日本心理学会の第87回大会が2023年9月15日(金)―17日(日)の日程で,神戸国際会議場・神戸国際展示場で開催されました。
心理学科からは複数の教員が参加し,研究発表を行いました。
今回,「学会って何?」という疑問へのお答えも含めて参加報告をお届け致します💁
日本心理学会とは
心理学分野の総合学会として,全国規模で最も歴史がある学会です。基礎から応用領域まで幅広い研究者が所属しています。
また,学術雑誌として
を刊行しており(最新号以外は一般の方でも無料でお読みいただけます📓),心理学の普及や進歩を目的に活動している学術研究団体です。
学会(学術大会)とは
日本心理学会のような団体は,毎年定期的に学術大会,一般的に「学会」と言われる集会を開催しています。
学会では,日本全国から心理学の研究者が集まり,さまざまなテーマで研究発表を行いディスカッションを重ねます。
また,自身が発表するだけでなく,最新の研究アプローチを学んだり,海外の研究動向を把握したりなど,各種プログラムに参加することで研究スキルを磨き,次の研究につながるアイディアを得ています。
今回,私は以下の臨床心理学分野の研究発表やシンポジウムに参加しました。
- 精神障害のカテゴリカル診断を超えた心理学的アプローチの可能性―多元的・包括的アプローチによる精神障害の捉えなおし
- 心理療法研究の最前線―エビデンスと個別性の双方を尊重するために
- 発達障害・精神疾患のトランスレーショナル心理学
- マルチモーダルfNIRSニューロイメージングによる実験心理学の新展開ー機能的近赤外分光法(fNIRS)と他の実験・計測機器の組み合わせにより、脳機能イメージングの地平が拡張し、心理学研究は新たな展開を迎える
臨床心理学というとカウンセリング(心理療法)などをイメージされるかもしれません。
しかしながらカウンセリング(心理療法)を始めとする心理学を応用した支援方法は,その効果を検証するための研究や,心理的支援の対象となる精神障害や発達障害のメカニズムを解明する研究に支えられています。
したがって,公認心理師などの支援を実践する立場にあるものは,このような研究成果を自らの実践に取り入れて,現場へと還元していくことが求められています。
なお,心理学科教員が行った研究発表については別記事で改めて紹介致します💁
高校生や一般の方でも参加可能です💡
一般の方には学術的な研究なんて…😖と,構えてしまう方もいるかもしれません。
しかしながら,日本心理学会は研究だけでなく,心理学の知見の普及にも努めており,一般向けに「心理学に興味のある方へ」というページには,
- 心理学ミュージアム…なぜ被害者を責めるのか,など各種テーマの分かりやすいスライドやインタビューが収められたコーナー
- 心理学Q&A…記憶術は本当に役立つのか,などの日常で感じる疑問に答えるコーナー
- 高校生のための心理学講座 Youtube版…恋愛のメカニズムなど,一見勘違いされやすいテーマについて科学的な立場から解説した動画
などの,各専門分野の研究者による高校生や一般の方向けのコンテンツも多数用意されています✨
個人的にオススメなのが,心理学の啓蒙・情報誌として一般読者を想定し刊行されている「心理学ワールド」です(無料でご覧いただけます)。
例えば記念すべき第100号は「「弱み」を「強み」に変える心理学」というように,各号特集テーマが組まれ,気鋭の研究者の解説記事やインタビューなどが掲載されています。
各大学の紹介や,普段知ることができない研究者の裏話などが紹介されていて,これから心理学を学ぼうとしている皆さんにも十分楽しんでもらえる内容になっています。
その他,前述した日本心理学会の学会ですが,高校生は早割で1,000円,通常価格でも3,000円で参加可能です。
2024年は9月6日(金)ー8日(日)で熊本城ホールで開催予定で,以下のページで告知される予定です。
高校生が研究発表できるプレゼンバトルも毎年企画されているので,意欲ある高校生の皆さんは是非チャレンジしてみてください。
学部生・高校生プレゼンバトル
https://sites.google.com/view/jpaecp-lt
(心理学科・岩山)
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