研究室便り

卒業論文を終えて [2019年04月02日(火)]

卒業論文は4年間の学びの集大成です。テーマを決めて、データを集め、その料理法を考え、形にする。そのプロセスは、大変ですが、大きな成長につながると私は考えています。研究発表会で発表した二人の学生の日本語学ゼミや卒論の感想を紹介します。

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日本語学は大学入学当初から興味があり、ずっと研究したいと思っていた分野でした。私は表記の印象の違いについて研究しましたが、なかなか表記の共通性が見つからず、また先行研究も少なく思ったよりも前に進めませんでした。研究の一環として、アンケートもしました。世代や人数を調整するのが大変でしたが、「考えたこともなかった」「結果が気になる」と日本語学に興味のない人も考えてくれるきっかけになったのはとても嬉しかったです。最終的にはこれも、あれも研究したかったというように、終わりがなくなってしまいましたが、1年間かけてこれまで考察されていなかった表記の共通性を見つけられたことは、自分にとってとてもいい学びでした。 野上友里恵 

 私が日本語学ゼミに入ったのは「日本語について勉強するのって何か楽しそう!」という好奇心からでした。卒論は、インパクトのあるテーマにしたいという漠然とした気持ちから、「話がうまいとは何か」というテーマで進めていきました。最初はどういった方向性でまとめるかというのが全く思いつかず、手付かずの状態でした。そして進み具合も周りと比べて遅かったので、もしかしたら卒業できないかもという不安が常にありました。最終的には先生のところに通いつめてヒントをもらったりして形にすることができました。そしてありがたいことに皆の前で発表する機会もあり、貴重な経験をすることができました。ありがとうございました。三澤奏

(MN)

海外実習報告 [2018年10月10日(水)]

〈研究室便り〉
休暇を利用して、日本語教育の学生が海外協定大学で実習を行いました。
インドネシアとベトナムに各4名ずつ、引率をつけない学生だけの派遣でしたが、チームワークを
発揮して、充実した研修となりました。
ガジャ・マダ大学へは、国際交流基金の「大学連携日本語パートナーズ」として派遣されました。
受入校の先生方、関係者の皆様、大変お世話になりました。(NS)

【インドネシア・ガジャマダ大学】
私達は、国際交流基金の支援の元、インドネシア ガジャ・マダ大学で2週間の日本語教育
実習に参加しました。私達は、1年生の授業を主に担当することになり、文法・会話・漢字を教え、日本事情の紹介をしました。
まだまだ未熟な授業であるものの、学生のみなさんが集中して積極的に発言してくれたので、
安心して授業をすることができました。
また、2年生とは、それぞれのグループで「誘い」の表現を使ったドラマの撮影をしました。
シナリオや構成、編集は全て学生達が行い、私達は学生の指示の元、ビデオ撮影に
挑みました。試行錯誤の結果できあがったビデオを最後にみんなで見た時、仕切りのない関係が構築されたことをとても実感しました。
日本語教育の実習が目的ではありましたが、学生との交流の中で大切な関係を築きあげる
ことができたのが一番嬉しかったです。今回、日本語教育の実習プログラムに参加してみて、
不安や心配なことがたくさんありましたが、現地の先生の手厚いサポートや学生の温かい
対応のおかげで充実した2週間を送ることができました。今後の大学生活での取り組みの中で
日本語教育の勉学に一層精進して参ります。
本当に現地の先生や学生のみなさんには感謝でいっぱいです。ありがとうございました。
また、日本語教育の実習プログラムへの参加を支援していただきました国際交流基金に深謝
申し上げます。

(日文3年R.N)

【ベトナム・ハノイ国家大学人文社会科学大学】
9月9日から9月23日まで、2年生2名、3年生2名、計4名がベトナムのハノイ国家大学人文社会科学
大学で日本語教育実習を行いました。
同大学の日本学科の2年生と3年生、日本語初級者から中上級レベルの学習者の授業を担当しました。
実習では、1週間目に日本語の授業の見学を中心にグループワークに参加し、ネイティブスピーカー
として会話やエッセイの添削を行いました。2週間目は私たちが授業の時間を受け持ち、
本格的な教壇指導を行いました。文法の説明やゲームから始まり、発展的な会話練習などに
取り組みました。
はじめは戸惑うこともありましたが、先生方や学生のみなさんの親切なサポートのおかげで、無事2週間の実習を終えることができました。
また日本語教育の現場で多くのことを学んだだけでなく、ベトナムの文化、そして人の優しさに
触れることで、勉強とはまた異なる経験を得る良い機会となりました。短い期間でしたが、実習に
参加した各々が学んだことを糧にして、後の学習に役立てたいと思います。
実習にあたり、支えてくれたすべての方に感謝申し上げます。ありがとうございました。

(日文3年H.S)

インドの日本語教室訪問 [2018年07月24日(火)]

〈研究室便り〉
 今年3月に初めてインドへ行ってきました。
プライベート旅行でしたが、インドの日本語教育の拠点の一つプネでは、
日本語教育アドバイザーとして日本から国費で派遣されている日本語教育専門家を訪ね、
プネ大学、ティラクマハラシュトラ大学、社会人向け日本語講座を持つプネ印日協会を訪問し、
一部の日本語教室を見学させていただきました。
インドの経済発展と印日関係の改善を背景に、インドの日本語学習者はここ15年で
約3.5倍に増え、現在は、180余りの機関で約24,000人が日本語を学んでいます。
インドの日本語学習者の約半数は、社会人(あるいは学校教育以外の機関で学ぶ学習者)で、
日系企業や日本と取引のある会社に勤める(あるいは今後勤めたいと思う)人たちが
多く学んでいます。
 また、仕事とは関係なく、純粋な趣味として日本語を学ぶ人たちも多くいます。
 
 
写真は、名門プネ大学の日本語教室がある校舎の入口と、日本語教室で出会った学生さんたちです。
私が見学させていただいた平日の午前の時間帯の教室では、主婦の方たちや写真のような
大学生が20人ほど集まっていました。大学生たちは、プネ大学の他の学科の専攻生や
プネにある他の大学の学生たちで、本科の授業がない時間帯を選んで、
日本語教室に来ているということでした。
広告、ソフトウェア開発など自分の専門を生かして将来は日本企業に就職したいという人もいれば、
すでに日本に就職することが決まっていると期待に満ちたか表情で話してくれる人もいました。
一方、アニメやドラマが大好きで日本に興味を持つようになったという人もいました。
どの学生も目を輝かせて日本や日本語への興味を語ってくれ、私は久しぶりに心を洗われるような
思いを経験しました。
今日はインドの日本語教育の一端をご紹介しましたが、世界には130か国で365万人余りが
日本語を学んでいます。
昭和女子大学は、日本語教育学の専攻を古くから持つ伝統ある大学の一つです。
多くの受験生、在校生が日本語教育に関心を寄せてくださることを期待しています。
(Y.O.)

授業紹介~創作A(エッセイ・シナリオ)~ [2018年07月17日(火)]

<授業紹介>
未来を切り開く発想力・創造力育成のための「創作論」、
それを私は「クリエイティブ・レッスン」と称し、
創造力育成の魅力的トレーニングにチャレンジしています。
レッスンの特徴は「ワクワク楽しく、頭はクタクタ」。
それでは「クリエイティブ・レッスン=創作論」冒険のスタートです。
「どこにもないものを創りたい」学生たちの情熱・モチベーション・
創造的な野心、それをコアに検証実験に挑戦しているのが、
この「クリエイティブ・レッスン=創作論」。
ただこの「クリエイティブになるための思考ツール」というのが難題。
現状の教育システムには存在しないし、
私自身「どこにもない新しいもの」を創り出す方法を教わった経験はないし、
規則もメソッドも、ルールもない。だからこそ、とてつもなくスリリングなのです。
何が起きるかわからないからこそ、「やってみなければわからない」。
つくりながら考えていけば、見えなかったものに出会い、気づくはず。
状況に変化が起きれば、作戦・戦略を変えればよい。
クリエイティブなもの創りの原動力は、「方法」であって、
「才能」ではないからです。柔軟な発想で対処できる「筋力」を磨けば、
ステキなモノは必ず生まれる。そんな「ワクワク・ドキドキ」の授業は、
まずは出会いと交流の場つくり「ウォーミング・アップ」から
毎時間スタートします。

ウォーミング・アップ一つ目は「世界に一つの名刺つくり」。
初めて人と出会うときのお決まりは「自己紹介」。
ところが、大抵の自己紹介はワンパターンで印象に残らない。
フツーにあるモノに、「新しさ」と「面白さ」のスパイスを加えることができたなら、
そこで思いついたのが「世界に一つの名刺つくり」。
私らしさをギュッと凝縮した個性あふれる自分だけの名刺つくりは、
三つの空欄を埋めるところからスタートです。
私は(  )が好きです。私は実は(  )です。私はいつも(  )です。
この三つの空欄を考え、私らしさを表現した名刺。
つづいて、インプロゲームでカラダと心をほぐし、
「面白い」を生み出すクリエイティブ・テストにチャレンジ。
毎回ウォーミングアップの素材を変えることで、「ワクワク・ドキドキ」
の創出を目指します。

メインワーク:<未来へのストーリー>
毎回ミッションとしてメインワークを用意しますが、本格的な執筆活動がスタートしたのは6月。
はじめは「リレー物語」。物語の始まりは同じでも、人それぞれに展開していく新たな物語。
五分後に隣の人からパスされた物語を、響き、つなげ、広げていくなかで、
1人では決して思いつかないストーリー展開に皆が夢中になっていきます。
「ジャズの即興を体感したような気がする」そんなコメントに私はワクワク。
さらに「アイディア」をゆさぶるために、「ショート・ショート」に挑戦。
思いつく名詞を浮かべること、そこから絞った一つのタームから、
さらに連想を広げていくこと、その連想のワードと最初の名詞をドッキング、
不思議なワードつくりのステップで生まれた言葉がショート・ショ―トの素材。
<「面白い」と思う気持ちが私の背中をグイグイと押し続けてくれました。>
とコメントにあるようなステキな「ショート・ショート」を経て、
いろいろな視点から世界を眺めるワークが続きます。
「多様な視点で世界をながめる」と言っても素材は「浦島太郎」
そう、NHKで大人をも夢中にさせた「浦島太郎裁判」を実践することに挑戦。
裁判官・検察官・弁護士そして証人カメ、浦島太郎・乙姫と、
役になった学生は本気で語りはじめます。裁判員になった仲間たちも
メモを片手に必死で参加。評決のためのディスカッションは、ヒートアップ。
<たかが昔話、されど昔話、こんなに私たちを刺激するなんて、思ってもいませんでした。>
<立場が変わると、視点が変わると見える風景が変わります>
そんなコメントを受け、7月4日の挑戦ワークが一人称で語る昔話。

「それは誰のまなざしか」
授業の最初を少しばかり実況中継してみましょう。


私は語ります。
「もし、あの童話の主人公が、昔話の主人公が、自らの口で語ったなら、
どんな物語が生まれるでしょう。さあ、挑戦です。みなさんが、
昔話・童話の主人公になりきって、みなさんの目線で物語を語りなおし、
リメイクしていただきたいのです。視点が変われば、おのずと
浮かび上がるのは、主人公の心のうち、イマジネーションをとばし、
ひろげ、オリジナルな主人公の「心の声」を創り上げてみましょう。」
「えっ~難しい、だってお話がもうあるのに~
先生例えば、どんな感じですか」と学生。
私は答えます。「例えば 浦島太郎が語る<浦島太郎>…乙姫様のごちそうに、
鯛やヒラメの舞い踊り、ただ珍しく、おもしろく、月日のたつのも夢のうち・・
でも正直なところ、おいらはもう竜宮城にあきちゃった。
どうしても故郷に帰りたいんだよう・・・」
「シンデレラが語る<シンデレラ>…そのおばあさんは、私の前で言いました。
「さっ、めをつぶってごらん。
サラガドゥラ メチカブラ ビビディ・バビディ・ブー うたえ 踊れ 楽しく
ビビディ・バビディ・ブーいいよ、ゆっくり目をあげてごらん・・」
私はびっくりしました。かがみにうつっているのは誰?ステキなドレスに
キラキラのティアラ・・・ これ・・本当に私?」
どのお話の主人公になろうかと、学生たちのリサーチがスタート。
決めるや否や一斉にがんがん書き始めます。90分の授業が終了したとき、
そこには35の新たな「昔話」が誕生です。

ほんの少しご紹介しましょう。
「お母さんブタが語る<三匹の子豚>」
「こんなはずじゃなかった」
私はたまにふとそう思います。そして、自分の子どもを思い出します。
私があの時、正しい選択をしていれば誰も失わずに済んだのかもしれないと。
あれは一年前のこと、夫に先立たれた私は女で一つで」

「オオカミが語る<赤ずきん>」
赤と言えば、りんご、赤ワイン、肉、血液…
全部おれのすきなもの、だから、はじめて君をみたとき、一瞬で虜に
なっちまったんだ。真っ白な肌を、どこまでも真っ赤な頭巾で包んだ女の子。
どうしたら、君のそばに近づけるんだろう・・」
「笛吹男が語る<ハーメルンの笛吹>」
「君の持つ笛の音はいつも正しい音をしているね」そういってくれた人がいた。
「どういうこと?」目で訴えた僕に、その人は続きを教えてくれた。
それなのに、今、どうしてもその続きが思い出せない。
目の前でおぼれ死んでいくネズミを見ながら、どうして、
こんなくだらないことを思い出してるんだろう、苦笑した・・

「グッとくる、そう、グッとくる本物をつくるためには、
いろんなモノやコトを体験することが必要だとわかりました」
学生たちのコメントが私背中を押してくれます。

新しい「ワクワク」「面白さ」を創造するクリエイティブ・レッスン、
エネルギーを注げる「テーマ」「素材」「仕掛け」への冒険はこれからも続きます。

〈AO〉

光葉博物館春の特別展 見どころとエピソード③ [2018年06月25日(月)]

<研究室便り>

6/1(金)より光葉博物館にて、春の特別展「図書館70周年・近代文庫60周年記念 ことばのいろ
ことばのおと~人見東明と白秋・露風の詩の世界~」が開催されています。
本展示の見どころをご紹介します。

■本を「見る」
本展示には、本学創立者・人見東明をはじめ、日本を代表する詩人・北原白秋、三木露風を中心
とした、近代詩の歴史におけるエポック・メイキングな詩集や雑誌が、数多く展示されています。
たとえば上田敏の訳詩集『海潮音』や島崎藤村の『若菜集』などは、受験用の文学史でもおなじみの
有名な詩集です。できればタイトルを知っているだけでなく、内に収められている素敵な詩の
1、2篇くらいは読んでみてほしいところ。が、博物館に展示されている本はガラスケースの
向こうで、自分で勝手にページをめくることはできません。

残念! と立ち去る前に、みなさん、もう一度その本をよくよくご覧ください。
いやいや、中身の話ではありません。外側、あなたの目に見えている、その本の「かたち」や
「いろ」のことです。

表紙の材質や色使いはどうでしょう。中には函が付いているものもあります。表紙カバーと表紙
とに、別々の挿絵があったりするものも…たとえば、北原白秋の第一詩集『邪宗門』などは、
左半分が更紗模様入りの紙製で、右半分は背・裏表紙にかけて深紅のクロス製です。表・背表紙に
刻まれたタイトルは金箔押し。じつは本を立てて上から見てみると、「天金」といって本文ページの
上断面にも金箔があしらわれているのが分かります。しかも中はアンカット、いわゆる「フランス綴じ」
で、天金を施された部分しかページが切れていないので、読むときは自分でペーパーナイフで
切り離しながらページを繰ることになるのです。

なんと手間暇かかったゴージャスな(あるいは面倒くさい??)本か、とびっくりなのですが、それだけに、
この詩集にかけた白秋の思いの深さも分かります。収めた詩ひとつびとつがかたちづくる小宇宙を、
本という形式が外側から包み、まとめあげる…『邪宗門』を出版したとき、白秋はまだ24歳、今でいうなら
大卒社会人2年目くらいの青年で、学生のみなさんとさして変わりない年齢です。じっさいに製本され
出版されたこの詩集を手にしたとき、白秋はどんなに嬉しく誇らしかったことだろうかと、想像するだけで
思わずこちらまでにやにやしてしまいます。

こんなふうに、一人の詩人における複数の詩集を、デザインという観点でもって見比べることも、
本展示では可能です。たかが本、されど本。本のデザインから、その詩人の感性や嗜好(<思考)も
またほの見えてきます。そのとき表紙を開いてページを繰れば、むつかしいと敬遠していた詩も、
おのずと分かってくることがあるやも知れません。

春の特別展「図書館70周年・近代文庫60周年記念 ことばのいろ ことばのおと
~人見東明と白秋・露風の詩の世界~」
会期 2018年6月1日(金)~30日(土) 10:00 〜 17:00
会場 昭和女子大学 光葉博物館
休館日 日曜日※6/17(日)は開館
入場無料。

特別展「図書館70年の歩みⅠ~特殊コレクションヒストリー」
会期 2018年6月1日(金)~30日(土)
会場 8号館1階昭ルーム・8号館3階図書館コミュニティルーム
入場無料。

(FK)

本の装丁も、じっくりとご覧ください

 

 

光葉博物館春の特別展 見どころとエピソード② [2018年06月19日(火)]

<研究室便り>

6/1(金)より光葉博物館にて、春の特別展「図書館70周年・近代文庫60周年記念 ことばのいろ ことばのおと~人見東明と白秋・露風の詩の世界~」が開催されています。
本展示の見どころをご紹介します。その①につづき、これも本学創立者・人見東明に関してです。

■二つの火―熱くて温かい
人見東明先生の詩を読み、人生をたどる中で感じたのは、まるで火のような方だということでした。火には二種類あります。燃えさかる火と、炭火のようにじわじわと温める火とが。

若き日の東明先生は、燃えさかる火であったと言ってよいでしょう。詩作に情熱を傾け、仲間と詩社を起こし、詩集も次々に編んでいます。第一詩集『夜の舞踏』は、北原白秋の『思ひ出』と並び称された力作です。雑誌に発表した時の詩にかなり手を入れて作ったもので、愛着のほどがうかがえます。また、〈口語詩〉という名称の創始者ということは、もっと知られても良いように思います。

しかし、教育の世界に入ってからの東明先生は炭火となり、学生たちを育み、温めて世に送り出す方となりました。ご子息の人見楠郎先生が「父のことども」(「詩界」126号、昭49・8)に、中学三年の頃、父(東明)の詩集を古本屋で手に入れて本箱に立てて置いたのに、父によって処分されてしまったエピソードを紹介されています。

「おとうさんは自分の好きな道を捨てたんだよ。大きな決心のもとに女子教育という新しい道に入ったからには、過去のものを振りかえってはならないし、古いものは恥さらしだからね」と語られたそうです。この覚悟のもとに成った学校であることを忘れてはならないと思いました。

炭火の火も熱い。晩年まで研究者として詩と向き合い続けた情熱にも、頭が下がる思いを抱きました。
展示を見る方には、東明先生の二つの火を感じ取っていただきたいと思います。

春の特別展「図書館70周年・近代文庫60周年記念 ことばのいろ ことばのおと~人見東明と白秋・露風の詩の世界~」
会期 2018年6月1日(金)~30日(土) 10:00 〜 17:00
会場 昭和女子大学 光葉博物館
休館日 日曜日※6/17(日)は開館
入場無料。

特別展「図書館70年の歩みⅠ~特殊コレクションヒストリー」
会期 2018年6月1日(金)~30日(土)
会場 8号館1階昭ルーム・8号館3階図書館コミュニティルーム
入場無料。

(FE)

展示「人見東明の詩業と女子教育」

東明先生縁の品

パンフレット(博物館で配布)と東明全集

 

光葉博物館春の特別展 見どころとエピソード① [2018年06月14日(木)]

<研究室便り>

6/1(金)より光葉博物館にて、春の特別展「図書館70周年・近代文庫60周年記念 ことばのいろ
ことばのおと~人見東明と白秋・露風の詩の世界~」が開催されています。

本展示の見どころをご紹介します。まずは本学創立者・人見東明に関してです。

■北照高等学校校歌(大正12年制定)作詞
『人見東明全集』未収録です。

大正9年9月「日本女子高等学院」(昭和女子大学の前身)を創設して3年にあたる人見東明先生が、
どのような経緯で作詞したのか、しかも「証城寺(しょうじょうじ)の狸囃子(たぬきばやし)」
「シャボン玉」の作曲で有名な中山晋平と組んで……、と謎はつきません。「緑が丘」「理想」の
二語は本学の校歌、祝歌にも用いられており、まるで校歌の兄弟です。

この作詞の発見にも次のようなエピソードがあります。

高校野球の甲子園全国大会では勝った高校の校歌が流れます。北照高校の勝利の校歌が流れた時、
偶然本学の卒業生が〈作詞 人見東明〉に目を止め、本学名誉教授・杉本邦子先生(日本語日本文学科)に
知らせてくださいました。その情報は、近代文化研究所に伝えられ、今回初めて公になったのです。

時を超え、東京と北海道をつなぎ、卒業生との横のネットワークの強さも証した、すてきな発見でした。

春の特別展「図書館70周年・近代文庫60周年記念 ことばのいろ ことばのおと~人見東明と白秋・露風の詩の世界~」
会期 2018年6月1日(金)~30日(土) 10:00 〜 17:00
会場 昭和女子大学 光葉博物館
休館日 日曜日※6/17(日)は開館
入場無料。

特別展「図書館70年の歩みⅠ~特殊コレクションヒストリー」
会期 2018年6月1日(金)~30日(土)
会場 8号館1階昭ルーム・8号館3階図書館コミュニティルーム
入場無料。

(FE)

展示の様子

北照高等学校校歌

ぜひお越しください

光葉博物館春の特別展のお知らせ ① [2018年06月13日(水)]

<研究室便り>

6/1(金)より光葉博物館にて、春の特別展「図書館70周年・近代文庫60周年記念 ことばのいろ
ことばのおと~人見東明と白秋・露風の詩の世界~」が開催されています。

本学の創立者・人見東明が詩人であることは知っていても、いつごろから、どのようにして、どんな
詩を書いたのか、ということまで知っている人は、残念ながら少ないのではないでしょうか。たとえば、
3号館の脇には、近代詩の先駆けとなった『新体詩抄』を記念する碑がありますが、創立者の詩を
導いた先輩・河井酔茗の詩碑も並んでいることを、多くの方が知らないだろうと思います。

今回の展示は、創立者・人見東明の歩んだ足跡をたどるため、広く、日本の近代詩を展望しながら、
創立者と同じころ「文庫」という投書雑誌からデビューし、同じ早稲田大学に学んで、明治40年代を
中心に活躍した、北原白秋と三木露風を加えて、それぞれの詩の特質を明らかにしよう、と学内の
近代文学を教える者が中心となって、企画をしました。

日本の近代文学を研究する者にとって、昭和女子大学といえば「近代文庫」の昭和、『近代文学
研究叢書』を出した昭和です。また、この『叢書』が第六回菊池寛賞を受けた、そのことによって、
広く社会に知られるようにもなりました。60年前に作られた近代文庫は、現在、蔵書76,806冊、
新聞雑誌5,206タイトルを擁する充実したコレクションとなっています。

その数あるコレクションの中から、貴重なもの、文学史的に重要なものを、精選しましたが、それは
近代文庫のほんの一部にすぎない、もっと豊富な資料が図書館の地下に所蔵されていることを
念頭において、本展示をじっくりとご覧下さい。

春の特別展「図書館70周年・近代文庫60周年記念 ことばのいろ ことばのおと
~人見東明と白秋・露風の詩の世界~」
会期 2018年6月1日(金)~30日(土) 10:00 〜 17:00
会場 昭和女子大学 光葉博物館
休館日 日曜日※6/17(日)は開館
入場無料。

特別展「図書館70年の歩みⅠ~特殊コレクションヒストリー」
会期 2018年6月1日(金)~30日(土)
会場 8号館1階昭ルーム・8号館3階図書館コミュニティルーム
入場無料。

(吉田昌志)

3号館脇 新体詩祖の碑

特別展オープニングセレモニーの様子(左から2番目が吉田先生)

ぜひお越しください

You are my inspiration! [2017年05月09日(火)]

<研究室便り>

アメリカのニュース週刊誌であるTIMEが、2004年から毎年、今の時期に「The 100 Most Influential People」という特集を合併号で組んでいます。日本ではたまたま5月の連休と重なりますので、休日の読み物として楽しみにしています。
日本では、「日本人は誰々が取り上げられた」という形で小さなニュースになりますが、ここに登場するのは「良くも悪くも影響力のある人物(グループ)」ですので、取り上げられることが名誉かどうかは分かりません。昨年はISISの指導者も出ていました(年末の「Person of the Year」と同じコンセプトです)。
Pioneers・Artists・Leaders・Titans・Iconsの5分野(?)からなっていますが、私にとっては半分くらいは知らない人物です。世界にはいろいろな人がいることを、改めて実感します。
この特集では「誰が取り上げられるか」に関心が集まるのは当然でしょう。ただ本当に面白いのは、「誰が書くか」だと思っています。つまり「誰が誰のことを書いているか」という組み合わせが興味深いのです。例えば以下のようなものです。
(A:B  Aという人についてBが書いている)time21070503
Guus Velders   :   Leonardo Dicaprio
Jared Kushner   : Henry Kissinger
Melinda Gates   :   Sheryl Sandberg
Donald Trump   :   Paul Ryan
Kim Jon Un    :   Christopher Hill
Jean Liu       :   Tim Cook
Neymar        :   David Beckham

説明は省きますので、関心があれば調べてみてください。必ずしも「お友だち」が書いているのではなく、例えばトルコ大統領(Recep Tayyip Erdogan)のことを書いているのは、大統領に投獄されたこともある新聞社の編集長です。

話は変わりますが、毎年この特集を読んでいて、繰り返し出てくる単語があることに気づきました。それはinspire(inspiration・inspiring・inspired)という言葉です。「インスピレーション」というと「ひらめき」という語感で、高校時代に習った”Genius is one percent inspiration, ninety-nine percent perspiration” というエジソンの言葉を思い出します。
今回の特集でも次のような表現が使われています。

・The Women’s March was the most inspiring and transformational moment I’ve ever witnessed in politics.
・He makes music from an unapologetically inspiring and Christian perspective …
・Ava’s point of view is fresh, it’s inspiring.

また今回はなかったようですが、”She/He is my inspiration”という表現もあって、inspirationという単語はこのように使うのかと印象に残りました。
inspireというのは in +spire で、spireの元はラテン語の「息」という言葉(spiritと同じ語源)ですから「息を吹き込むこと」です。「息」は「精神」「魂」の象徴で、「精神を入れる」から「鼓舞する(こと・人)」「励ます(こと・人)」という意味になります。(反対はexpireで、「終わる」「期限が切れる」「亡くなる」ということです。余談ですが、私がexpireという単語を覚えたのは、学生時代に送られてきたTIME誌の請求書に”Your subscription will expire by ~”[講読期限が〇〇で切れます]と書かれていたことがきっかけでした。今以上にお金がなくて、1万円を超える年間購読料がなかなか払えず、請求書が何度も送られてきたので覚えてしまいました。)

ところで教育界で有名な言葉に以下のようなものがあります。
凡庸な教師は、ただ話す。
良い教師は、説明する。
優れた教師は、態度で示す。
そして、偉大な教師は心に火をつける。

William Arthur Ward(1921-1994)という人の言葉だそうです(出典を確かめてはいません)。原文は以下のようなものとされています。

The mediocre teacher tells.
The good teacher explains.
The superior teacher demonstrates.
The great teacher inspires.

「心に火をつける」がinspireです。
inspireは授業に限ったことではないのでしょうか、一度でいいので、学生の皆さんを “inspire” する授業をしたいものだと思っています。
それ以上に、教師となった卒業生、そして教師を目指す学生さんに、生徒から”You are my inspiration” と言われるような存在になって欲しいと願っています。

(TO)

「みんな」って誰? [2017年03月22日(水)]

<研究室便り>

「みんな言ってる!」
「モテる女/男は、みんな○○をしている」
「みんなが気になる△△」

みなさんも(笑)、一度は使ったことがあるのではないでしょうか。
「みんな」って誰?と考えたことはありませんか?

このようなちょっと極端な語彙、すなわち、Extreme Case Formulations(ECFs)という概念は、Anita Pomerantzという言語学者が主張した概念だそうです。例えば、all, every, absolutelyなどの表現です。
Pomerantzの論文にある次の例は、Sさんが友人について話している場面の発話で、彼にあった人は「みんな」彼のことが好きになると言っています。証明できるの?と突っ込みたくなりますが。

S : You’d like him. Everybody who meets him likes him.
(Pomerantz 1986:224)

一方、日本語の会話でも、実際の友人同士の会話をビデオ収録して、どのようにこういった表現が使用されているのか、具体的に分析した研究があります。
川上きよ美先生が、2013年のアメリカ応用言語学会で発表されたご研究です。
The use of Extreme Case Formulations for upgrades in non-argumentative Sequences.
(2013 American Association of Applied Linguistics, Dallas, TX, USA, Mar 2013)
関心を持った「みなさん」は、ぜひ、学会のHPにアクセスしてみてください。

この研究では、日本語では、みんな、いつも、全然~ない、などの表現が収集されたそうです。
(組み合わせる必要もないのですが、例えば、「あの授業、全然おもしろくないって、みんないっつも言ってる~!」なんて表現が考えられるでしょうか。教師としては、「いつも」っていつ?と聞きたくなりますが。)

私自身はこのECFsの研究をしたことがないので受け売りなのですが、Pomerantz(1986)などの先行研究では、議論するような会話の中で、相手の否定的な反応に対して自分の意見の正当性を主張する場合に用いられるとしていたそうです。これに対し、上記の川上先生のご研究では、日本語での友人同士の楽しい会話にもこれらの表現が使用されていていることを、実際の会話データで具体的に示している点におもしろさがあります。

私は、「みんな」と同じでこの表現のおもしろさに「全然気がつかない」で「いつも」使っていたので、川上先生からご研究についてお話を聞き、「みんな」とは違った視点で会話の現象のおもしろさを、会話データから具体的に指摘することができるってすごいなと率直に思いました。

4月から大学生になるみなさん、大学ではみんなといつも一緒に勉強していく時間がたくさんありますが、みんなと一緒に学び合う中からも、みんなとはちょっと違ったことに気が付ける視点も学んでもらえたらと思います。

なお、詳しくは、上記と合わせて、以下の論文も(がんばって)読んでみてもらえたらと思います。
これは、「みんな」で協力して読んでもいいかもしれませんね。
Pomerantz, A. (1986). Extreme Case formulations: A way of legitimizing claims. Human Studies 9 (2-3): 219-229.

さくらちゃん(みんな♪)pptx

(OB)