子どもたちが運動に本気で向き合う姿を何度も見てきました。
ボールを追いかける、相手の動きを読む、仲間と声をかけ合う、もう一度挑戦する。
その姿を見ながら、体育の授業で子どもたちは何を学んでいるのかを考えてきました。
体育では、さまざまな運動やスポーツに取り組みます。
🏀 ボール運動のように勝敗を目指すもの
💃 表現運動やダンスのように動きの美しさや豊かさを求めるもの
🏊 陸上運動や水泳のように記録に挑戦するもの
があります。
それぞれの種目には、それぞれに追求する面白さがあります。
たとえばボール運動では、
「どうすれば得点できるか」
「どうすれば相手に得点されにくいか」
を考えるからこそ、動きや判断に意味が生まれます。
「空いている場所へ走り込む」
「味方が受けやすいところへパスを出す」
「相手の動きに応じて守り方を変える」
こうした工夫は、勝とうとするからこそ具体的になります。
勝ってうれしい時も、負けて悔しい時も、本気で取り組むからこそ心が動き、スポーツの面白さに近づいていきます。
「遊び」は、単なる気晴らしではなく、人間の本質的な欲求を充足させる活動です。人は、ルールの中で試し、相手や仲間と関わり、思い通りにいかない状況を工夫して乗り越えることに喜びを感じます。勝ちたい、より美しく動きたい、記録を伸ばしたい、仲間と一緒に楽しみたいという思いは、運動を深く味わう原動力になります。
近年、運動会などでは勝敗を前面に出すことに慎重になる場面もあります。
もちろん、勝った子どもだけが満足し、負けた子どもが取り残されるような経験には配慮が必要です。
しかし、勝敗や記録、表現の違いをすべて薄めてしまうと、運動やスポーツが本来もっている面白さに迫りにくくなることもあります。
大切なのは、比べることを避けることではなく、本気で挑む中で何を感じ、何を学ぶのかを丁寧に捉えることだと考えています。
現在、大学で担当している小学校免許科目の「体育」でも、この考え方を大切にしています。
教員を目指す学生の皆さんには、まず自分自身がスポーツを全力で楽しみ、その中にある面白さや学びに気づいてほしいと思っています。
その経験は、将来、子どもたちが運動の楽しさに出会う授業をつくるための大切な土台になります。
本気になるから挑み、本気になるから楽しい。
これからの教員養成では、体育を単に運動を行う時間としてではなく、子どもが身体を通して遊び、競い、表現し、仲間と関わりながら学ぶ時間として捉えられる教員を育てていきたいと考えています。
(初等教育学科 准教授 田島宏一)