立春を過ぎて、春めいた日差しを感じるようになりました。と、書いて、「春めく」はいうのに「冬めく」は言わない、と思い、国立国語研究所構築の「現代日本語書き言葉均衡コーパス」で、「春・夏・秋・冬」+「めく」の用例数を見てみました。結果は、次の通りでした。
<春めく 39 夏めく 5(全部俳句) 秋めく 21 冬めく 0>
やはり「冬めく」は使われていませんでしたし、「夏めく」もあまり日常では使わないようです。接辞「めく」は、「それっぽい」という意味を添えると思います。この季節は梅が咲いたり、日中は日差しがだんだん強くなったりで、待ち望んでいた春が、「っぽく」感じられる、または、「ちょっと早いけど春が来たのだ」と感じたいのでしょうか。
「真冬」「真夏」はあるのに「真春」「真秋」はない。「冬」と「夏」は季節の一番底と頂点で、その間に位置するような季節の始まりを「めく」で表しているのかもしれません。
3年のゼミの学生が、現代俳句166の季語を調査していろいろな観点から分析しました。その結果の一つとして、どのような季節が俳句に取り上げられる傾向があるかを出したところ、季節の終りを表す季語が比較的多い傾向にありました。季節の終り=季節の先取り。
春夏秋冬の間にある短い時間に焦点を当てて表現する日本語を探してみませんか?
(嶺田明美)