現代教養学科ブログリレー ピンチはチャンス! ―文化の力は無限大―福田先生 [2020年05月29日(金)]

ピンチはチャンス! ―文化の力は無限大―

 

緊急事態宣言が東京も解除になり、まだまだ注意が必要な状況ではありますが、経済活動も文化活動も少しずつ動き出そうとしています。

 

初めてのオンライン授業を恐る恐る始めてはや1ヶ月、1年生の必修科目「文化をみる目」は100人以上の受講生を対象にどうなることやらと心配しきりでしたが、コロナ禍は「文化」の授業を進める上でむしろ有利に働いてくれました。まさに、ピンチはチャンスです!

 

「文化」と名のつくものには様々ありますが、同じ空間を共有して3密の状態でこそ成立するもので溢れています。映画館や美術館、演奏会や芝居等々の文化催事は中止や延期を余儀なくされ、大打撃を受け続けています。しかし、そもそも人々の心を豊かにし、癒やしや元気を与えるのが「文化」の役割、苦しい時にこそ必要なものばかりです。「文化」の送り手たちは、オンラインの特性を最大限に活用し、自分たちの力を発揮するために、またそれを待っている受け手のために、あらゆる工夫を重ね続けています。

 

文化とは何なのか、何のために文化を学ぶのか、というテーマで授業を開始した「文化をみる目」第1回では、文化の役割や意義について考えを深める二度とない好機かもしれないと、「コロナ禍の現状において、どのような文化的取り組みが行われているかを調べ、例を挙げて企画の意図や工夫について考察し、自分の意見をまとめよう!」という課題を出しました。ネット検索はお手のものの皆さんはサクサクと調べ上げ、芸術分野からエンタメ系、美術館や博物館等の企画、地域活性事業、ツーリズムやスポーツ事業、アパレル関係など様々なジャンルに亘って、オンライン無料・有料企画、クラウドファンディングや寄付などの支援やボランティア活動、ネット販売事業など幅広い視野から情報を集め、1年生とは思えない鋭い意見をまとめてくれました。

 

多くのオンライン企画がある中で、芸術分野の例として授業でも紹介しましたが、おそらく最初に口火を切ったのは、新日本フィルハーモニー交響楽団メンバーによる「シンニチテレワーク部」ではないでしょうか。3月中旬、NHKの2020応援ソングプロジェクトとして制作された「パプリカ」を取り上げ、一人一人が自分のパートを自宅やガレージなど思い思いの場所で演奏してスマホなどで自撮りし、その動画を(発起人でトロンボーン奏者でもある)編集担当に送り、集まった動画を編集して5人、10人と重ねていき、最終的には62人になり、殆どのパートが揃ったオーケストラ演奏としてYouTubeで公開されました。

 

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=kT9aO3qLiswより

 

その動画を初めて目にした時にはただただ感動、文化の力の大きさと限りない可能性を見せつけられた思いがしました。全員が私服で楽器を持ち、時々お孫さんらしき姿が見え隠れし、日常そのものが垣間見える舞台背景に、親しみやすく元気の出る「パプリカ」の選曲も功を奏したのでしょう。メディアで取り上げられるとたちまち拡散し、いまや再生回数は200万回を超えています。その後も次々とクラシックの名曲に様々な形でチャレンジし、多くの動画が公開されています。

5月31日(日)夜10:00からドキュメンタリー番組、NHKBS1スペシャル「はなれてひとつに奏でる~奇跡の“パプリカ”誕生秘話~」が放映されるようです。苦労話や秘話など、舞台裏が覗けるのではないでしょうか。

 

ちなみに、新日本フィルハーモニー交響楽団は、小澤征爾さんが常任指揮者を務めていた頃、昭和女子大学の人見記念講堂を練習場所にしていたことがあり、見学させてもらうことができました。がらんとした客席でステージからひらりと下りて近づいて来られた小澤さんに「今の演奏どうだった?」と声をかけられ、ドギマギしながら答えていたことを思い出しました。

一日も早く、人見記念講堂で心置きなく公演が聴けるようになることを、皆さんと一緒に心待ちにしています。1年生の皆さん、楽しみにしていてください!

福田淳子