2018年6月16日(土)、慶應義塾大学の山本淳一先生をお招きして、『「できる!」をのばす発達支援』という表題で、特殊研究講座でご講演をいただきました。
ご講演に先立ち、山本先生から心理学を受講者の人生に活かしてほしいというお言葉がありました。
それを踏まえて、先生のご専門である応用行動分析学(ABA)の知見を交えて、3つの視点からお話を頂きました。
- 「過去」の自分を力に変える心理学
- 「現在」の自分の力をいかす心理学
- 「将来」の自分に力を蓄える心理学
①「過去」の自分を力に変えるテーマでは、学生が教育を受けてきた過程を具体的に イメージしてもらい、そのうえで、なぜ適切な行動や不適切な行動が増減するのかについてお話を頂きました。
②「現在」の自分の力をいかすテーマでは、主に神経発達症(発達障害)のあるお子さんの話を中心にしつつも、得意な部分と苦手な部分を発見し、より得意なことを、得意な方法で伸ばしていくことの重要性についてお話しいただきました。
③「将来」の自分に力を蓄えるテーマでは、対人ストレスのかかる場面や職場環境を想像してもらい、応用行動分析(ABA)の技法を交えた行動問題の解決策についてお話しいただきました。特に、自他の行動のズレが行動問題につながるという点と、ストレスが重篤化する原因としての認知的フュージョンや体験の回避の説明では、学生が大きくうなずいている場面が多くみられました。
また、山本先生は最新の情報にアクセスしていくことの重要性も説いており、心理学に関係する医療・福祉・教育などのサポートが、意外と身近なところにあることもお伝えいただきました。そして、心理学を用いた支援を行う際に、「心理学は誰も人を責めないし、悪者を作らない」という言葉には、多くの学生がアンケートでの感想で感銘を受けたとの報告がありました。
いままで学んできた心理学が日常の中でどのようにつながり、活用され、自分たちが活用できるかという点で、キャリアの視点でもとても有意義なお話をうかがえたと思います。
(大森幹真)