心理学科では今年度、社会心理学分野に専任講師・山本晶友先生を新たにお迎えしましたのでご紹介致します。
社会心理学の観点から感情について研究しています。群れを成して生きてきた人類が進化の過程で備えた心は、協力したり、競争したり、避けるべき争いを避けたり、自身の過ちを改めたりといった課題に適した仕組みになっているようです。
感情の多くもこれらの課題を支えるようにできていて、時に便利で、時に邪魔者で、とても興味深い“装置”です。
優しくされて感謝を感じた人が、恩人を守るために第三者を犠牲にしやすくなるという現象について調べています。
ありがとうの気持ちを示すことは美しいことと思われがちではあるものの、そのための犠牲は生じていないのだろうか、生じるならそれはどういう条件が揃うと特に生じやすいのだろうか、といった疑問を調べています。

近頃、体験型の脱出ゲーム・謎解きゲームにはまっていて、そこまで安くない出費をわりと高頻度で重ねてしまいながら、妻と色々と巡っています。
その性質上、大体の場合は一度遊ぶと同じものには参加できないので、クリエイターさん達に敬意と感謝を感じながら新しい名作を期待し続けています。
大学は皆さんが世間で活躍できるための教育を全力で提供するのは確かですが、一方で、卒業した後でも(どうせ)学びは生涯続きますし、続けられる方が幸せな人生になると思います。
このことは、在学中の「今の自分が出来なさそうなこと」で将来を狭めすぎる必要はあまりないことも意味します。生涯続く学びのために,主体的に学んだり調べたりするって楽しいんだと気付ける在学期間になれば良いなと思います。
数ある学問の中でも特に心理学は、学び始めると「思ってたのと違う」となりやすい学問だと思います。
「思ってたより曖昧(読心術できない)」「思ってたより地道」「思ってたより数学使う」など、ネガティブなパターンも珍しくないですが、学び始める前には想像すらしていなかった面白さにもきっと出会えて、知識が増えれば増えるほど楽しくなります😊

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『オデッセウスの鎖:適応プログラムとしての感情』 (著:R.H.フランク、監訳:山岸俊男、サイエンス社)
まず学術書です。助け合い関係は感情があるからこそ成立するのであり、もし人間が“賢い”だけだったらできないという論を経済学者が論じます。大学院入学前後あたりにこの本の面白さに感動したのが、ずっと感情研究でやっていきたいと思ったきっかけでした。 |
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『ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語』 (著:品田遊、イースト・プレス社)
こちらは一般向け小説です。「道徳のため」という真っ当なロジックから「人類は滅んだ方が良い」という物騒な結論が導かれます。これを「悲観主義者のブルー」など分かりやすい登場人物たちが話し合う小説です。論を整理して「本当か?」と考えながら読むのが楽しいです。 |