやっている日本語教師の凄さの片鱗を見たような感じがする。
外口さんが「日本語教師として、勉強と反省の日々」とおっしゃっていたように、毎日のように新しい視点から日本語を考え続けるのは大変だがやりがいのある仕事だろうなと思った。
また、インドネシアには日本語学習者が多いことを知って、嬉しかった。
今日の授業を通して、インドネシアに関心を抱いた。
(日文2年 Oさん)
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外口さんの講演ですが、日本語教師になって3年という、
色々なことが軌道に乗り始めるであろうこの時期に、お話を聞けたことは貴重な経験だったと思う。
特に、苦労したことが、近い過去の経験と言えばよいのだろうか、
ベテランの先生からお話をうかがうよりも、よりリアルに想像できた。
その分、やりがいや、日本語教師をすることの魅力、楽しさも伝わってきて、
将来なりたい理想像の一人になった。
(日文1年 Iさん)
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アントン先生のお話では、インドネシアの人が日本のアニメや漫画文化を通した技術力に関心を強く持っているということがとても印象に残った。
それらの文化が評価されていることはわかっていても実際に日本語教育にどれほど影響を与えているのかが実感できなかったため、今回具体的な日本への関心を知ることができて良かった。
今回の講演で日本語教師のリアルな苦労やインドネシアでの日本語を学ぶ動機についてなど、様々なことを新たに知ることができ、自分のキャリア形成について考えるにあたってとても参考になり、とてもよかったと感じた。
(心理3年 Oさん)
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授業の一環ではありますが、学生にとって身近なキャリアモデルを見ることで、
一つのキャリア支援にもなったのではないかと思います。
今後も、対面/オンラインにかかわらず “外へと開かれた授業” を意識し、
知識と実践(実際)を結びつける過程で得られる気付きを大切にしたいと思います。

(植松容子)

日文ブックリレー第18回 [2021年08月20日(金)]

インスタグラムで始まった「日文生ブックリレー」をブログでも掲載しています。
今回で第18回目です。

日文のインスタグラムは以下の通りです。日ごろのイベントなどをアップしています!
是非覗いてみてください。
日文アカウント:@swu_nichibun_official

本を通じて日文生同士はもちろん、受験生の方とも繋がっていければ嬉しいです。
今回も3年のお2人です👏

①AMさん👒

こんにちは、最近お笑い番組を見ることにハマっているA・Mです!!
今回私が紹介させていただくのは、原田マハさんの「ロマンシエ」です。

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主人公・遠明寺美智之輔(おんみょうじみちのすけ)は、中身は乙女で恋愛対象が同姓、同級生の高瀬君に恋をしている美大生。自分が乙女であることは周りに隠している。

そんな美智之輔は卒業制作の特別賞を受賞し、パリへと留学できることに。
美智之輔は卒業後にパリへと旅立った。

パリで過ごしていたある日、美智之輔はカフェでアルバイト中、美智之輔の愛読書の著者である小説家の羽生光晴(はぶみはる)と出会う。
しかし光晴はとある事情で、版画の一種である「リトグラフ」の工房に匿われていた。
ひょんなことからそのリトグラフ工房を訪れた美智之輔はリトグラフの魅力に惹かれ、リトグラフを制作するようになる。

自分は何がしたいのか、自分は何者なのか―。
美智之輔の恋や夢に奮闘する姿が描かれる一冊である。
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私が「ロマンシエ」と出会ったのは、本屋です。
小説のコーナーを見ていると、「ロマンシエ」の背表紙が目に留まり、「何だか素敵な題名だなあ」と思い、題名に惹かれてその本を購入しました。
ちなみに「ロマンシエ」とはフランス語で小説家という意味です。

読んでみると、美智之輔の高瀬君との乙女な妄想が繰り広げられていてくすっと笑えたり、美智之輔が悲しい気持ちになっていると読んでいるこちらまで切なくなったりして、色々な感情が一冊で味わえて読んでいて楽しくなりました!
また、美智之輔が頑張っていると、自分も頑張ろうと前向きになれました。
「ロマンシエ」を読んで、私は美智之輔から元気をもらうことができました。

さらに、パリなどが舞台となっているので外国の雰囲気も感じることができ、旅に行ったような気分になれます。

元気が出ない時、くすっと笑いたい時、外国の雰囲気を味わいたい時などにおすすめなので、そのような時に是非読んでみてください!!

次はアイスを食べることにハマっているA・Sさん、お願いします!!

②ASさん🍨

こんにちは!
夏になって、色々なアイスを食べることにハマっているA・Sです🍨

今回私が紹介させていただく本は、有川浩さんの『塩の街』です。

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塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女、秋庭真奈
世界の片隅で生きる2人の前には、様々な人が現れ、消えていく。だがーー「世界とか、救ってみたくない?」。ある日、そそのかすように囁く者が運命を連れてやってくる。

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この本は、アニメ化や実写化もされたあの『図書館戦争』の作者、有川浩さんのデビュー作です。有川浩さんは他にも実写化された作品が多いので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

この物語の舞台は、突如謎の白い巨大隕石が落下し、人々が塩の柱になってしまうという怪奇現象、「塩害」が起こった世界です。
インターネットや交通機関、社会機能のほとんどが失われ、荒廃した東京で主人公の2人は出会います。
そして、他人だった2人の関係は、様々な人との出会いを通して徐々に変化していきます。

塩害が起こったことで出会った2人の恋模様、そして2人が出会う人それぞれの恋、人生、最期……人が塩になってしまうという決して明るくない題材ではありますが、ドキドキして感動できるお話です!

また『塩の街』は、『空の中』『海の底』と並ぶ三部作の一作目となっています。
この二作も『塩の街』と同じく、現実では考えられないことが起こった世界が題材となっていますが、有川浩さんお得意の恋愛もしっかりと描かれているので、恋愛ものが好きな方はぜひ『塩の街』と合わせて読んでみてほしいです!💕

次は、犬や猫の動画を見ることにハマっているというM・Kさん、よろしくお願いします!

(CC)

学校で学ぶということ [2021年08月17日(火)]

<日文便り>

コロナ禍により大学では昨年からオンライン授業対応を余儀なくされ、
それに伴い授業ごとに毎回自宅学習のための課題が課せられるようになった。
その結果、当然のことながら学生の学習時間は増えたという。
日本の大学生は勉強しない、と言われて久しい。
それがコロナ以降毎日、授業ごとに課せられる課題のために、データ上学生の学習時間が増えた。
このデータは学生の学習習慣が身についたというよい傾向であると分析され、
今後もこの方向性を推し進めていこう、という話が聞かれる。
私自身は、これがよい傾向であるとういうことにも、
そしてそもそも学習時間が伸びたということ自体にも懐疑的である。
自分の体感と違うのだ。
体感としては、学生の処理量は増えたかもしれないが、書いてくるものの質は下がっている。
以前より勉強が「できていない」。
体感(勉強ができなくなっている)とデータ(勉強するようになった)の間にズレがあるのなら、
そこで考えなければいけないと思っている。
データがこうだから、と言われて鵜呑みにしていたら、
学生に「自分で考えなさい」なんて言えなくなる。

今年度前期は、社会情勢の目まぐるしい変化から、
対面→オンライン→対面→オンラインと授業形式の変更も繰り返された。
そんな、対面とオンラインのはざまで、見えてきたことがある。
6月後半、学期終盤に差し掛かって数週間だけ、対面が再開になった頃。久々に学内に学生がいる。
今までなら当然のことだが、もはやそれは珍しい光景。
学生たちの囀りが自然と耳の中に入ってくるが、
そこでようやく、今まで気づいていなかったことに気づいた。
学生同士のおしゃべりで、授業の話をよくしているのである。
久しぶりに、新鮮な気持ちで学生を観察してみたら、
これがもう、意外なくらい勉強のことが話題に出る。
あの先生の言ってることがわけわかんなかった、それってそういえばあの先生が言ってた、
そういえばこないだの授業で・・・教員の噂話だったり、
話の流れのちょっとした連想で出てきた話であったり、
とっかかりはささやかではあるが、あらゆる角度で授業の話、研究分野の話が出てくる。
そして共感しあったり、考えを述べあったり。
本当にあらためて、うちの学生たちは授業の話してるんだなあ、と思った。
よくよく考えたら、学校に通う学生たちの共通の話題として、
授業の話って、大きな位置を占めるのだ。
そして、そういうおしゃべりの中での頭の使い方って、
設定された課題を解くというようなものではなく、自分で咀嚼して、自分にとっての整理をして、
目の前の相手に自分の意志で伝えようとして、出力しているのだ。
それって、「今からディスカッションの時間を設けます。はい、ディスカッションしてください」
なんていう形でのアクティブなディスカッションとやらとは比べ物にならない頭の回転のさせ方をしている。
ご立派なゴールをめざし、望まれている深い所へ行く、
というのなら設定された課題を解いた方がいいかもしれない。
だが一方で、浅くてもいいから、自分の脳みそのネットワークに学んだことをちゃんと取り込んで、
自分用に位置付ける、という過程は、こういうおしゃべりのほうが圧倒的に効果的なのではないか。
本があって情報検索もできるのに、みんなで集まって同じペースで人の話を聞く、
なんていう一見非効率の権化みたいな教育システムが結局なくならないのは、
「みんなで勉強する」ということの効果は代えがたいものがあることを、
われわれがデータ化の数値を叩きつけられる以前に、
そしてデータ化の数値が違う結論を示していてもなお、本能的に知っているからではないか。
しかもこのおしゃべりの瞬間に、「勉強している」なんていう自覚はない。
こんなに勉強になっているのに。
学校でのおしゃべりがなくなったぶん、学生の授業時間はオンラインで「減っている」のだ。
質の面のみならず、おそらく量的にも。
「あなたの1日の学習時間はどのくらいですか」という質問項目があるとして、
このおしゃべりの時間を計上しようとはまず思わない。
机に向って勉強らしい勉強をしている時間のみを「勉強時間」と意識する。
結果、オンライン課題の時間は新たに計上され、
日々ちょっとした瞬間瞬間に友達とおしゃべりしながらの勉強時間はゼロになっても、
もともと計上されていないのだから何の変化もない。
結果「学習時間が増えた」というデータになる。こういうことなんじゃないのか。
今の世の中、可視化せよ、数値目標を示せ、これは何の役に立つのか、とさんざん言われる。
そこで「この分野は数値化できない部分があって・・・」なんて言おうものなら、
変わろうとしない、旧態に閉じこもろうとするような者の非論理的な言い訳に思われる。
でもあらためて、数値化できる部分は本当に限られるし、
数値化できる部分に限っても、無前提に正確で客観的だなんていうのは幻想である。
どういう認識でどう数えるか次第で、「学習時間」一つ取ったって結果が変わりうる。
だからこそ、やれ数値化、やれ可視化と言われている時代にこそ、
与えられた尺度をただ適用するんじゃなくて、「考え」なければならないと思っている。
数値化したら科学的で客観的に見えるけど、その「客観的に見えること」を隠れ蓑に、
考えることを怠けているだけになったりしてはいないか。
そもそも、今の時点で数値化できる要素だけを集積したら、
目標にたどり着けるなんていう考え自体、正直傲慢だと思っている。
人間が考えてすぐ奇麗にそろえられるような要素に分割できるほど、
この世界は簡単なものではないだろう。
世界に対し、せめてその程度の敬意は持っているつもりだ。
医者に行けばいろんな数値が出てくるが、
それにしたって「現時点では使える尺度がここまでで、人体なんて未知の部分がいっぱいある」
という自覚のもとに、その数値は使われているはず。
もちろん根拠もない思い付きや旧習だらけでは困る。
でも有用な客観的な尺度があるとして、それに対し「これを信じていればもう考えなくていいから、今後はここでいい数値を出すことを目指します」と思うか、「本質はブラックボックスだが、現状、この側面は使えます」という認識でいくかでは、同じ尺度でも意味合いとその先がかなり変わってくる。だからこそ、これからも考える。
学生も、こちらが教えたことがそのままできるようになるのではなく、
こちらが考えられなかったことを考えられるようになってほしい。
この学科は、それを目指している。
今の世の中は「見えない敵との戦い」とよく表現される。
だからこそ可視化したい、という気持ちに傾くのは一方でわかる。
しかし、見えないものと戦うときに、見える物だけで判断してうまくいくんだろうか。
「人間文化」「文学」という看板を掲げている以上、
今ある/与えられた物差しだけで見るのではなく、
見えないものを見ようとする姿勢を貫き続けたい。
そこにこそ、この学科の、この時代における意義があるんだと思っている(ついでながら、「文学なんかやって”何の役に立つのか”」という問い自体が、特定の時代と価値観に立った問いであることをぜひ考えてほしい。問いをそのまま受け入れて「こういう役に立ちます」なんていう詭弁を弄する以前に「役に立つのか」という問いの出どころの考え方自体を疑ってほしい)。
規定のモノを、既定の方法で測る技術は、一人でも学習できる。
じゃあ、学校でしか身につけられないものって・・・?「学習」と「学校」は違う。
この先どのような社会になり、大学がどんな形になるとしても、
学生に「学習」を提供して終わりではなく、きちんと「学校」を提供できる存在でありたい。
いま、この状況でもそれがちゃんとできてます、なんてとても言える気はしない。
でも、できてなければいけないことだし、できるようにならなきゃ。
そのために、考え続けるしかない。

(須永哲矢)

日文ブックリレー第17回 [2021年08月16日(月)]

インスタグラムで始まった「日文生ブックリレー」をブログでも掲載しています。
今回で第17回目です。

日文のインスタグラムは以下の通りです。日ごろのイベントなどをアップしています!
是非覗いてみてください。
日文アカウント:@swu_nichibun_official

本を通じて日文生同士はもちろん、受験生の方とも繋がっていければ嬉しいです。
今回も3年のお2人です👏

①AIさん🚀

私が紹介する本は北野勇作「100文字SF」です。
この本は、著者のツイッターで発表された作品を抜粋しまとめられたものです。
SFをテーマに100字で構成された話が二百篇収録されています。

たった100文字だと侮るなかれ!
100文字さえあれば宇宙や過去に行けてしまいますし、文明だって滅びます。

時間や空間を忘れたい!ちょっと息抜きに地球から離れたい!と思った方にぴったりな1冊となっています。
あなたの想像力と共にぜひ、お気に入りの一篇を見つけてみてください。

次はミステリーとファンタジー小説にハマっているK・Uさんです!

②KUさん☽

こんにちは!ミステリーとファンタジー小説にハマってるK・Uです。

最近は荻原規子さんの勾玉三部作を読んでいます。
今回私が紹介する本は、凪良ゆう「流浪の月」です。
昨年の本屋大賞に選ばれた本なので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

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両親と別れ、母方の伯母の家で暮らす更紗は9歳の時、誘拐事件の被害者となる。家に帰りたくない更紗に声をかけ、2ヶ月間一緒に過ごした19歳の佐伯文が犯人として逮捕される際、更紗が泣き叫ぶ様子が居合わせた人々に撮られ、拡散されていく。

更紗は「可哀想な被害者」文は「ロリコンの誘拐犯」というレッテルを貼られてしまう。

事件から15年後、更紗と文が再び出会いーー

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この本では、「事実と真実は違う」ということが語られています。
事実だけを切り取ると加害者と被害者の2人ですが、実際は伯母の家で生きづらさを感じた更紗が自分の意思で文について行き、2人はささやかながら幸せな生活を送っていたのです。
大人になってからも、「誘拐事件の被害者」というレッテルはついて回っており、
息苦しさのようなものを読んでいてとても感じました。

また、「半透明の氷砂糖みたいな声」「甘くて冷たい磨りガラスみたいな声」など比喩表現がとてもお洒落で、想像力を掻き立てられます。

「流浪の月」は派手な展開はないものの、ゆっくりと心に沁み入るような素敵な作品です。

興味を持っていただけましたら、是非手に取って読んでいただきたいです!!

お次は、最近お笑い番組を見るのにハマっているA・Mさん、よろしくお願いします💁‍♀️

(CC)

【受験生のみなさん】この夏最後のオープンキャンパスが開催されます! [2021年08月13日(金)]

受験生のみなさん、こんにちは!

8月21日(土)に第3回目のオープンキャンパスが開催されます🌸

6月から1カ月に1度のペースで開催してきましたが、これが最後のオープンキャンパスです。

コロナ対策をしっかりと行ない万全を期して開催いたしますので、安心してご参加ください😊

内容といたしましては、学科の先生方と現役の学生さんがみなさんからのご質問にお答えする個別相談や、学科長と現役の学生による学科説明会、来場型とオンライン型のどちらでも参加が可能な体験授業があります!

(学科説明会の様子)

当日のスケジュールは以下の通りです。

10:00~15:00 個別相談

10:15~11:00 学科説明会

11:15~12:00 体験授業

すべて1号館の4階で行なわれます。

事前予約・定員制ですので、以下のページよりお申込みください。

👉来場型オープンキャンパスについて👈

学科説明会の予約枠が満席となっていましたが、会場を増設いたしましたので予約可能でございます!

今年度のオープンキャンパスの詳細が気になる方はぜひ 入試情報サイトをご参照ください。

みなさんとお会いできることを楽しみにしています🌟

(IY)

 

 

 

 

 

咲く花に思う [2021年08月11日(水)]

<日文便り>

受験生の皆さん、元気で頑張っていますか。

コロナ禍で、感染者数の増加が伝えられる度に、
先の見えない不安に押しつぶされそうになるのではないかと思います。

毎日の閉塞感から心を解き放つ時間を少しでも作ってください。

私は朝散歩をして、馴染みの方と挨拶を交わし、気ままに暮らす猫やカルガモを見たりしています。
ささやかな楽しみは、緑道や神社、個人のお宅に咲く花を眺めることです。

二つ紹介します。一つ目は世田谷区の花、鷺草です。鷺が羽を広げたように見えませんか。
可憐な白い花ですが印象に残ります。昨年は鷺草の花を見ることが出来ませんでした。
今年はラッキーでした。
  

もう一つは蓮の花です。民家の狭い路地で鉢植えにして育てられたものです。
泥の中から2メートルぐらい延び、朝の日の光を浴びて咲いていました。
4日ぐらいの花の命ですが、長い時間をかけてようやく花開くのです。

植物の頑張りに元気をもらっています。

大学生も思うに任せぬ状況の中ですが、前向きに大学生活を送っています。
受験生の皆さんに応援メッセージを寄せてくれましたので、届けます。
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大学は、自分の好きなことを極めるほど評価される、素晴らしい環境です!!
自分の興味に素直に学部、学科を選択することをおすすめします。
もし、自分の好きなことが分からないという方は、
好きな教科や、憧れる職業で選んでもいいと思いますよ。
(1年NIさん)

敷地は広く綺麗で、学生支援も充実している、1度入ればハズレ無しの素敵な大学です。
夏休みを利用して夢の実現のため頑張ってください!
(1年HSさん)

大学生になると、高校とは違い様々な分野を深く学び、
好きなことに挑戦できる機会が多く設けられています。
きっと充実した毎日を送ることができると思います。
受験勉強は大変だと思いますが、必ず良い結果が得られると信じ、最後まで頑張って下さい。
(1年KIさん)

コロナで学校に行く機会は少なかったですが、
学ぶ環境が整っているので、リモートでも、充実した学校生活を送っています。
わからないことも多く、大変だとは思いますが、頑張ってください。応援しています。
(1年MYさん)

日文受験生のみなさん、
私は、大学2年生から3年生の現在までコロナのためほとんどの授業がオンラインで、
大学に通う意義、将来について考える機会がとても増えました。
受験生のみなさんにおいては、
このような私の不安よりも何倍も大きな不安を感じていらっしゃることと思います。
私が言えるのは、こんな状況下ですが、自分がやりたいこと・興味があることを見失わず、
時には直感も大切に進むしかないということです。
ひとりで抱え込まず、自分の未来に向かって受験勉強に励んでくださいね。
(3年MHさん)
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受験生の皆さんと、共に学ぶことを楽しみにしています。
健康に留意して頑張ってください。

(KR)

卒業生が遊びに来てくれました! [2021年08月10日(火)]

2020年3月に卒業したNさんが、7月21日に研究室へ遊びに来てくれました!

Nさんは実は日文ではなく英コミの卒業生です。

え?日文ではなく英コミ?と思われた方。

日本語教育修了証を取得する学生は、もちろん日文の学生が最も多いのですが、他学科(英コミ、国際、ビジネス、福祉、現代教養、管理栄養…)の学生も多いのです。

その日は英コミのゼミでお世話になった先生にご挨拶するために大学にいらっしゃったのですが、ついでに私の研究室にも立ち寄ってくれました。

 

Nさんは秋からアメリカの大学院に進学するかたわら、現地の大学で日本語教育のTAをします。

本当は去年に出発する予定だったのですが、この状況下で1年延期となりました。

待機の間もブラッシュアップを続け、昨年夏に開催した「日本語教育能力検定試験合格のためのピアサポート講座」でも講師役を引き受けてくださり、その結果、試験に見事合格👏

 

渡航を祝して、山本晶子先生(中世文学)と私が担当していた「日本文化発信プロジェクト」で製作した冊子『ことばから広がる狂言の世界』、『狂言のことばを楽しもう!-「附子(ぶす)」-』をお渡ししました。

きっと現地で日本文化関連の授業を担当したり、学生から質問を受けたりすることもあると思います。

そんな時は是非この冊子を活用して、狂言のことを伝えてください!

もしこちらがお力になれることがあれば、オンラインでの合同授業も歓迎します😊😊

 

Nさん、渡航が決まって本当に良かったですね。

常に状況を前向きに受け止め、今できる努力をたゆまず続ける姿勢、本当に素晴らしいです。

体に気を付けて、思い切り悩み、考え、行動し、実りある留学生活をお過ごしください!

(植松 容子)

日文ブックリレー第16回 [2021年08月05日(木)]

インスタグラムで始まった「日文生ブックリレー」をブログでも掲載しています。
今回で第16回目です。

日文のインスタグラムは以下の通りです。日ごろのイベントなどをアップしています!
是非覗いてみてください。
日文アカウント:@swu_nichibun_official

本を通じて日文生同士はもちろん、受験生の方とも繋がっていければ嬉しいです。
今回も3年のお2人です👏

①SKさん🍶

こんにちは、お酒を飲みながら映画を見ている時に一番の幸せを感じるS・Kです。
私が紹介する本は 谷崎潤一郎『痴人の愛』です。

第二次世界大戦終戦直後の昭和22年に刊行された本です。
「谷崎潤一郎」という名前は皆さんも国語の授業で聞いたとこがあるのではないでしょうか?

お話の舞台は大正時代末期の日本。

真面目な会社員である「河合譲治」がカフェでウェイトレスの見習いとして働いている「ナオミ」という美少女と出会うところから話が始まります。
譲治は28歳、ナオミは15歳。
譲治はナオミを妻にするために引き取って一緒に暮らし始め、自分好みに育てようとします。
しかしナオミは次第に、自分の美しさに気付き、そして自分が今いるところの狭さに気付き、
覚醒していきます。そんな中ではもちろん譲治の教育はなかなか思い通りにはいかず…。
最終的に2人はどうなってしまうのか。
目まぐるしいほどの美貌を持つ少女とその少女を思い通りに育てようとする男の8年間を描くこの作品。
ぜひ、2人の顛末を見届けてみてください。

果たしてどちらが「痴人」なのか、はたまたどちらも「痴人」なのか。

読んで、考えてみてください。

この本とは大学2年生の時に取った近代文学の授業で出会いました。
初めて手に取った時は「28歳の男性が15歳の美少女を自分勝手に育てていくお話、
なんてことをしているの!?」と思いました。
今でしたら半ば犯罪ですし、女が育てられる側なんて悔しい!などなど様々な感情と共に読み進めていました。

そう思いながらも、読んでいくうちに魅了された点があります。
それは谷崎の「女性の描き方」です。
谷崎は、無垢な少女から徐々に覚醒していくナオミの危なっかしくも魅惑的な姿を文章だけで華麗に表現し、描き切っています。
挿絵などは一切ありませんが、文章を読んだだけで、その艶めかしいナオミの様子が目の前に浮かんでくるようでした。

女の子は何かにつけて「女の子らしく」と言われます。

それがうざったく感じた時は、ぜひこの作品を手にとって、自由奔放に、
かつ美しく振舞うナオミと自分を重ねながら読んでみてください。
鬱蒼とした気分が吹き飛ぶほどの清々しさがこの作品にあるように感じます。

ところで、みなさんは「推しの古典助動詞」などはありますでしょうか?
お次は、「終止形接続」の助動詞にハマっているというS・Yさんです。

よろしくお願いします♡

②SYさん🍎

【ドドソベリイドソドベリイ!

鏡や鏡、犯人はだあれ?】

私が紹介するのは森川智喜「スノーホワイト」という推理小説です。

言わずと知れたおとぎ話「白雪姫」を題材とした物語で、
メルヘンな世界観で本格的な推理バトルが繰り広げられます。

主人公は襟音ママエという14歳の普通の女の子。
推理は苦手でも「真実を知ることができる鏡」を持つ、【反則】の名探偵です。
助手である小人のグランピーと二人三脚で私立探偵事務所を運営し、
様々な事件を、時に誤魔化しつつ、言いくるめしつつ解決していました。

そんなある日、名探偵スノーホワイトの命を狙うお妃様が現れて、
物語はどんどんエスカレートしていきます!

おとぎ話と本格ミステリーの融合、メルヘンな語り口から繰り出される高度な推理劇の面白さは、
まさに【反則】級です!

本を開いたら止まらないミステリーを、ぜひ一度体感して下さい!

次回の担当は、散歩にはまっているA.Iさんです。お楽しみに!

(CC)