2021年2月

日本文学研究会が開催されました [2021年02月22日(月)]

<日文便り>

2月17日(水)3限に、日本文学研究会がZoomにて行われました。
日本文学研究会は、一年に一度、学内の日本文学・日本語学に関心のある教員によって開催されます。
今年度は日本語学と近代文学の二つの分野で研究発表されました。

嶺田 明美 氏
「日本語のゆれについて」


猪熊 雄治 氏

「戦時下の詩誌『新詩論』」
 

猪熊先生は日本語日本文学科をご退官されたのち、
非常勤講師としても近代文学をご担当いただきましたが、
この度、非常勤講師もご退官されることになりましたので、今回の発表は最終講義となりました。

日本文学研究会では、所属や分野にとらわれず、たくさんの教職員の方々が参加します。
今年度も多くの教職員が参加し、質疑応答も行われました。
普段はなかなか聴くことのできない教員の研究発表を聴けるとても貴重な機会となっています。

(UR)

「日文生ブックリレー」スタートです [2021年02月20日(土)]

先日から「日文生ブックリレー」を日文インスタグラムではじめました。
今後、ブログでも紹介していきます。
日文のインスタグラムは以下の通りです。日ごろのイベントなどをアップしています!
是非覗いてみてください。
日文アカウント:@swu_nichibun_official

本を通じて日文生同士はもちろん、受験生の方とも繋がっていければ嬉しいです。
初回のスタートを切ってくれたのは現1年のお2人です👏
①MKさん🍓

私が今回紹介する本は、喜多川泰さんの「「手紙屋」蛍雪篇~私の受験勉強を変えた十通の手紙~」です。
この本は進路に悩む女子高生の主人公と「手紙屋」が交わす十通の手紙のやり取りから勉強することの意味を見つめ直す物語です。
「将来のために勉強しなさい」、こんな言葉を大人から言われた経験はありませんか?
勉強が大切なことはわかっていても、どんな風に大切なのかを具体的に教えてくれる人は少ないと思います。
「手紙屋」は勉強を1つの道具として考えています。その道具を、あなたなら何のために、どんな風に使いたいですか?
勉強することに少し疲れてしまった方へ送りたい1冊です。きっと励ましてもらえます。

次は最近お菓子作りにはまっているMさん、お願いします。

②MFさん🌻

私が紹介するのは“クマのパディントンシリーズ”です🐻
マーマレードが大好きなクマの“パディントン”。パディントン駅でブラウン夫妻に出会い、
家族の一員として迎えられますが、彼の行くところでは次々と大騒動が巻き起こります。
失敗の背景から生まれる子どもらしさやクマらしさは、社会化された私たちにとってまさに未知の世界です✧︎*。
そしていつも最後にはみんな、パディントンのことが大好きになってしまいます…♡

大学では、「クマのパディントン」をはじめ、「ピーターラビット」や「ハリー・ポッター」、「クマのプーさん」など様々なジャンルから児童文学を研究する授業があります。
児童文学とは、ただ読んで楽しいだけにとどまらず、時代背景や価値観、文化要素を通して子どもの視点からもう一度、世界を見る目を取り戻させてくれるものです。その奥深さには毎回、感動させられます。
1度読み始めたらとまらない!そんな児童文学のファンタジーを大学で一緒に体験してみませんか…??

次は最近自炊🍚を始めたAさん、お願いします🎽💁‍♀️✨

今後も定期的に更新していきます!
(CC)

樋口一葉の思い -空しき名のみ、仇なるこゑのみ- [2021年02月18日(木)]

<日文便り>

このところは、泉鏡花よりも樋口一葉について考えている時間が多い。
今度、「紙幣に描かれた女性たち」と題する講座で、樋口一葉を担当することになって、
そのための材料を調えている最中なのだ(その報告は、後日、このブログで)。

日清戦争(明治27/1894~28/1895)後の文壇へ、彗星のように現れて、当時、男性ばかり
だった文壇の寵児となり、その頂点に達した明治29年の11月に逝った彼女の二十四年の生涯は
「光芒」というにふさわしい。
泉鏡花も、ちょうど同じ時期、あの「夜行巡査」「外科室」で、新進作家として注目を浴びて
いて、鏡花は彼女を「好敵手」と目していたのだが、二つ年上の一葉は、鏡花の存在をほとんど
認めていなかった。

これは、鏡花に限ったことではなく、彼女の重んじた作家は少なかった。
当時の日記(「水の上日記」)に、次のように書いている一葉である。

おそろしき世の波風に、これより我身のただよはんなれや。思ふもかなしきは、
やうやうをさな子のさかいを離れて、争ひしげき世に交はるなりけり。
「きのふは何がしの雑誌にかく書かれぬ」「今日は此大家のしかじか評せり」など、
唯春の花の栄えある名ばかり得る如く見ゆるものから、浅ましきは其底にひそめる
所のさまざまなりけり。「若松、小金井、花圃三女史が先んずるあれども、おくれて
出たる此人もて、女流の一といふを憚らず。たたへても猶たたへつべきは、此人が才筆」
などいふもあり。(…)あるは外つ国の女文豪がおさなだちに比べ、今世に名高き
秀才の際にならべぬ。何事ぞ、おととしの此ころは、大音寺前に一文菓子ならべて、
乞食を相手に朝夕を暮しつる身也。学は誰れか伝えし、文をば又いかにして学ぶ
べき。草端の一螢、よしや一時の光りを放つとも、空しき名のみ、仇なるこゑのみ。

(明治28年10月31日)

日文のみなさんには不要かもしれないが、文語体なので、いちおうの口語訳をつけてみよう。

【口語訳】

おそろしい世間の波風に、これから自分が漂っていくのだなあ。思っても悲しいのは、
やっと幼児の境界を離れて、争い激しい世間に交わっていくことだ。
「昨日は何とかいう雑誌にこう書かれた」「今日はこの大家がこんなふうに評した」
など、ただ春の花のように華やかな名声ばかり得るように見えるものの、あさましい
のは、その評判の底に潜んでいるさまざまな思惑であることよ。
「先に文壇に出ている若松(賤子)、小金井(喜美子)、(三宅)花圃の三女流文学者
があるけれども、遅れて文壇に出たこの人(一葉)をも女流の第一人者と呼ぶことに
何の差し支えもない(ほど優れている)。褒め讃えてもなお、褒め足りないのはこの人
の才筆だ」などという者もあり、(…)また外国の女流文豪の素質と比較したり、現代の
有名な天才の列に並べるのだ。いったい、これは何ごとなのだろう。おととしの今ごろは、
大音寺前に駄菓子を並べて、乞食同様の客を相手の商売に朝晩を送った自分の身の上では
ないか。学問は誰のものを伝えたのか、誰から学んだというわけではない。また文章を
どうして学ぶことができよう、学ぶ機会を得なかった無学の身の上だ。たとえていえば、
草のはしに止まる一匹の螢のようなもの、たとえひとときの光を放つとも、それは空虚な
名声であるにすぎず、実体のない、むなしい評判にすぎないのだ。

自分に先んじて女流文学者となった三人を凌駕する評判、春の花のように「栄えある」
名声を「空しき名のみ、仇なるこゑのみ」と自戒する彼女。もう自分に残された生命の
少ないことを悟って厭世的になっていたのかもしれないが、世の中を決して甘く見ない
性向は、彼女の本性であったと思うし、また作家としては欠くべからざる資質でもあろう。
当時二十三歳の女性が、このように冷徹な認識をもっていたこと、実に驚くほかない。
あの「たけくらべ」の作者が、こうした冷厳きわまりない思いを抱きつつ日を送っていた
ことを、多くの人は知らないのではなかろうか。
ましてや、日ごろ五千円札を使っている人々の多くもまた。

というようなことを話してみたいと思い、講座の前説のつもりで書かせてもらった。
泉鏡花は、わたしに夢を見せてくれるが、一葉は、いつも夢を醒ましてくれる。
二人とも、わたしにとって、かけがえのない作家である。

(吉田昌志)

2020年 日文キャリア委員主催 キャリア支援講座 [2021年02月16日(火)]

〈日文便り〉
先日、日文生のキャリア委員が企画から実行まで取りまとめている、
キャリア講座の2020年度第2弾が開催されました!

今回は株式会社ジョブカレッジの杉村様を講師に迎え、
「就職のこれからを考える」をテーマに様々なお話をしていただきました。
当日は就職活動の最前線で長年ご活躍されている方のお話を聞こうと、
1~3年生の合計100名近い日文生が参加してくれました。
お話は「コロナ禍で就活がどう変化したのか」、「自分にあった職業の選び方」、
「企業が欲しがる人材像」に始まり、自己PRや志望動機のOK/NGの違いなども伝授してくださいました。
また学年ごとに的確なアドバイスもくださったので、1年生の皆さんも今からでも自分のキャリアを決める準備ができる事が分かったのは大きな収穫だったのではないでしょうか。

何より最後に皆さんから多くの質問があり、オンライン上でも熱意を感じました!
質問コーナーの時間を長く設ける事は、講座の直前にキャリア委員の方からのアイディアで決まりました。
講座の成功も、委員の皆さんの事前の準備の周到さと、臨機応変な対応のお陰だと思います。

下記、講座に参加された方の感想を一部ご紹介します。
🌟コロナだから難しいわけではなく、もともと難しかったという話は、とても励みになりました。
🍎お話の中で他のものに喩えながらお話してくださったので、就職活動について知識のなかった自分にとってもわかりやすかったです。
🎶まだ就活について迷うことが多かったので、少しでも不安が解消できました。企業研究・世の中の情勢の理解度の重要性を感じられました。
💎企業が求める人材はどんな人材なのか、知ることができました。課題を理解していることが大事だとわかり、今後の就活に活かしていきたいと思います。
🍀軸がまだ定まってなかったので、具体的な決め方を聞くことが出来てよかったです。
🍑志望動機作成に当たり、サッカーの日本代表監督の例えをされていて今までで一番しっくりきました。戦力になると伝わるように時事や企業研究を頑張らなければいけないと理解しました。

今後も日文生の皆さんが、一人ひとりのキャリアについて考えられるような機会を提供していきます。

(CC)

春はすぐそこです [2021年02月16日(火)]

<受験生の方へ>

新型コロナウィルスの蔓延で、受験生の皆さんは、例年の受験生以上に気を張って臨んで
いらっしゃるでしょう。
今も頑張り続けている皆さんに、私は二つのことをお伝えします。

1.「もうダメ」「いえいえ、そこからまだ力が出せますよ」
  見てください。この菜の花。

これは四国のA先生が、1月12日にコロナの東京を案じて送ってくださったナバナです。
スパッと切られて、もうお浸しにするばかりでした。A先生のお気持ちがうれしくて、
ひと茎だけお浸しにせず、コップに差しておいたら、ぐんぐんつぼみが頭をもたげて、
こんなに咲きました。
さらに毎日世話をしていたら、立派な根っこが出て来て、また新たなつぼみがつきはじめたので、
2月9日植木鉢に植えました。皆さんだって同じです。
さあ、ひと花ふた花、咲かせましょう。春はもうすぐそこです。

2.「行く大学があなたの居場所です」

残念ながら私は受験の失敗組です。最初はずいぶんがっかりして、悔しくて、大学に入った
後もこっそり受験勉強を続けていました。でも、世界は18歳前後の受験生が考えるより
ずっと広いのです。夏目漱石「三四郎」で、大学入学のために九州から上京してきた三四郎は、
その汽車の中で会った男に「熊本より日本は広い」「日本より頭の中の方が広い」と言われます。

-まさにその通り。

私は学問の広さ・深さに圧倒され、あちこちから入学してきた同級生の様々な考え方に
触れて、すっかり面白くなり、気づいたら4年間は瞬く間に過ぎ、希望通り高校の教員
になっていました。
第一志望に合格した人も、そうでない人も、行く大学があなたの居場所になります。

創立101年目の昭和女子大学は、1年目の皆さんを楽しみにお待ちしています。

(FE)

サブカルチャー論B「粟津潔 デザインになにができるか」 [2021年02月10日(水)]

<授業風景>

先月は2週に渡ってサブカルチャー論B内で「サブカルチャー=民衆のカルチャー」と訳し昭和の時代、常に「民衆」に向き合ってきた唯一無二のグラフィックデザイナー粟津潔の仕事について講義を行いました。ゲスト講師に粟津潔のご子息粟津ケン氏を迎えて対談形式で授業を進めていきました。
今回はこちらの講義のコーディネート兼司会を務めた熊澤から授業の概要を紹介します。

まずは、2019年に金沢21世紀美術館で開催された「粟津潔 デザインになにができるか」について展示の概要を簡単に説明していただき併せて粟津潔の生い立ちについても触れました。(粟津ケン氏は本展覧会の監修を務めています)1歳で父親を亡くし、戦争を経験したのちに焼野原で路地にロウ石で絵を描くなどゼロからの出発とも言える少年時代を過ごします。その後は、当時の山手線に朝から晩まで乗車し人々の様子をデッサンしながら独学で絵画を学び、20代前半で映画ポスターを描く仕事を得られるようになったのでした。
25歳の頃には、デザイナーとしての初期作品「海を返せ」が1955年日宣美展グランプリを受賞し、その作品を起点に原水爆禁止運動や反戦活動など「民衆のための」デザインを継続していきます。

粟津潔はあらゆるジャンルを越境していきます。映画・舞台・音楽コンサートのポスターのデザインから始まり、「環境」もデザインの対象であることを言及し、更には万博開発計画や黒川紀章が中心となった集団「メタボリズム」への参加など建築デザインにも携わり「環境デザイン」を実践していきました。

あらゆるジャンルを越境していく姿勢は、このデザイナーが持つ強い好奇心が起因しています。
影響を受けたアーティストは、リトアニア生まれの画家ベン・シャーンを始めスペインのガウディ、バウハウスの時代を代表するパウル・クレーやカンディンスキー、北斎・英泉・芳年など江戸時代を代表する絵師と、あらゆる時代や国境を越えた人物たちです。

またブックデザインの仕事については、その本の内容を深く探求することで雑学になり、多くの影響を受け「ブックデザインはデザインの神様であり、ご本尊である」と粟津潔自身が語っています。詩集・小説・民話集・絵本などあらゆる種類の本の装丁を手がけ、「季刊FILM」や「デザイン批評」などでは編集にも携わりました。

同時代の人物との協働も多くありました。寺山修司とは詩集の装丁から始まり、映画・舞台のポスター更には映画の舞台美術デザイン、主催する劇団天井桟敷が所有する劇場「天井桟敷館」の建築デザインまで多くの仕事を共にしていきました。他には詩人・批評家の富岡多恵子、映画監督の勅使河原宏・篠田正浩まで様々な分野の才能との仕事を重ねていきます。

晩年は象形文字に魅せられ、毎朝書写を練習する日々を過ごし日本の文字文化に深く傾倒していきました。
80年代は絵画・版画も描き始めます。それまでに写真も多く撮り溜め、自ら映画監督を務めるなどあらゆる媒体と親しみながらその創作活動の幅を広げていきました。その広大な視野はデザインを通した宇宙とも言えます。

粟津潔の周りには常にことばの力が潜んでいました。それは人との会話から出てくるものであり、詩であり、映画のセリフであり、街頭のポスターのキャッチコピーと様々に形を変え現れました。最後に、粟津潔と同時代を生きた美術評論家の針生一郎氏が残した一言を粟津ケン氏が紹介して下さりました。

「芸術は芸術からは生まれない。芸術をこえた生活のたたかいの中からこそ生まれる」

近年のBLACK LIVES MATTER運動など再び「民衆の力」が世界中で注目される世の中になりました。本講義では少し前の時代の話ではありますが、デザイン界に大きなインパクトをもたらした粟津潔についてご子息の粟津ケン氏と共に「民衆とデザイン」について現在進行形で考えるまたとない機会に恵まれました。ZOOMを通してのオンライン講義でしたが、パソコンの画面上でもそのデザインは強烈な印象を持った様子で、学生からは「この講義を通して、デザインは人間の生き方を教えてくれるものと知った」「今後の日本を見つめなおす機会になった」と言った感想コメントも寄せられました。

「民衆」ということばが日常では久しく見られないあるいは感じられないこの時代に、いかにこの世の中をデザインするのかを新たな世代に問いこの講義を終えました。正しく「デザインになにができるか」なのです。

(熊澤)

授業風景「日本語学Ⅰ(音声と音韻)」落語鑑賞 [2021年02月05日(金)]

「日本語学Ⅰ(音声と音韻)」の後期授業では、アクセントやイントネーション、間(ま)などを講義しています。
1月の授業では、落語家の林家きく麿師匠を講師に招き、落語を2席と落語の所作などについて説明してもらいました。

落語家の話し方は、いろいろな工夫がされていることを受講者は感じたようです。
落語は、聞く人がその話を頭の中に描きながら、聞くともっと楽しめます。
コロナ禍で、閉塞的な生活ですが、落語を聞いて、少し気分も晴れたのなら、それも良かったと思います。

以下、学生の感想です。

日本で成立して、現在まで伝承されている伝統的な話芸である落語を、画面越しとはいえ生で見ることができてとても貴重な機会でした。凝った衣装や大がかりな舞台装置は無く、噺家さんの小道具使いと話しの技巧と、私たち聴衆の想像力で物語の世界が広がっていく、というとてもシンプルな構成なのに面白い落語は素晴らしいなと感じました。また、登場人物が複数居ても誰が喋っているかがわかるように体の向きや仕草が変わるのがすごいなと思いました。泥棒の話はテンポが良く、魚や酒をつまむシーンはほんとうに食べているみたいで、話術だけじゃ無く魅せる技術もすごいのだなと感じました。

オンラインでもくすくす笑ってしまう面白いお噺でした。身振り、手ぶり、目線や声のトーンはもちろん、扇子、手ぬぐいが多用な役目を果たすことで、きいているといつの間にやら噺の世界に入り込んでしまう感じがします。また、噺の舞台は江戸が多いとおっしゃっていましたが、不思議と自分の想像に描いている江戸の情景が思い浮かびます。本物の江戸は知らなくてもまるで自分が江戸にいるかのような感覚になるのも不思議で落語の魅力の一つではないかなと感じました。今回のお話の一つに「てんしき」という言葉がでてきました。オチがすごく面白かったためその初めてきいた「転失気」について授業後調べると、転失気とは、おならを医学用語であらわしたものであるということを知りました。その他にもいくつか代表的な古典落語をきいてみたいと思いました。

落語は駄洒落に似ていると「小さな小鳥がことりと落ちてきました」という小咄から思いました。蕎麦や餅を食べるシーンでは実際に食べてるのではないかと錯覚してしまうほど、蕎麦のすすり方や餅の伸び具合が再現されていて魅了されました。声のトーンを絶妙に変えて役がはっきりと分かるように何役も演じられていましたが、私は履修した「朗読」の授業で一人で何役も演じて読むことの難しさを体感していたので感動しました。新作落語をどのように作るかという質問に、例えば立ち食いそばに行ったら暴走族がいるシーンを思い浮かべるというお話を聞き、奇想天外な発想が落語を生んでいると思い、落語の面白さを感じると同時に、もっと色々な落語を聞いてみたいと思いました。

Laura Emily Clark先生(クイーンズランド大学)特別講義 [2021年02月03日(水)]

<授業風景>

村上春樹など日本現代文学の研究者であるLaura Emily Clark(ローラ・エミリー・クラク)先生を招き、「日本文学Ⅱ(近代A)  中・短編小説を読む」(12月22日)内において特別授業を行った。
クイーンズランド大学人文科学学術院(オーストラリア)所属で、現在は昭和女子大学女性文化研究所の特別研究員でもあるクラク先生は、先述のように村上春樹作品などを対象に、ジェンダー表象の研究をされており、前期の同授業内でも、村田沙耶香「コンビニ人間」(「文学界」二〇一六・六)を講じている。

今回は、本谷有希子「哀しみのウェイトトレーニー」(初出は 「13の“アウトサイド”短篇集」(「群像」二〇一二・三)収載)を対象に、現代の〈ジェンダー〉〈身体〉〈婚姻関係〉をめぐって考察がなされた。
前期同様、受講生においても身近で、関心のあるテーマであり、強く興味を惹かれたようである。

クラク先生による基調講演後、受講生間で〈近現代の日本社会において、どのような身体が理想と見なされているか?〉〈作中に描かれている夫婦像は、「普通」か? 「奇妙」か?〉といったテーマでグループディスカッションが行われ、そこでも「グループワークで話し合ううちに見えてくるところも多く、楽しんで講義を受けることができた」「充実した話し合いができた」とあるように、活発な意見交換が為された。

授業後には興味深い声も多く聞かれた。一部を紹介したい。

本当の男女平等とは一体何なのか改めて考えさせられる内容になっていた。

一昔前と比べ、理想とする考えのイメージの幅は広がり、人それぞれの趣味趣向は異なっているという考え方が浸透しつつあるのではないか。つまり、少数の意見にも注目が為されるようになっているのではないか。

海外の価値観を通して日本文学を読むことでまた違った感じ方があることを改めて実感しました。自分で読んだだけではあまり違和感を抱けなかった箇所なので、クラーク先生の視点から講義していただけて非常に勉強になりました。

クラーク先生の授業は非常におもしろく、また新たな気づきが生まれるものになりました。私は物語を読んだ時、主人公の夫婦関係について奇妙だとは思いませんでした。主人公が気を使っていてかわいそうだとは思いましたが、そのような夫婦関係に特に疑問を抱かなかったのです。しかしジェンダーの観点から物語を見たとき、女性は男性に合わせるものであるという固定観念が働いていたことに気が付きました。ジェンダーの観点から物語を見られるようになったことから、この物語が書かれた意味、伝えたかったことが初めて見えたような気がします。

前回の授業とはまた別の視点から物語をとらえることができた。様々な資料や参考文献から研究結果などを参照し展開される講義は、本当に面白かった。また、日本と海外の方との感覚の差も少し浮き彫りになり、興味深かった。

クラーク先生のパワーポイントに「感情労働」というワードが出たときに、本作において結婚後の夫婦の親密性が損なわれているのは、「私」が労働しているからであり、「仕事」と「プライベート」で分けられるところが、「仕事」と「仕事」の組み合わせになってしまっているためと思った。本作の夫婦は、表面的には一般的な「普通」の形であるが、どちらか一方の自己が抑制されているような夫婦の関係性はやはり「奇妙」に思われた。

本作に、性別ごとの理想の身体が描かれているという視点は自分が読んだ時には持てなかった視点だったので面白かったです。人は誰しも普通とは何か、自分(自分らしさ)とは何かと常に考えながら生きていると思います。だからこそ、前期に扱った「コンビニ人間」と本作の主人公たちはある意味で周りに流されないかっこいい生き方をしているのだと思います。大抵の人は普通というものにのまれながら生活しています。だからこそ、私は両作品に惹かれて読んでしまうのだと思いました。

今回の授業でメトロセクシュアリティという言葉を初めて知った。これまでも様々な授業や本でジェンダーについて学んできたが、女性のことが中心であり、男性のジェンダーに関してあまり学んでこなかった。だが、女性の「女らしくなければならない」という抑圧を解決することは男性の「男らしくなければならない」という抑圧の解決にもつながることのように考えられた。

初めて悲しみのウェイトトレーニングを読んだとき、この話はウェイトトレーニングを通して、「私」が主体性を獲得する話だと思ったが授業を受けて、主体性を獲得する背景には女性らしい身体と一方での鍛え上げた女性らしくない身体というジェンダーの問題も関わっていることに気づいた。身体が変化していくわたしに向けられる客からの好奇心の目には、女性らしくなくなっていくことへの好奇の目であったのだと納得した。一方で、私は筋肉の目的を誰かに見せることではなく、自分のための筋肉としているが、それは厳密には違うのではないかと思った。私は女性らしくない身体を作り上げることで、夫との関係性にある女性らしい自分、ジェンダーの規範に従ったような自分を壊す目的があるのではないかとも考えた。

上記からも窺えるように、受講者が大いに刺激を受ける貴重な機会となった。今後もこのような場を積極的に設けていきたい。

(山田夏樹)

最近の楽しみ [2021年02月02日(火)]

<日文便り>

こんにちは。

突然ですが、最近楽しみにしていることはありますか?
約1か月前に2度目の非常事態宣言が出たことにより、
外出をしたくても我慢の日々・・・という人も多いのではないでしょうか。
そのような中で私が最近の楽しみとしていることは、
自分へのご褒美にグルメ(スイーツ)を取り寄せることです。
最近ではオンラインに対応しているお店も増えてきたことで、
全国の美味しいものが手軽に取り寄せることができるような時代になりました。
今回は過去に私が取り寄せたものの中で良かったなと思うものを紹介したいと思います。

①糊こぼし
奈良にある萬々堂通則さんが作っている生菓子です。
糊こぼしという名前からはどのようなお菓子か想像ができないと思いますが、
椿の花を形どったとても上品で可愛らしい生菓子です。
この生菓子は春を告げる行事として知られる
東大寺二月堂の「お水取り」という行事に合わせて作られるので、
販売時期が2月~3月中旬と限られています。
赤・白・黄色のコントラストがとても綺麗で、見た目通り一口食べると上品な甘さが口に広がります。
また、生菓子が入っている箱には鮮やかな椿が描かれており、目でも楽しめます。

 

②九重
こちらは仙台銘菓として有名です。
1675年創業の老舗菓子店である「九重本舗 玉澤」で販売しているお菓子で、
あられのような小さな球状が特徴のお菓子です。
味はゆず・ぶどう・ひき茶の3種類あります。
HPにはお湯や冷水を注いで飲んだり、アイスクリーム・ヨーグルトと合わせてと書いてあったので、
私は無難にお湯を注いで飲んでみました。
ゆずを購入にしてみたのですが、お湯を注いだ瞬間にゆずの香りが広がり、
あられから色が溶け出しお湯が綺麗な黄色に染まりました。
味はとても優しい甘さで飲むとほっこりします。
このお菓子には、明治天皇が仙台に来られた際に献上したところ、
ゆずの馥郁たる香りと味わいに賞賛をいただいたという逸話があります。
この時に、お供の東久世通禧公により、
「いにしえの 奈良の都の八重桜 けふ九重に 匂ひぬるかな」 (百人一首 伊勢大輔)
の歌にちなんで「九重」と命名されたのが始まりとされています。
日文生であれば百人一首は馴染み深いのではないでしょうか?
私自身も日文を卒業していますが、この歌はよく授業で聞いた気がします。
学んだことがこんなところで結びつく・・・なんだか素敵なことですね。

コロナで何かと気疲れする今だからこそ、自分を気遣って美味しい物を食べてゆっくりお茶をする。
そのような時間を持つのも良いのではないでしょうか。

(UR)

推薦図書・入学準備について [2021年02月01日(月)]

合格おめでとうございます。

これから始まる大学生活に期待を寄せる反面、少し不安な方もいらっしゃることでしょう。4月の入学までの期間を利用して、ぜひ、日本文学や日本語に関する知識を深めておいてください。

以下に、みなさんにぜひ読んでおいていただきたい本を紹介しています。中には難しい内容や読むのに時間のかかる本もありますが、全て読めなくても、自分を試すつもりで、複数冊読破にチャレンジしてみてください。

学科推薦図書

日本語日本文学科の学びの分野から1冊ずつ推薦します。

近現代文学

古典文学

日本語学

日本語教育

文化(周辺領域)

新潮文庫『日本文学100年の名作』シリーズ全10巻のうちどれか1冊

講談社現代新書『知っている古文の知らない魅力』(鈴木健一)

光文社新書『日本語は「空気」が決める 社会言語学入門 』(石黒圭)

岩波新書『やさしい日本語-多文化共生社会へ』(庵功雄)

講談社学術文庫『しぐさの日本文化』(多田道太郎)

入学準備

大学での学びに備えて、また、高校までに学習した内容を確かなものにするために、以下の点を参考に、問題集などで自習しておきましょう。

・日本文学史(古典~現代)の知識を確かなものにする。

例)『重点整理 新・国文学史ノート』(日栄社)など

・漢字の読み書き能力をアップする。

例)『本試験型漢字検定2級試験問題集』(成美堂出版)など

・敬語・語彙・表記・文法などの日本語力を強化する。

例)『日本語検定公式練習問題集3級』(東京書籍)など

・日本史(古代~現代)の知識を確かなものにする。

高校で使用している日本史の教科書や副教材、あるいは手持ちの参考書などを用いる。

日本語日本文学科