【授業紹介・マスメディアと現代社会】元NHK専務理事の板野裕爾さんが紅白の裏側などについてご講演

現代教養学科2年の寺内です。

1/10(水)の「マスメディアと現代社会」では、先月のゲスト講義に続き、第2弾として、元NHKの板野裕爾さんにご講演いただきました。板野さんはNHKの記者を経て、NHKの専務理事・放送総局長やNHKエンタープライズ社長などを務められました。本年度からは、現代教養学科の特任教授も務めていらっしゃいます。

 

 

今回の講義ではNHK番組の裏話など、長年勤務されていた方だからこその、貴重なお話を聞くことができました。

特にNHKの方から見た紅白歌合戦の話は、非常に興味深かったです。老若男女に愛される歌手が多かった昔から、若者に絶大な人気のある歌手とお年寄りに支持される歌手に分かれる現代へと、国民に愛される音楽に多様性が出てきたことが分かりました。他にも昨年の紅白歌合戦の場合、旧ジャニーズ事務所の性加害問題から、紅白歌合戦の出場アーティストについて、賛否両論の意見が飛び交い、番組制作の大変さを実感できました。

 

 

また、「令和6年能登半島地震」に関連した災害報道についてのお話もタイムリーな話題でした。いつ、どこで、何が起こるか分からない災害を報道する上で、災害の規模を捉えるのは難しいことを知りました。特に、「NHKにとって緊急報道は生命線」という板野さんの言葉が印象に残っています。民放や地域のケーブルテレビ、インターネットなど、映像を提供するメディアが多様化する中で、NHKは唯一受信料を払う義務があります。受信料を払う必要性が問われ続けていますが、緊急報道の面ではNHKの存在は大きいといえます。例えば元日の震災では、東日本大震災の反省から女性アナウンサーが大声で必死に報道をしていました。私も実際に視聴して、災害の恐ろしさや、事の重大さが伝わってきました。さらに、阪神・淡路大震災や東日本大震災では、数千から数万の死者が出たのに対し、今回の震度7の地震で死者を数百人に抑えられたのは、人口密度や地震の規模による違いを考慮しても防災意識が徐々に上がっている証拠だとお聞きして共感しました。

今回起きた災害を教訓にできるよう、これからも伝え続けなければならないというお話もあり、そこからNHKの存在意義や、報道の在り方について考え、学ぶ良いきっかけになりました。