早川研究室では、美術教育、表現活動、生活の中に息づく美術文化を手がかりに、人がどのように世界を受け止め、表し、着目し、読み解くのかを研究しています。
絵を描く。ものをつくる。作品を見る。景色に心を留める。
こうした行為に含まれる経験を、教育実践、作品制作、文献研究、フィールドワークなどを通して考えていきます。
研究の柱は、次の三つです。
1.図画工作科・美術科教育に関する研究

保育・幼児教育の表現、小学校の図画工作科、中学校・高等学校の美術科(工芸科)を中心に、授業、教材、指導方法、評価、カリキュラム、教育史などを研究します。
子どもの主体性を生かした授業づくり、造形遊びや絵・立体・工作の教材研究、鑑賞教育、作品評価、美術文化を取り入れた実践などが研究対象です。
コミュニケーションをテーマに研究する大学院生もおり、アートの現代的な課題・切り口でテーマを設定することもあります。
保育・教育学の観点から、子どもが素材に触れ、選び、試しながら、自分なりの意味や価値をつくり出す過程を丁寧に捉えます。
2.表現活動・造形素材・アート鑑賞に関する研究

絵具、紙、土、木、人工物、自然、環境など、素材との関わりから生まれる表現について考えます。
表現は、頭の中のイメージを形にするだけではなく、素材や環境とのやり取りを通して、新しい発想や発見が生まれる活動でもあります。
また、美術作品や他者の作品、展覧会、景色などを「見ること」にも注目し、表現と鑑賞が判断や思考にどのように関わるのかを探究します。
制作者をゲスト講師に実技を行ったり、美術館へ出かけたりすることもあります。
3.生活文化(美術文化)に関する研究

美術を学校や美術館の中だけでなく、私たちの暮らしの中から捉え直します。
庭、器、工芸、住まい、植物、衣、季節、趣味、自然など、日常には多様な美的文化があります。こうした「暮らしの中の美術」を、教育、歴史、地域、制作、鑑賞などの視点から研究します。
早川自身は、日本画と盆栽を手がかりに、「景色をつくる文化」について研究しています。
人間が「なぜ景色をつくるのか」について関心があり、異なる領域を横断しながら、美術教育へつなげる試みです。
研究は、「気になること」から始まる

授業や日常生活で感じた違和感、美的な体験や実感、子どもたちの作品から生まれた表現の気づき、心に残った展覧会や空間、自分でつくる中で気づいたこと。そうした「気になること」が研究の入口です。
研究室では、個人の経験や関心を出発点に、文献調査、実践、制作、議論を重ねながら、研究の問いを深めていきます。
「なぜ、これが気になるのか。」
「ここには、何か大切なことがあるのでは⁉」
その原初的で言葉になる前のかすかな感覚を大切にしながら、つくり、観察し、考察し、論じる。そうした研究を進めていきたいと考えています。
(早川)