特殊研究講座「カルトとマインド・コントロール」

10月19日土曜日に立正大学心理学部の西田公昭先生をお招きし、「カルトとマインド・コントロール」というタイトルで講義をいただきました。西田先生は、社会心理学者としてマインド・コントロール問題を古くから研究されており、専門家の立場からマスメディアでも多く発言をされています。テレビなどで見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。

カルト問題は全国の大学で問題となっており、学生が加害者にも被害者にもなりうる深刻な問題です。この講義では、破壊的カルトが美しい幻想としての人格、家庭、社会、世界を描き出して人々を魅了する一方で、公共の利益や福祉と対立し、当事者を身体的、精神的、社会的に拘束し自由を奪う存在であることを示していただきました。また、マインド・コントロールが情報、思考、感情、行動、生理剥奪をすることで達成されることを説明いただきました。

マインド・コントロールは、いくつかの古典的な社会心理学の原理を組み合わせて構成されているそうです。その意味では、特定の人がその被害にあうのではなく、あらゆる人が危険にさらされることになります。カルトとマインド・コントロール問題をそこにある危機としてとらえることが、予防の第一歩になると感じました。

当日示していただいた参考文献を以下に記しておきます。興味のある方はご一読ください。

西田公昭 (1995). マインドコントロールとは何か 紀伊國屋書店

西田公昭 (1998). セレクション社会心理学 信じるこころの科学 サイエンス社

日本脱カルト協会 (2008). カルトからの脱会と回復のための手引き 遠見書房

吉川肇子・杉浦淳吉・西田公昭 (2013). 大学生のリスク・マネジメント ナカニシヤ出版

文責:藤島喜嗣