3年生・1年生合同ディベート大会(@望秀学寮)が開催されました!

こんにちは、松田忍です。

10月19日から22日にかけて3泊4日の望秀学寮が開催され、歴文3年生と1年生約200名が参加しました。

望秀学寮の目玉プログラムの1つが3年生と1年生の縦割り班によるディベート大会です。

歴文生たちは、専門教育のなかで「確かな情報に基づいて研究する力」や「実践型の学びや海外演習のなかで培った広い視野」の土台がしっかりできています。そうした堅固な土台の上に、さらに「発信する力」や「議論する力」を鍛えて、自信を持たせて社会へと送り出したいと思っております。そのため、学寮や必修授業の機会を使って、段階的にプレゼンやディベートの経験を積ませるべく、路線整備を進めて参りました。そのステップの一つが望秀学寮でのディベート大会であります。

ディベートという形式になると、学生たちもかなり緊張感が増すようでありまして、夜の自由時間も、各部屋で綿密なミーティングがおこなわれたようであります。

さて、今年はディベートのテーマとして、「外国人労働者の受け入れ拡大は是か非か?」のテーマを学生たちにぶつけました。大学生のみなさんがこれから先、生きていく社会の未来像に関わる非常に重要な課題です。現実問題として外国人労働者が増えている実情がありつつも、円滑な受け入れ実現のために、クリアせねばならない課題も山積しているのが現在の状況だと思います。幸福な未来に生きるために、いかなることを考えて議論していくべきかをあぶり出すような機会になることを願って、このテーマを掲げました。

ディベートは、3大学共同ゼミを運営している小野寺先生によって練りこまれた「小野寺方式(!?)」にのっとって行いました。 おおむね7つのSTEPで学びを深めていきます。

STEP 1 参考文献やネット上で公表されているデータなどを分担して集めて、学寮に持ち込む。

100枚以上の統計資料に付箋をびっしり貼り付けて持ち込んだ学生もいて、チームのメンバーから褒め称えられていました笑

STEP 2 KJ法を用いて、テーマに関わる論点を出し尽くし、整理する。

テーマに関して考えられる問題点を、どんどん付箋に書いていき、論点をチームメンバーで共有していきます。

 

STEP 3 各グループごとに論点を模造紙にまとめ、YES/NOの立場を明確にしたプレゼンをおこなう。

外国人労働者受け入れ拡大のメリットと現状における問題点を比較検討し、各グループごとの結論を報告しました。この段階で賛成の班と反対の班の数が拮抗していたことが印象的でした。

STEP 4 ランダムに振りあてられたYES/NOに沿って、ディベートでの立論と討論の準備をする。裁判官役の学生はディベートの進行戦略を練る。

プレゼンでYES or NOのどちらの主張をしたかに関わりなく、ランダムでYESかNOの立場が割り当てられます。それに従って、今度は討論するための論理の組み直しが求められます。裁判官にあたる学生は、自分が担当する対戦カードのグループに貼りついて、事前の情報収集をして、ディベートの進行戦略を練ります。

みなさんの真剣な議論の様子をご覧下さい。

STEP 5 ディベートでの対戦!

いよいよディベート本番です。今回は準備段階で確実な統計の数字を多数用意して議論することを求めました。ドイツの事例やシンガポールの事例、さらには日本における外国人労働者の実情などを示す具体的なデータが飛び交っていて、私もたいへん勉強になりました!ディベートがおわると、裁判官学生からYES/NOの判決とその判断理由が開示されます。

STEP 6 教員からの講評

論点の組み立て方に関して上手かった点や、本来厳しくつくべきだったのにつききれなかった部分があったこと、さらには相手の意見を尊重した冷静な議論ができていたかどうかなどを教員から講評いたしました。

STEP 7 学生同士での互選投票でディベートでのMVPを決定して景品贈呈!

最後にその対戦カードで最も活躍した人を学生同士の互選投票で選び、表彰しました。これ選ばれた人は嬉しいだろうなぁ!!

各チームでは、「歴史文化と社会」(3年必修授業)にて、すでにディベートを経験している3年生が、1年生を優しくリードしている場面が見受けられ、1年生からは「2年後あんな風になりたい!」との声が多数聞かれました!ディベートの時にも、1年生が発言する機会を作ったり、1年生を3年生が挟む形でサポートしたり、 それぞれの工夫が見られ、とても良かったですよ!

受け入れ拡大の規模をどの程度まで見込むのかは論点が分かれますが、日本社会の今後の活力を考えても、国際社会における日本の位置を考えても、外国人労働者の受け入れは不可欠であり、すでに進行している現実でもあります。ただ現在の法制度や意識のままの受け入れ拡大は種々問題があるわけであり、クリアすべき課題があぶり出されるディベートとなったように感じました。

実は歴文のディベート企画は去年からはじめました。学寮という共同生活の場での企画は学生たちの負担も大きいのですが、その分充実感も大きいのではないかと思います。学寮の先生からも「充実したプログラムだね」とお褒めのことばをいただいたようです。

私個人は人文科学の学問とディベートとは全くの別モノだと思っています。歴史史料を前にして沈思黙考して読み解いていくことと、勝つための議論を組み立てていくことは異なる営みです。ただ今回ディベート大会を担当して、その両方が必要な力であると強く実感いたしました。学問的土台を鍛えられている歴文生だからこそ、ディベート力がつけば、まさに「鬼に金棒」。そんな風に考えております。

おそらく今後も学寮でディベート大会をやっていくことになります。1年生のみなさんは今回経験したことを糧にして、次は引っ張る側に立って、成長した姿を見せてほしいなと思います。