【英コミ教員記事】小西卓三:インフォーマルロジック教科書 『誤謬論入門:優れた議論の実践ガイド』 の出版について

「インフォーマルロジック/非形式論理学」と言われても、ピンとこない人は多いことでしょう。

インフォーマルロジックはクリティカルシンキングと親類のような分野で、両者は1980年代以降の北米の大学教育の一つの重要な潮流を形成し、関連学会 (AILACT: Association for Informal Logic & Critical Thinking) も存在します。私も非形式論理学を専門の一つとしており、この分野での世界の研究の中心となっているカナダのウィンザー大学の哲学修士課程で学びました。

この度『誤謬論入門:優れた議論の実践ガイド』(九夏社)の翻訳出版に監訳者としてかかわったのですが、本日その見本が届きました。

実際の出版日は3月11日で、書店で見かけることがあるかもしれません。

プロの翻訳者の今村真由子さんの訳文を、術語の統一など研究者の立場から手を入れさせていただくとともに、クリティカルシンキングにも言及しつつ非形式論理学を紹介する解題を執筆しました。

大学学部の授業向けの教科書ですが、論理的に企画書を書いたり、筋を通して会議を進めるための参考書として、大学生のみならず、社会人(高校生・学生の親世代や高校の先生方)にも役立つものです。解題を含めて350ページを超える書籍となり(原著は260ページ程)、日本語だとこれくらいになるんだと、読書の分量感を再認識する機会にもなりました。

非形式論理学の実践家としては、このような基礎文献(教科書はマスコミュニケーションの媒体です)の紹介にかかわれたことに感謝しています。その一方で、非形式論理学の紹介を日本で/日本語でもっとたくさんしていこうと、研究者として襟を正す機会になりました。