2021年度 卒業論文中間発表会

2021年7月17日土曜日、卒論中間発表会が開催されました。
これは、4年生が卒論計画および進捗状況をプレゼンするイベントです。

3、4年生は必ず参加、議論をします。例年7月に行われますが、昨年から新型コロナウイルス感染予防のため、オンラインで実施されています。

6つのセッションに分かれての実施だったのですが、はじめての試みだった昨年と比べるとトラブルなく円滑に進めることができました。

オンラインでもスムーズに発表できました

さて、プレゼンというと、「PR目的のプレゼン」を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
たとえば、テレビCM📺やコンペティションにおける企画発表などです。

しかしながら、これらのプレゼンと、卒論中間発表会などで求められる「研究目的のプレゼン」とでは、性格が異なります。

そのため、プロジェクト活動でプレゼン慣れをしている学生たちにとっても、戸惑うところが多いようです。

「PR目的のプレゼン」では、自分たちの強みや良いところを選択し、印象的に訴えかけることが重要になります。そこでは、聴衆が自分たちにポジティブな印象を抱くことが最優先です。

これに対し、「研究目的でのプレゼン」では、事実を整理したうえで、それらを過不足なく論理的に情報提供することが重要になります。

そこでは、聴衆が研究の長所も短所も理解した上で、内容を論理的に吟味できるようにすることが最優先です。いいかえると、説得のためのプレゼンと議論のためのプレゼンという違いがあるのです。

しかも、心理学は科学的手法を用いることを重要視しているので、刺激-反応関係を意識した議論を求められます(方法論的行動主義といいます)。

そのため、

  1. 扱いたい現象は何か
  2. それを実現する心的過程は何か
  3. その心的過程に影響する要因には何があるか
  4. 一連の理論的考察から予測されることは何か
  5. その中で、今回明らかにすることは何か

を必ず報告することになります。

限られた時間でこれらのことを過不足なく提供することで、はじめて研究に関わる議論ができるのです。

4年生たちは、多くの時間と労力を割いて、卒論中間発表会の準備を行います。
すでに卒業論文のための研究計画は出来上がっているのですが(それ自体数千字から一万字に及びます)、わずかな時間でうまく伝わるようにさまざまな配慮を行います。

例えば、説明の順番を配慮したり、モデル図?やグラフ?を提示したりします。時系列変化をわかりやすくするためにアニメーションを導入することもあります。それでいて、議論に偏りがなく、論理破綻をきたさないように配慮もするのです。

教員である私の当日の感想ですが、正直あっという間に時が過ぎ、物足りなかったように思いました。これは褒め言葉です。

十分に情報提供をしてくださったおかげで、議論したいことがたくさん出てきて、いろいろと確認、アドバイスしたいことがでてきたのでした。これは、それぞれの発表が研究目的のプレゼンに成功した証拠です。4年生たちは、努力が実り、新たなスキルを手に入れたことでしょう。

4年生たちは卒業論文の制作を通じて、心理学研究とは何かを体験し、新たな知見の提供を目指します。同時に、彼女たちはプレゼンに関わる一般スキルも手に入れています。専門知識とスキルを獲得した彼女たちが卒業後に活躍する姿が目に浮かびます。

(心理学科 藤島)


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