『文学理論と文学の授業を架橋する』

〈日文便り〉

こんにちは、日文の山田夏樹です。

この3月のおわりに、『文学理論と文学の授業を架橋する―虚構・語り・歴史と社会―』という本を、東京学芸大学出版会から出版しました。

扇田浩水先生、大澤千恵子先生、千田洋幸先生との共編著の形になります。
本書は、国語教育と文学研究を共同させたものです。
具体的には、小、中、高、大の教室において物語を読む際の、文学理論の意義を、実践の記録に基づいて論じたものです。

私自身は、まず序章「国語教育における文学理論の意義」(扇田浩水先生との共著)において、理論と実践がどのように関わるのかを示しました。
また「第2章 語りと語り手」の【実践編】において、中学の定番教材であるヘルマン=ヘッセ「少年の日の思い出」と、高校教材の吉野弘「夕焼け」について論じました。
それぞれ、語りに注目して読むことで、改めて何が見えてくるのかを、大学での授業実践を通じて明らかにしたものです。

どちらも昭和女子大学の日文での授業が基盤になっており、受講生の皆様には感謝しています。
他にも、森鷗外「舞姫」、魯迅「故郷」、新美南吉「ごんぎつね」、太宰治「葉桜と魔笛」「走れメロス」「水仙」、中島敦「名人伝」など、定番教材を含め、著名な作品の授業実践が、理論とともに示されています。
また、「虚構」「語りと語り手」「歴史と社会」に関する、理論的な解説もあります。

国語や文学、物語に興味のある方、また自身の経験した国語の授業を顧みたい方など、
ぜひ多くの方に手に取って頂ければ幸いです。

 

〈山田夏樹〉