2023年度 公認心理師科目「心理実習」:【外部講師】NPO法人いっと理事長・新村 博隆先生

心理専門職初の国家資格「公認心理師」を目指すためには,大学において指定されている25科目を履修することがまず求められます。

心理学科も公認心理師カリキュラムに対応しており,このうち実習科目の「心理実習」では,心理職が働くさまざまな分野の施設で実習を行っています。

今回,2023年度より新たな福祉分野の実習先となりましたNPO法人いっと理事長・新村 博隆先生を外部講師にお招きし,「障害児通所施設の発達支援の概要」についてお話いただきました。

施設の概要だけでなく、発達支援についてもご説明いただきました

当日は,

  • 発達支援の概要
  • アドボカシーの概念
  • 障害児通所支援の種類(児童発達支援,放課後等デイサービス
  • 1日のスケジュール例
  • 心理職だからできる支援

などについて,心理職の視点から具体的に分かりやすい講義を行っていただきました。

※児童発達支援,放課後等デイサービス…児童福祉法に基づく障害児通所支援で,障害や発達に課題のある子どもを対象に日常生活における基本的な動作の指導,生活能力向上のための訓練,集団生活への適応や社会との交流の促進、その他必要な支援を行う。年齢により6歳までの未就学児を対象とする場合は「児童発達支援」,就学する6歳から18歳までを対象とする場合は「放課後等デイサービス」と呼ばれる。

参加した学生からは,

子ども自身のニーズに応えることを第一として、支援者側がそれに合わせ提案していくことが印象に残りました。そのためには、クリエイティブな力柔軟性が必要で、知識を型として備えておきつつ、とらわれないで一人ひとりに合わせて活用する意識を持とうと感じました。

こどもまんなかのニーズを捉える」が印象的でした。フェルトニーズをキャッチしたうえで、どのように本人支援の5領域に繋げるか、移行支援や家庭支援などでいかに環境を整えていくか考えることが心理職として求められていると感じました。

また、本人、家族のニーズ(フェルトニーズ)と、専門的な観点からのニーズ(ノーマティブニーズ)を対話を通してすり合わせ、着地点であるリアルニーズを捉えるために、心理職として個人の主観的な訴えを察知する力、認識する力が求められ、保護者のニーズだけでなく子ども自身の意志を聴き取る必要性を感じました。そして、フェルトニーズから、その子にフィットするような支援を考える力、マニュアルを落とし込み家族や先生に説明する力も必要だと感じました。

講義の中で「訓練の場」「居場所」の機能だけでなく「家庭支援」「地域の後方支援」を専門機関として求められていると聞いて、発達支援の幅の広さに驚きました。支援が必要な人だけでなく、その人を取り巻く環境なども考慮し調整することも支援の一部だと知り、改めてさまざまな要因が関わっているのだと気づきました。

さらに新村先生が、ゆくゆくは支援の幅を成人まで広げていくために、月に1度、別の機関にも足を運んでいるとおっしゃっていましたが、新しく施設を作るだけでなく、さらに多くの人々の支援をしていこうとされている強い意志に感銘を受けました。

という感想が得られ,現場で働く心理職の方からのメッセージに普段の講義以上に刺激を受けていたようです。

なお,NPO法人いっとでは見学実習だけでなく,実習生がこれまでの学びを踏まえスタッフの指導のもと,発達支援の場に参加する形式で受け入れていただくこととなりました。

なお,本学大学院の修了生も心理職として勤務しており,こうした修了生とのつながりが本学の強みにもなっています。

公認心理師を目指す学生の皆さんには実習生としての自覚を持って,発達支援の現場で心理職に求められるものを少しでも多く学んでもらえればと思います😊

(「心理実習」担当教員)


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