現代教養ブログリレー(田中先生) 書籍紹介「第三の波」 [2020年09月07日(月)]

Society 5.0 - 科学技術政策 - 内閣府Webサイトより説明図

Society 5.0 – 科学技術政策 – 内閣府Webサイトより

皆さんは”Society 5.0”をご存じですか?ソサエティ5.0は今年度が完成年度になる「第5期科学技術基本計画」のキャッチコピーです。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すものです。その社会は”超スマート社会”とか”データ駆動型社会”とかになると言われています。今年の前期の「情報と社会」という科目で取り上げて、数回にわたって解説しました。 ところで、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会のこの表現、なんだかよく耳にしますよね。私が記憶する限りでは、日本にこの考え方を広めたのは未来学者のアルビン・トフラーだったように思います。

第三の波 表紙

「第三の波」アルビン・トフラー著 ; 鈴木健次 [ほか] 訳  日本放送出版協会

アメリカの未来学者であるアルビン・トフラーは、機械修理工兼溶接工からジャーナリストになり、労働問題、ビジネス、経営の専門家を経て1970年に『未来の衝撃(Future Shock)』を、1980年に『第三の波(The Third Wave)』を出版します。どちらもベストセラーになって、マスコミでかなりの話題になりました。内容は難しいのですが、一般人向けに具体例(予想)を示しつつ分かりやすく書かれています。
『第三の波(The Third Wave)』の「第三の波」とは、第一の波が農業革命、第二の波は産業革命であり、それに続く第三の波は情報革命による脱産業社会がやってくるとの未来予測で、情報化社会で何が変わるのか、どのような未来がやってくるのかを大胆に予測しています。情報社会あるいは脱工業化社会と言う言葉が日本社会に広まったのはこの時だったと理解しています。用語はその後、高度情報化社会という言葉に変わっていきました。

さて、この「未来の予想」ですが、本当に実現した事例がいくつもあります。一例を挙げると、パソコンも一般大衆に普及しておらず(当時は大型コンピュータの時代)、インターネットもまだ登場していない頃に「音声入力が主流になってキーボードがいらなくなり、タイピストが失業する」と予測しています。最近になってスマホの音声入力が便利ですよね。それを40年前に予想しています。もちろん外れている予測もありますし、当たっている予測もあります。大外れの予想と言えば「人類は海底に都市を作って住んでいる」でしょうか。
この本の出版当時は「これがパラダイム・シフト(社会全体の劇的な変化)ってやつなのか」と時代の転換点に立っているような気なったのを覚えています。
今読み返してみると「この件はなぜ予測できたのだろう?」 当時とは違った驚きを持ちます。
皆さんが大学時代に出会う本も、もしかしたら何十年もたってから読み直す機会があるかもしれません。できれば読み直したくなる本に出会えると良いですね。

「第三の波」は古い本なので新刊どころか古本でもなかなか見つかりません。それどころか公共図書館でも見つけにくいと思います。本学の図書館には所蔵がありますので、興味のある方は下記を参考にぜひどうぞ。

書名「第三の波」
アルビン・トフラー[著] ; 鈴木健次 [ほか] 訳
東京 : 日本放送出版協会, 1980.10
本学図書館所在 朝日/410 B1書庫 000190278