2018年5月

世田谷歴史散歩Aコース行って来ました! [2018年05月27日(日)]

こんにちは、歴史文化学科の松田忍です。

今年も世田谷歴史散歩を開催しました。今年はAコースとBコースに分かれ、Aコースには歴文1年生17名が参加しました。世田谷沿線沿いの見どころたっぷりのコースを歩いたあと、世田谷代官屋敷(郷土資料館)で勉強するという流れです。

毎年このコース歩いていますが、ちょっとずつ整備が進んでいますね~。

松陰神社も境内の松下村塾(レプリカ)や解説パネルが新しくなったりしてますし、今年は吉田松陰のお墓への参道が整備中でした。

松陰先生とツーショット。毎年やっている気もするが笑

松陰先生の有難いおことばがいただけるおみくじがありました。思想に触れて勉強にもなりますね!これも去年はあったかどうか記憶にあまりない。

今年一番大きく変わっていたのが、松陰神社隣の桂太郎のお墓です。整備中で奥まったところにあったのが、とても綺麗になって、近くまでいってお詣りできるようになっていました。今回の散歩メンバーは、桂太郎関係文書を読んでいる「日本近現代史史料解読」の受講者も多く、「いつも授業でお世話になっています」と挨拶してきました笑

その次にいったのが世田谷区役所。環境デザイン学科の堀内先生から現庁舎の建築史的価値と庁舎建て替え計画を聞いてから、毎年散歩コースに入れるようにしています。前川國男の設計によるコンクリート打ちっ放しのモダニズム建築はたいへん見応えがあります。現庁舎をみられるのももうあとわずかになってきました。「歴史的建造物の保存」と「利便性ゆえの建て替え計画」のバランスについては、是非みなさんしっかり考えて欲しいと思います。

さらに世田谷城址から豪徳寺へ。

今年は外国の方も多くいらっしゃいましたね。学生たちに行くと、昭和女子大学の留学生との交流サークルCHAWA(茶輪)でも、懇親イベントに組み込まれているらしいです!

そして世田谷区立郷土資料館にいったあとは三軒茶屋に戻って、お好み焼きパーティ。たくさんの学生が参加しました。

みなさん活発ポジティブで、たいへん楽しい土曜日の午後となりました!!

来週も世田谷歴史散歩Bコースをやりますよ~

 

特殊研究講座が開催されました! [2018年05月15日(火)]

【世界の記憶・上野三碑を読み解く】

5月9日(水)、第1回特殊研究講座が開催されました!
今回は、群馬県立女子大学前教授、
熊倉浩靖先生にお越しいただきました。

日本最古の石碑である上野三碑がなぜ世界に認められたのか。
実際に碑文を読み解くワークシートを行いつつ、
丁寧に優しくお話ししてくださいました。

上野三碑は、山上碑・多胡碑・金井沢碑から成る高崎市の石碑群です。
なかでも山上碑には、
ある僧の、母への感謝の想いが刻まれています。
この事実は中国や韓国の人からすると驚くことだと先生はおっしゃいました。
石碑の多くは、王や貴族などの身分の高い者の権威を後世に残すために建てられますが、
一介のお坊さんが母への想いを石碑に残したということは、
考え難い、驚くべき日本特有の文化だそうです。
それが世界から認められる所以とのことでした。

また、
碑文は1300年前に創られたものにも関わらず、
現代の私たちは文字を読み解くことができます。
それはつまることろ…
同じ言葉を1300年も前から現在に渡って引き継がれてきたということ!
「読む・書く・話す・聞く」があって、言語宇宙は成り立つとのことです。
考え深いですね。

学生さんたちは、熱心に先生のご講演を聴いていました。
実際に碑文を読み解くという作業をしながら、何を感じたのでしょうか。
熊倉先生、貴重なお話しをありがとうございました。

 

(助手E)

 

高校生や大学生にお薦めの本 2冊目 [2018年05月15日(火)]

こんにちは、松田忍です。

高校生や大学生にお薦めの本、2冊目です!

ルイス・ダートネル著・東郷えりか訳『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』(河出書房新社、2015年)を紹介します。

「僕らの知っていた世界は終わりを遂げた。

格別に強毒型の鳥インフルエンザがついに異種間の障壁を越えて人間の宿主に取りつくことに成功したか、あるいは生物テロ行為で意図的に放出されたのかもしれない。都市の人口密度が高く、大陸をまたぐ空の旅が盛んな現代においては、感染症は破壊力をもってたちまち拡散する。そのため効力のある予防接種を施す間もなく、検疫体制さえ敷かれる前に地球の人口の大多数を死に至らしめたのだ。」(7ページ)

こんな出だしからこの本は始まります。そして次のように続くのです。

「僕らの知っていた世界は終わりを遂げた。

生存者が自分の置かれた窮状―それまで彼らの暮らしを支えていたインフラストラクチャー全体の崩壊―を受け入れたあと、廃墟から立ちあがって長期にわたり確実に生き延びようとした場合、彼らに何ができるだろうか?可能な限り早く復興するには、どんな知識が必要となるのか?

本書は生存者のための手引き書だ。」(8ページ)

人類社会崩壊後のサバイバルを思考実験することによって、私たちが生きる「この世界」がいかに多くの学知や技術によって、精緻に組み立てられ、絶妙のバランスを保ちながら成り立っているかを考えさせてくれる本です。

また一方で、この本からは文明崩壊リスクを避けるための多くの予防線が張り巡らされていることを知ることもできます。

たとえばみなさんは種子バンクってご存じですか?以下のように書かれていますよ。

「種子バンクは世界各地に数百はあり、後世のために生物の多様性を守りつづけている。その最大のバンクは、ロンドンのすぐ郊外にあるウエストサセックス州のミレニアム・シード・バンクだ。ここには何十億もの種子が、核爆弾にも耐える地下複数階の倉庫に格納されており、大破局後には不可欠となる図書館の役割をはたす。」

現在に至るまで受け継がれてきた命は動物だけではなく、植物も含まれます。そのなかには、私たちの食糧となる貴重な作物の遺伝子もあるわけです。そうした生物の多様性は、一度失われたら二度と復活することはありません。そうした命を人知れず守り続けている人がいる事実に深く感動させられますね。

考察好きな人、SF好きな人、人類の未来を考えたい人(?)、いろいろな人にお薦めの本です!

話は変わりますが、一度失われたら不可逆的に永久に失われてしまうものは、命だけではありません。歴史史料や文化財など私たち歴文のメンバーが大事に考えているものもその1つです。「1点しか存在しない物」と「コピー可能な物」の価値は全く違う次元にあります。1点物に対する愛惜の情を養うことが高等教育の役割の一つなのかななどとも思いました。

[授業紹介]英語による西洋史 [2018年05月14日(月)]

西洋史の山本です。こんにちは。

今日は「英語による西洋史」という授業を紹介します。

授業風景

西洋史で卒論を書く学生は、何らかのかたちで「英語の文献」にあたる必要があるでしょう。学術英語には、口語的な表現はおろか、(小説、新聞等の)他の文章とも異なる、一種独特の言葉遣いや決まり事があります。よって、この授業では文意の正確な理解のみならず、そうした学術的文章の作法を身に付けることも目標としています・・・。

「!!?」

ちょっと、そこのアナタ! ビビっていませんか? 「西洋史をやりたいけど、英語が難しそうだな・・・」とか思っていませんか? 「西洋史は帰国子女みたいに、英語がものすごく得意な人じゃないとできないんだ・・・」とか諦めていませんか!?

大丈夫です(^_^)v

この授業では、指定したテキストを皆さんに訳してもらいながら進みますが、正しく訳せなくても怒られることはありません。難しい箇所は山本が誠心誠意、手取り足取り、懇切丁寧に補足しますし、最終的には正解(みたいなもの)をお配りします。なので、自分が研究したい分野で学術的な英語が必要となる人で、やる気があればどなたでも大歓迎です! どうぞ臆せず受講して欲しいと思います。

使用されるテキストも、受講者の顔ぶれを見て、相応しいものを決めています。例えば、今年はロシア史に関心がある学生が受講しているため、以下の論文を取り上げています。

Alexander Kamenski, “Businesswomen in Eighteenth-Century Russian Provincial Towns”, in: Maria da Salvo et al. (eds.), Word and Image in Russian History, Academic Studies Press, 2015, pp. 206-221.(アレクサンドル・カメンスキー「18世紀ロシア地方都市における女性実業家」)

その内容をかいつまんで紹介しましょう。18世紀のロシアは、ロマノフ朝のピヨートル大帝らによる拡大政策や西欧化により、ヨーロッパ有数の大国となる一方で、国内においては著名な農奴制や都市化の遅れなどにより、社会的緊張が生じていました。

この時代の女性については、いくつかの先行研究がありますが、それらは貴族の上流階層や一部の著名な女性のみを扱ったものばかりであり、さらに当時の女性がどのような経済活動を行っていたのかという点に関しては、ほとんど研究がなされていないとカメンスキー教授は指摘します。

その大きな理由は、「史料」の欠如にあります。過去においては一般的に女性が記録を残すことは少なく、たとえ記録が残ったとしても、それらは貴族や作家など、限られた女性による、限られたジャンルの記録しかありません。しかし、カメンスキー教授は「約束手形」promissory noteという史料を駆使し、18世紀ロシアの「一般の女性」――といっても上層市民の寡婦など限定されますが――の経済活動を明らかにしようと試みます。

ところで「約束手形」とは何でしょうか。簡単に言いますと、それは(実際の貨幣ではなく)書面により決済を行う手段です。約束手形を発行する人(振出人)は、一定の期日までに一定の金額を何らかの手段・条件で支払うことを、書面で「約束」します。その書式は様々ですが、以下のような簡易な書類である場合が多いです。

アメリカ独立宣言にも署名した、18世紀アメリカの政治家ジョサイア・バートレットの約束手形(振出人は文盲のため、受取人のバートレット自身が起草した)

同じような有価証券に「為替手形」がありますが、約束手形の方がより簡便であり、18世紀のロシアでは都市市民を中心に広く普及していました。カメンスキー教授はこの論文で、そこに記される様々な情報をデータベース化し、また時には特定の手形を深く読み込むことで、当時の一般的なロシア人女性の経済活動の一端を明らかにしようとしているのです。

なお、「約束手形」は当事者間(振出人と受取人)で契約が履行されると破棄されることが大半であり、本来は「残らない記録」です。それが何故、残っているかというと・・・(長くなるので省略します)。

どうです? 面白そうでしょ! この授業に興味がある人は、遠慮せず山本までご連絡ください。

では。

高校生や大学生にお薦めの本 1冊目 [2018年05月07日(月)]

こんにちは、松田忍(日本近現代史)です。

高校生や大学生にお奨めの本をちょくちょく紹介していこうかなと思います。

1冊目はつい最近刊行された新井勝紘『五日市憲法』(岩波新書、2018年)です。

今から50年前の1968年。鼠か蛇か虫かなにが出てくるか分からない開かずの蔵。所蔵者のご好意により、入ることを許された色川大吉ゼミの学生たちがその扉を開ける。まず先発隊が飛び込みDDT(殺虫剤)をまき、落ち着いた頃を見計らって、学生たちが蔵に入る。学生時代の新井氏が、ボロボロの風呂敷包みを開くと「日本帝国憲法」と書かれた紙の綴りがでてきた。この偶然の出会いが、研究者となることを考えていなかった一学生を歴史学の道へと誘っていくのです。

今では私擬憲法の1つとして、広く識られている「五日市憲法」発見と解読のストーリーを丁寧に分かりやすく記した本です。卒論執筆時に偶然出会った史料に秘められた多くの謎に魅せられて、多くの人の助けを借りながら、歴史像を構築していくお話しは、まさしく歴史が誕生する現場!ものすごーくワクワク本するです!高校生にもお薦め!!