【英コミ教員記事】山本史郎先生:The Green Knight「緑の騎士」の映画について

今回の記事はイギリス文学や翻訳論がご専門の英コミの山本史郎先生にご寄稿いただきました。


「グリーン・ナイト」という映画が11月25日に封切られました。原題はGreen Knight、「緑の騎士」という意味です。

ある年の元日のこと、アーサー王の宮廷に頭から足の先まで緑ずくめの騎士がやってきました。そして宮廷で新年のお祝いをしていた騎士たちにむかって、挑戦状をたたきつけます。「我こそはと思う騎士は前に出てきて、私がいま手に持っているこの大きな斧で、私の首を切れ。1年後に、その騎士の首を、私が切る」と言いました。ガウェインという立派な騎士がこの挑戦をうけてたち、斧を振り上げて騎士の首の上に振り下ろします。首は見事に切り落とされ、ごろごろと転がりますが、首のない胴体は倒れもしません。それどころか、自分の首を拾い上げ、髪の毛をつかんで手につるすと、その首が「一年後に待っているぞ!」と言い残して去ってゆきました。

原作は西暦1400年頃に書かれた「サー・ガウェインと緑の騎士」という題名で、中世の古い英語で書かれていますが、『ホビット』や『指輪物語』で有名なトールキンが現代語訳をしています。そして、このトールキンの訳を、私が2003年に日本語に訳したものが、再び書店で売られています!