【東京社会調査研修レポート⑪】アーカイブプロジェクトから学ぶ「記録」と「記憶」

こんにちは!東京社会調査研修広報担当の2年斉藤です。

今回は「社会調査研修A」8回目の授業(7月31日)の報告をします!

 

前期の授業最終日に、remo[NPO法人 記録と表現とメディアのための組織]の松本篤先生にアーカイブとその活用事例について、講義していただきました。

松本先生の所属するremoというNPO法人は、メディアを通じて「知る」「表現する」「話し合う」、3つの視点で活動する非営利組織です。こちらでは、8ミリフィルムの上映会や一般の人からゾウの「はな子」の記念写真を収集し、『はな子のいる風景』という記録集を制作する、といった活動をされています。

 

松本先生は映像を文房具のように、日常的なツールとして存在すると述べられました。今となっては、多くの人が簡単に映像を撮り、すぐに共有することができますが、その昔は、紙媒体でも印刷機は高価でなかなか刷ることができなかったため、手作業で字を似せて模写していたそうです。しかし、昔の時代の人々は、そのような手間のかかる方法でも、現代の私たちに情報を残そうとしてくれたことに、非常に感銘を受けました。

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松本先生の活動に関心のある方はこちらのサイトへ!

戦時中の子どもたちが書いた”平和への願い”を再びなぞる。『慰問文集』再々発行プロジェクト。

https://motion-gallery.net/projects/nazoru_to_zureru

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また、8ミリフィルムの上映会の活動では、記憶を記録として残すべく、その映像を見た方々の思い出話やその当時のことを話してもらい、カルテメモとして、保存していくという活動もしているそうです。カルテメモをつくる際に気を付ける点やうまく引き出す方法は、私たちの今後のインタビュー調査などで、大いに活かすことができると感じました。

最後に、ワークショップとして、昭和30-50年代にかけて普及した8ミリフィルムを収集・公開・活用されているデジタルアーカイブプロジェクト「穴アーカイブ」から昭和44年2月-5月11日に撮影された「消え行く玉電」の映像を見て、配付された「世田谷クロニクル」の絵葉書の裏に映像で見えたものを書きました。昔の玉電の様子やその玉電を通して、三軒茶屋や池尻大橋の付近を見ることができました。昔と今で変わらないものと大きく変わったことがあることに改めて感じることができました。

今回の講義で、印象に残った点は、アーカイブの意義は、誰かの記録が、誰かの記憶に残るように考えているという松本先生のお言葉です。

私たちも、11月2日に生活工房にて、1964年のオリンピック時の東京と現在、未来の東京について、報告会を行います。この報告会でも、私たちの記録が誰かの記憶になれば良いなと考えます。

 

松本先生、貴重なお話ありがとうございました。

 

(記事:2年斉藤)