~授業紹介~ 失語症学Ⅰ

ある日、目が覚めたら、周りの人たちの話が全くわからず、言いたいことばも出て来ない、文字を読んで理解することもできない、字を書いて伝えようとしても書けない、という状態になっていたら、皆さんはどうしますか? どのような気持ちになるでしょうか?

実はこれが失語症(aphasia)の症状で、よく「言葉の知らない海外へ突然連れていかれた状態」と表現されます。脳梗塞や脳出血といった病気や交通事故などにより、大脳の言語を司る部分が損傷されることで起こります。程度の差はありますが、言語の4側面(聞く、話す、読む、書く)に障害が及びます。

失語症学Ⅰの授業では、失語症の原因疾患、言語症状、失語症のタイプなど、基礎的な知識や臨床の基本的な概念を学びます。当たり前のようにことばを使っている身としては、一見不思議で不可解な症状も、そのメカニズムや言語情報の処理過程を理解すると「なるほど」と思えることが多々あります。学生さんの疑問、気づき、感動?を大切にしながら、失語症という言語障害の理解を深めることをめざしています。

左下は、授業で使用するテキストです。右は漫画家で失語症になられたかたが描かれた体験記です。奥様のサポートのもと、イラストと漫画で症状や心情が綴られています。