光葉博物館春の特別展 見どころとエピソード②

<研究室便り>

6/1(金)より光葉博物館にて、春の特別展「図書館70周年・近代文庫60周年記念 ことばのいろ ことばのおと~人見東明と白秋・露風の詩の世界~」が開催されています。
本展示の見どころをご紹介します。その①につづき、これも本学創立者・人見東明に関してです。

■二つの火―熱くて温かい
人見東明先生の詩を読み、人生をたどる中で感じたのは、まるで火のような方だということでした。火には二種類あります。燃えさかる火と、炭火のようにじわじわと温める火とが。

若き日の東明先生は、燃えさかる火であったと言ってよいでしょう。詩作に情熱を傾け、仲間と詩社を起こし、詩集も次々に編んでいます。第一詩集『夜の舞踏』は、北原白秋の『思ひ出』と並び称された力作です。雑誌に発表した時の詩にかなり手を入れて作ったもので、愛着のほどがうかがえます。また、〈口語詩〉という名称の創始者ということは、もっと知られても良いように思います。

しかし、教育の世界に入ってからの東明先生は炭火となり、学生たちを育み、温めて世に送り出す方となりました。ご子息の人見楠郎先生が「父のことども」(「詩界」126号、昭49・8)に、中学三年の頃、父(東明)の詩集を古本屋で手に入れて本箱に立てて置いたのに、父によって処分されてしまったエピソードを紹介されています。

「おとうさんは自分の好きな道を捨てたんだよ。大きな決心のもとに女子教育という新しい道に入ったからには、過去のものを振りかえってはならないし、古いものは恥さらしだからね」と語られたそうです。この覚悟のもとに成った学校であることを忘れてはならないと思いました。

炭火の火も熱い。晩年まで研究者として詩と向き合い続けた情熱にも、頭が下がる思いを抱きました。
展示を見る方には、東明先生の二つの火を感じ取っていただきたいと思います。

春の特別展「図書館70周年・近代文庫60周年記念 ことばのいろ ことばのおと~人見東明と白秋・露風の詩の世界~」
会期 2018年6月1日(金)~30日(土) 10:00 〜 17:00
会場 昭和女子大学 光葉博物館
休館日 日曜日※6/17(日)は開館
入場無料。

特別展「図書館70年の歩みⅠ~特殊コレクションヒストリー」
会期 2018年6月1日(金)~30日(土)
会場 8号館1階昭ルーム・8号館3階図書館コミュニティルーム
入場無料。

(FE)

展示「人見東明の詩業と女子教育」
東明先生縁の品
パンフレット(博物館で配布)と東明全集