社会課題解決に求められるファンドレイジング

6月9日(金)の「福祉サービスの組織と経営」の授業の外部講師として、日本地域福祉ファンドレジングネットワークCOMMNET 理事長の久津摩和弘氏をお招きしました。
久津摩氏は、日本の福祉業界でのファンドレイジングの先駆者です!

今日、解決すべき社会課題が増えてきています。その課題解決には、お金(資金調達)が必要ですが、福祉の分野では、長年、資金調達について正面から取り上げられることがあまりありませんでした。お金の話はタブー視されてきたことも影響していると言えます。

しかし、公的な財源が減少しつつあり、公的な財源では解決できない社会課題が顕在化する中で、社会課題の解決に必要な資金を調達する方法がファンドレイジングです。社会福祉士の新カリキュラムの中で、ファンドレイジングが教授すべき教育内容に含まれました!

有名な世界NGOである「国境なき医師団」もファンドレイジングで資金調達しているということです。そうした世界的なファンドレイジングもありますが、身近な地域の課題解決が求められる今日、そのための資金調達の方法(寄付や助成金等)を社会福祉士も学ぶ必要があるということです。

授業では、「闘病生活をしている方の夢を叶える」取り組みや、「引きこもりの方の社会復帰を実現させる」プロジェクトをはじめ、様々なファンドレイジングの取り組み例が紹介されましたが、「入れ歯を回収する」プログラムもありました。また、大学生のボランティアと企業のコラボ企画もありました!

日本には寄付文化がないということも言われますが、災害支援のための寄付の募集や、ふるさと納税など、寄付が身近になってきていると思います。
社会福祉士も制度外の支援を行う場合など、お金がないからという理由であきらめないためにも、ファンドレイジングの手法を学ぶことが有効と言えます。久津摩氏によれば、その要点は社会課題の解決に向けた活動にいかに共感をしてもらえるか、仲間を集めることができるか、ということです。
その意味では、活動に対する「ファンの度合いを上げる=ファン度レイジング」ということでもあるようです。

活動の取り組み例にもありましたように、大学生でもできることがあるようですので、この授業がきっかけになり、本学科発のファンドレイジングが生まれれば・・・と思いました。

最後になりましたが、久津摩氏によれば以下のような多様な寄付プログラムがあるということです。ふるさと納税をはじめ、いろいろな方法があることがわかります。学生の皆さんが今回の授業を契機に、社会課題の解決に有効な寄付についてさらに学びを深め、実践につなげていってもらえればと思います。

(北本佳子)