2022年度 方法論「心理実験法実習A 」グループ実験報告会・2「文化的自己観が座席選好に与える影響」

心理学科では,目に見えない人の心を解き明かすために,実験法調査法などの各種方法論を段階的に学んでいきます。

3年次の「心理実験法実習」では,各自の関心をもとに研究計画を自ら立て,実験実施~データ分析~研究発表を進めていくプロジェクト型学習(PBL)が行われます。

今回,認知心理学が専門の松野 隆則先生が担当する「心理実験法実習A」において,2つのグループが研究報告会を行いました。

前回の報告記事は以下をご参照ください。

グループ実験報告①

心理学科では,「心理学実験」(1年次)「心理学研究法」(2年次)などの方法論科目を通して,目に見えない心を測るための実験法や調査法などの方法を学んでいきます。 3年次に履修する「心理実験法実習」では,これまで学んできた心理学実験に関す[…]

今回もう一つのグループもご紹介します💡


グループ実験の内容と結果を教えてください。

皆さんは、飲食店や電車などで座席に座る際にどこに座ることが多いでしょうか。

私たちは、目の前に人がいる場合は対面を避けたりなどその時の状況や、パーソナリティ特性※1である文化的自己観※2が座席の選び方と関連しているのではないかと考え実験を行いました。

実験の結果、先に誰かが座っていた場合でもそうでない場合でも奥の座席が好まれることや、相互独立的自己観※2のうち他者に配慮することなく自分の判断で決める独断性が高い人は先客の斜向い手前の椅子を選びやすいことなどが分かりました。

座席の種類よりも座席の位置の影響が大きいことも分かりました💡

※1 パーソナリティ特性(personality trait)…「陽キャ」などある特徴的な個人差を表す性格(character)に対して、「内気な」「穏やかな」などさまざまな状況を通じてある程度一貫して見られる特徴の1つ1つのこと。

※2 文化的自己観(cultural self-construal)…「私/人は~という存在だ」という自己や他者についての考えのうち、特定の社会において歴史的に作られ、また共有されるもの。例えば「日本人は真面目」など。アメリカなど北米諸国では、人は他者とは区別され独立した存在で、自分の考えや行動によって周りに影響を与える存在と考える「相互独立的自己観」が優勢で、日本などの東アジア諸国では、人は他者と繋がった存在で、自分の考えや行動は周りの人と和を保つように決められると考える「相互協調的自己観」が優勢とされる。

グループ実験において工夫したことや,苦労したことを教えてください。
座席の種類をどうするか、先客の配置をどこにするか、先客との関係性はどうするか、座席が置いてある場面はどこかとするかなど、様々なパターンが考えられるため、どの条件で実験を行うか非常に悩みました
場面を表す画像を試行錯誤しながら作成しました💦
行き詰まった時には松野先生に相談し、そこで提案いただいたことを元にグループで話し合いを重ね、調べたいことを明確にして実験を進めることができました。
心理学科を目指す受験生に一言お願いします。
実験を行って分析をして…と聞くと難しそう😓と思う方もいるかもしれません。
しかし、一つのことについてじっくり考え、仲間や先生と相談しながら研究していくプロセスは、みなさんにとってとても貴重な経験になるのではないかなと思います。

みなさんと心理学科でお会いできることを楽しみにしています😊

(3A 増田)

昨年度の発表①

心理学科では、1年次の「心理学実験」や2年次の「心理学研究法」などの方法論科目を通じ、目に見えない人の心を解き明かすための実験法や調査法などの各種方法論を学んでいきます。 その中で、3年次に履修する「心理実験法実習」では、これまで培っ[…]

昨年度の発表②

心理学科では,目に見えない人の心を解き明かすために,実験法や調査法などの各種方法論を段階的に学んでいきます。 3年次の「心理実験法実習」では,各自の関心をもとに研究計画を自ら立て,実験実施~データ分析~研究発表を進めていくプロジェクト[…]


これまでの心理実験法実習の実施模様に関してはタグ「心理実験法実習」をご覧ください。
その他の方法論科目についてはカテゴリー「方法論」をご覧ください。