心理学科では心理学の主要4領域(「認知」「発達」「臨床」「社会」)が学べるカリキュラムを用意していますが,心理学には特定の対象や年齢層を対象にしたより専門的な分野もあります。
今回,臨床心理学・青年心理学が専門の増淵裕子先生に,「青年心理学」の魅力などを紹介する特集記事を書いてもらいました。
「青年心理学」は昭和女子大学の心理学科で学べる特色ある分野の1つです。ぜひ,進路を検討する上での参考にしてください😊
青年期とは、思春期が始まる10代前半から20代半ば頃までを指すことが多いです。
青年が自分をどのように作り上げていくのか(アイデンティティの発達)について、これまでずっと関心を持って研究をしています。
研究のきっかけは、青年の発達にとって、友人など他者との関わりはもちろん重要ですが、一方で、「ひとりの時間」を過ごすことにも意味があるのではないか、と考えたことです。
初めは素朴な疑問でしたが、研究していくうちに、「ひとりの時間」に好きなことに熱中・没頭することが、アイデンティティの発達や精神的健康に良い影響を及ぼすことが分かってきました。
青年期は、「疾風怒涛の時期」(激しい風が吹き荒れ、大きな波が荒れ狂うような時期)とも言われ、心理的、身体的、社会的変化の大きい時期です。それゆえに、悩みや葛藤が多くなりますが、それぞれが、いろいろやってみては壁にぶつかり、その中で、さまざまなことを感じ、考え、発見し、自分の人生を切り拓いていく、キラキラしたダイナミックな時期とも言えます。
このように青年が成長・発達していく様子を分析・検討できることが青年心理学の面白さだと思います。
一方、「青年心理学」の授業を受講する学生にとっては、授業での学びを通して「自分がこれまで悩んでいたことは自分だけではなく、青年一般に普遍的な悩みだったのか」「自分の悩みは青年心理学ではこのように説明できるのか」とほっとしたり腑に落ちたりする体験が多いようです。これもまた、青年心理学の魅力だと思います。
心理学科のブログでは,各種行事の紹介だけでなく授業紹介も行っています🙋 特に最近では1年次に履修する授業の紹介記事を掲載しています。 いずれも1年生のクラス委員が原稿を書いています。 ▶2021年度 1年次必修「臨床心理学概論」~[…]
アイデンティティの発達、友人関係、恋愛関係、親子関係、キャリア発達、社会不適応など、さまざまな研究を行うことが可能です。
私が担当しているゼミでも、
- 部活動経験が社会人基礎力に及ぼす影響
- 自由時間行動が自尊感情に及ぼす影響
- 自己の多元性および本来感と共感性との関連
など、各自が関心を持ったテーマで研究を行っています。最近は、ファン心理やSNSなどに関心を持ち、青年の心理や発達と関連づけて研究する学生も増えています。
心理学科では,学生一人一人が関心のあるテーマをもとに,ゼミ教員の指導のもとで実験や調査を行い卒業論文を執筆しています。 参考:心理学科オリジナルページ|カリキュラム「卒業論文」 今回,大学院附属の生活心理研究所が発行している研究紀要[…]
有名な映画ですが、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』がおすすめです。まさに、青年がもがきながら成長していくさまが描かれています。カウンセリングの場面も出てきますので、カウンセリングや臨床心理学に関心がある方も、興味を持って見ていただけると思います。
また、『心のなかはどうなっているの?-高校生の「なぜ」に答える心理学-』という本も是非おすすめしたいです。日本の青年心理学者達が、高校生の日々の悩みや疑問の正体を分かりやすく解説しつつ、心理学の基本的な考え方や青年心理学の主な領域を紹介しています。
また、普段皆さんが感じている、身近な疑問を研究することができます。
ぜひ、本学の心理学科で一緒に学んでみませんか。お待ちしています😊
(心理学科・増淵 裕子)
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