2021年度 公認心理師科目「心理実習」:東京少年鑑別所出張講義

公認心理師科目の「心理実習」では,保健医療分野,教育分野などさまざまな分野で実習を行っています。

9月28日には,司法・犯罪分野の実習施設として,東京少年鑑別所法務技官(心理)の方に出張講義を行っていただきました。
※感染者対策のためオンラインによる講義

少年鑑別所の業務などについて,
分かりやすくお話しいただきました

少年鑑別所は家庭裁判所からの求めに応じ,対象となる少年の非行や犯罪に影響を及ぼした心身の状態や環境について,面接や心理検査を通じて明らかにし(鑑別),その特性に応じた働きかけをすることで健全な育成のための支援(観護処遇)を行っています。この鑑別に携わる心理専門職が法務技官(心理)です。

また,少年鑑別所は,地域社会における非行や犯罪の防止に関する活動も行っています。

司法・犯罪分野で働く心理専門職の方から,直接お話をうかがえる機会は少ないため,当日参加した学生は熱心に耳を傾けており,さまざまな質問が出ました💡

学部生・院生合同で参加しました

当日参加した学生からは,以下のような感想が寄せられました。

・少年鑑別所において,心理職が少年と関わる際のイメージが変わりました。これまでは,検査場面だけの関わりに限られると思っていました。しかし,実際は面接なども行い,その際も質問を事務的に行うだけでなく,コミュニケーションを取りながら一人一人の少年に関わるなど,他分野の心理職の関わり方と基本となる部分は同じだと感じました。

・審判前であるため矯正教育はできない中にあっても,少年の健全な育成のために,いろいろな支援に心を砕いておられる生の声をうかがい,法務技官,法務教官のイメージが大きく変わり,貴重な体験をさせていただきました。

・心理検査や面接を実施する際は,他の分野と違い,自ら受けようとして受けるわけではないため,いかに「この人になら話せる」と思ってもらえるかが重要という話を聞いて,心理検査を受けることを何となく当たり前だと考えていたことに気がつきました。また,こちらが対象者を知ることだけが目的なのではなく,対象者が自分のことを知る機会になるように実施することが重要であることも学びました。

・心理検査は面接の一つであり,信頼関係が基盤にないと検査自体が正確にできないし,検査結果のフィードバックも,結果を一方的に伝えるのではなく,相手の準備性を見極めながら,相手が納得し共通理解につながるような伝え方が肝要であるというお話は,司法領域だけでなくとても大切だと感じました。

(「心理実習」担当教員)


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