こんにちは。
古典文学担当の山本です。
今日は、私の担当する授業について紹介します。
古典文学を研究する上で、大切なことの一つに原典にあたることがあります。
毎年新年度が始まったところで、私のゼミ(今年度は、大学院の日本文学特殊研究Cでも実施)では、江戸時代~大正時代にかけて製作された和本を用いる授業を行います。和本といっても、巻子本と呼ばれる巻物から、大きさや形の異なるもの等、様々です。そのなりたちについて解説し、直接手に取ってもらい、理解を深めます。
また授業では、こうした和本に書かれたくずし字を読む訓練も行います。
くずし字は、なかなか難しいと思っている学生が多いですが、そんな人たちの手助けとなるアプリが昨年公開されました。くずし字を自動で読み取る「AIくずし字認識アプリ みを(miwo)」です。このアプリについても紹介して、AIにどのようなことができるのか、体験してもらいました。
参加した受講生からは、次のような感想が寄せられました。
・和本というと、脆くて取り扱いが難しいイメージがあったが、意外にも綺麗でしっかりしているのが印象的だった。様々な本の種類に直接触れることで、現代の本の形に至るまでの変遷をより身近に感じることができた。
・折本や巻子本なども見せていただいて、劣化のしやすさや仕舞いづらさなどの短所も感じましたが、折本は見開きのページが見やすい点や、巻子本はページがないため絵が常に見開きで途切れない点などの長所もわかりました。
・和本の軽さに驚きました。本の綴じ方も現代とは異なり、実際に触ってみて新鮮な気持ちになりました。印刷されたものでも現代の印刷の方法とは違うため、文字に親しみやすく温かい印象を持ちました。
・以前書誌学の授業を受講したことがあり、和紙・和本の装丁の種類や歴史は一通り知っていましたが、現物に触れるのは今回が初めてでした。知識として分かっていても、和本の軽さや和紙の薄さといった現代の本とは異なる手触りを初めて知り、現物に触れることで目を養う貴重な機会を得られたと思います。
受講生が、こうした授業を通して、本物を見ることの大切さに気づいてくれると嬉しいです。
(山本晶子)