生活上の課題を持つ人が日本一少ない町にする取り組み!

12月24日(水)のクリスマスイブの日に「ソーシャルワークの理論と方法」の授業に伊賀市社会福祉協議会(以下、伊賀市社協)の一見俊介さんを外部講師としてお招きしました。

社会福祉協議会は、ご存じのように地域住民のニーズを捉え、住民や様々な組織や団体と協働しながら、誰もが安心して暮らせる地域社会の実現を目指す、地域福祉活動の中心的な組織です。公的な組織だと思われている人もいますが、社会福祉法人という公益的な民間組織です。

伊賀は三重県にあり、伊賀忍者で有名?ですが、伊賀市社協は日本地域福祉学会が毎年表彰している「地域福祉優秀実践賞」を全国の社協の中で一番早く受賞しています。

また、伊賀市社協は、「伊賀市を生活上の課題を持つ人が日本一少ない町にする」というミッションを掲げ、様々な取組を展開してきていることから、その取り組みを学生の皆さんにリアルにお伝えしたいと思い、一見さんにはご足労をかけましたが、オンラインではなく対面の授業をさせて頂きました。

最初に、伊賀市社協が取り組んでいる社会課題を例示しますと、①社会的孤立(孤独)、②認知症、③健康寿命、④地域行事・活動運営、⑤災害、⑥移動困難、⑦マイノリティ、⑧新型ウイルス感染症、⑨生活困難、⑩子どもの貧困、⑪住まい、⑫終活、などです、これを見ただけで幅広い活動をしていることがわかりますが、伊賀市社協のすごいところは、こうした社会課題に対して、インパクトゴール(解決した理想の姿)を描いて、その実現に向けた実践をしているということです。

少しだけ説明しますと、例えば②の認知症に関しては、「認知症を原因とした行方不明による死亡率をゼロにする」というゴールを設定して、それに必要な目標や活動を様々な観点から検討して実現していくということです。つまり、自分たちの町では、何を目指しているのかが明確になるとともに、そのゴールに向けて、誰が何をしたらよいかが可視化して、そのゴールが実現しやすくなるということです。(※さらに関心のある方は、伊賀市社協 ロジックモデルで検索してみてください。)

なお、今日の授業では、コロナ禍で仕事がなくなってしまった人、勤務時間が減って収入が激減してしまった人などへの対応を通して伊賀市社協の支援活動の理解を深めました。

具体的には、伊賀市社協ではコロナ禍で生活の危機に直面した方たちに緊急食糧支援をしましたが、コロナ禍では平時の14倍の支援提供になってしまい、対応の継続が難しくなってしまったということです。そこで、伊賀市社協は、住民に対して緊急支援金の募集を行い、目標募金額をはるかに超える金額を集め、それをもとに様々な支援ができたということです。

つまり、地域の問題を住民や地域の企業や団体を巻き込んで解決していくということが社協の役割と言えます。何となく上記の説明では、寄付だけのように見えますが、寄付金を支援に使う過程では、食糧を分配する、自宅にお届けするなど、様々な人手(助け合い)が必要です。そうした助け合いの活動(ネットワーク)を住民主体で作っていくことが社協の大きな役割なのです。

そうしたお話の中で、伊賀市社協では市内で困っている人だけでなく、伊賀市出身で遠方で生活に困っている学生さんたちにも、「いが学生エール便」として伊賀の特産物を詰めた食糧・生活用品宅配をされたというお話がありました。今地域から若者が流出しているということが言われますが、こうした支援を受けた学生さんたちは、いつか地元に貢献したいと思うときがくるような気がします。

実際に、こうした活動から、例えば「初めて伊賀に住み移って良かったなと思えました。」とか「心を寄せてくださる方がいてくれると思えて、がんばれました」「何かあれば助けてくれるんだなと感じました。本当に感謝します。」のような住民からの感謝の言葉をもらったということです。

授業では、上記のコロナ禍の支援以外にも、現在行われている多様な取り組みの説明をして頂きましたが、共通して言えることは、伊賀市社協がミッションとして掲げている「生活上の課題を持つ人が日本一少ない町にする」ということの実現に向けて、地域の課題の解決に向けて、行政からの支援(財源)に頼らず、地域に課題解決に向けて共感してくれる仲間・協力者をいかに増やしていくかと常に考えていることです。そして、そうした仲間づくりがまちづくりにもつながっているということです。

最後になりましたが、一見さんが支援活動の説明の中で仕事が「楽しい」と言われていることが印象的でした。地域課題の解決すなわち、地域住民の幸せ、喜び、感謝にかかわっていることの自負の現れだと感じました。
社会課題の解決は、社協だけが担っているわけではありませんが、多くの方が社協活動や福祉の多様な活動にさらに関心をもっていただけばと思います。
参考までに、一見さんから頂いた伊賀市にある社会福祉法人 維雅幸育会「ふっくりあモォンマール」の「伊賀の飛猿」サブレをご紹介します。伊賀ブランドの認定品にもなっていて、パッケージも素敵で、とても美味しいサブレでした。障害者の就労支援も大切な社会課題の解決の一つですね。クリスマスイブの日に、たくさんの心温まる助け合いのお話を伺うことができ、改めて福祉の仕事の魅力を感じました。
(福祉社会学科 教授 北本 佳子)