毎年恒例の卒業論文中間発表会が、2024年7月20日土曜日に開催されました。
心理学の研究は「問題」「方法」「結果」「考察」の4つの章から構成されることが多いのですが、中間発表会では、「問題」と「方法」について発表をします。つまり、自分がどのような目的をもって研究を進めており、どのような方法でデータを取ろうとしているかを説明します。
研究目的の説明は容易ではありません。
「組織不正について調べます」といった漠然としたものではなく、「組織不正が行われるには不正を正当化することが必要であると考えられることから、不正を正当化する事由が存在した場合、存在しない場合よりも不正が多く見られるようになることを明らかにする」と具体的に示す必要があります。
つまり、プレゼンの難しさもさることながら、そもそも研究目的について慎重かつ詳細に議論しておく必要があるのです。このあたりの難しさは、以前の記事で紹介していますので、ご一読ください📕
2021年7月17日土曜日、卒論中間発表会が開催されました。 これは、4年生が卒論計画および進捗状況をプレゼンするイベントです。 3、4年生は必ず参加、議論をします。例年7月に行われますが、昨年から新型コロナウイルス感染予防のため、[…]
これだけではなく、「方法」を考えることも慎重に進める必要があります。今回の発表では、予備調査を重ねている研究が多くありました。
研究目的に沿って仮説を検証するような調査を本調査といいますが、これに対し予備調査は、本調査を行う前の準備段階の調査を指します。予備調査では、本調査で用いる質問項目が研究者の意図通りのものを測定できているかどうかを調べます。
たとえば、「推し活」を肯定的に捉えているかどうかの態度尺度を自作して、本調査で用いたいとします。この場合、まず「推し活」への態度に関する質問項目をできるだけ多く作成します。
そのうえで、これらの項目が同じものを測定しているといえるかどうか、さらにはそもそも測りたいものを測定できているかどうかを確認する予備調査を行います。これらの質問項目と、関連があると思われる既存の尺度に回答してもらって、そのデータを分析をしてみるのです。
分析結果から判断して、うまく測定できていない項目を除外し、良い項目だけを残して本調査に用います。これらの作業には、大変な労力がかかります💦
今回の中間発表会は、このような苦労の経過報告となりました。うまくいったことの報告も、うまくいかなかったことの報告もありました。
卒業論文とはいえ、れっきとした科学研究です。データとその分析結果を積み重ねて、客観的な結論を導くことが求められます。
今回の発表は、4年生たちが科学研究を着実に進めていることを示しており、4年生の真摯かつ情熱的な取り組みを感じ取れるものとなりました。これから本調査で、まだまだ苦労を重ねることになりますが、きっと素晴らしい論文を1月に提出してくれるものと思います。頑張っていきましょう。
(心理学科 藤島)