平成28年度 第2回FD講演会報告(12月7日実施) [2017年01月13日(金)]

日時:平成28年12月7日(水)15:00~16:00
場所:学園本部館3階 大会議室
講師:臼倉美里(東京学芸大学専任講師)
テーマ:「授業運営のアイディア―海外に興味を持たせるために」
参加者数:52名

 東京学芸大学専任講師、本学非常勤講師の臼倉美里先生に、英語を専門としない者も含め、日本で学ぶ学生が英語を使えるようになるアイディアをご紹介いただいた。
 自己紹介の後、先生が実践なさっている授業運営方法とそのポイントをいくつか参加者も実際に体験しつつ講演を伺った。
日本に住みながら世界との結びつきを考える際に大切なのは、国単位というよりはさらに小さな点から世界に目を向け、世界とのつながりを考える、所謂「グローカル化」がポイントである。英語を通して、学生たちに世界への興味を持ってもらうためには、まず、自分の国に興味を持たせる必要がある。つまり、自国との相違を理解することで、他国を知る方法である。その例として、「目玉焼きに何をかけるか?」という問いを、授業では英語で学生に話し合わせているという。今回は、参加教員が日本語で質問しあった。その結果、塩と胡椒、ソース、チリソース、醤油など、予想以上に様々な答えが返ってきた。そこには出身地、国籍などの相違が反映されており、参加者は自分とは異なる人が存在することに気付くきっかけになる。英語で質問させる場合のポイントは、自分のよく知っていることを題材に選ぶこと。そうすることで発言すべき内容を考えることなく、英語を使うことに集中する環境を作ることができる。また、同じ内容を扱った英語表記と日本語表記のニュースを比較し、両者でどのような相違点、同じ表現があるかを確認することでも日本と他国の立場の相違を理解することができることを確認した。
 その他、身近なところから国際比較を行う方法としては、教室の座席の国際比較を行った。現在、国際比較のための材料として利用できるサイトがあり、これらを利用して各国の特徴を比較、討議することができる。また、英語の歌を使って、文法の確認やヒアリング力の向上に利用できることを参加教員で実践した。
 最後に、海外に興味を持たせるために役立つ教材としては、NHK World(ウェブサイト)や『日本のことを1分間英語で話してみる』(広瀬直子著、中経出版)の他、TUNAGARU Japan、Tokyo Girl’s Update など、学生の身近な話題を扱ったサイトの紹介があった。

以上

平成28年度第2回FD講演会アンケート結果
第2回FD講演会

平成28年度FDサロン報告(平成28年10月12日実施) [2016年10月27日(木)]

日 時:平成28年10月12日(水)15:00~16:00
場 所:学園本部館3階 会議室
テーマ:「プロジェクト学習のマネジメントと評価」

第1グループ
ゼミでのPBLマネジメントと評価
発題者:ビジネスデザイン学科 飴善晶子/司会:ビジネスデザイン学科 薬袋貴久
[参加者 22名]

3年ゼミで行なったプロジェクト学習では、JALカード、カンドゥー、ミライロの3企業の協力を得て、1)問題解決する力、2)自主性・自律性の確立、3)チーム力による課題解決力を学生が身に付けることを目的とした。学生は6名1組で、それぞれの企業でプロジェクトを企画、実行した。
JALカードでは、JALカードnavi入会促進プロジェクトを実施するに当たり、まず企業担当者による講義を受け、認知度、利用に関するアンケートを学生が実施、その後、アンケート結果・認知拡大企画提案のプレゼンを行った。その結果、学生提案が認められ、企業からの依頼を受けて留学ジャーナル11月号記事広告の作成、昭和女子大学内留学説明会にて入金メリットプレゼンを実施、下期入会数過去最大数の200名以上の入会があり、今年度、昭和女子大限定入会キャンペーン企画立案と実施を依頼されることになった。
カンドゥーは子供たちが仕事体験をする場を提供する企業だが、他の同様の企業と比較して認知度が低いため、認知拡大・リピーター増加施策プロジェクトを依頼された。こちらも企業の担当者による講義後、「ハロウィン企画立案」を実施することになった。ゼミ生全員でカンドゥーを視察、場内での対面式アンケートを実施し、現地で会議を重ねながらハロウィンの企画、イベント準備・運営を実施した。イベントを実施した2日間はゼミ生全員が参加、イベント参加人数や同日のリピーター数も多く、来年度のゼミ生への引き継ぎも行うことができた。
ミライロは、学生が企業した会社であり、副社長は学生と比較的年齢が近く、学生起業から経営・玄現状について講義をしていただいた。その後、創立者記念講堂での社長講演とシンポジウム、学内でのユニバーサルマナー検定講習会及び検定試験を開催、ビジネス研究所での中間発表会実施、2016年発表のユニバーサル・デザイン(UD)マップアプリのデータ作成、検証サポートを行った結果、学生・一般へのUD理解につながるユニバーサルマナー意識、講習、検定認知度拡大に大いに寄与、来年度の継続も決定した。
企画を進めるに当たり、学生は自分たちの失敗から自らが学び取り、論理的思考が出来るようになる、メールでのやり取り以上に学生同士の話し合いが重要であることを認識することができる等、最終的にはグループ全員が協力してチームで物事を動かす大変さ、達成感を実感する等、学生の成長がみられた。
企業の選定は慎重に行う必要があり、特に学生はタイムリーなアクションが取れない、期限・期間に対して鈍感であるなど学生と企業との時間感覚のズレがること等、学生の状況を企業に伝え、理解と協力の得られる企業を選ぶことがポイントであろう。また、プロジェクト学習ではシラバスを作成しづらく、進めながら考える事が多い。学生にはやりっぱなしになる事がないよう、気づき・提案・課題を入れた報告書を企業に提出させ、企業からの提案や回答を得るプロセス、ミーティングを持ち話し合う機会を大切にした、との報告があった。
サロン参加者からは、評価の方法としてはルーブリックのような評価基準を取り入れる、地方創生のために内閣府の進める地方でのインターンシップなどを利用することも考えてみる等の意見が出た。
[文責:金子弥生]

第2グループ
渋産‐シブサン アクリル プロジェクト‐
発題者:環境デザイン学科 橘 倫央/司会:環境デザイン学科 金子友美
[参加者 13名]

第2グループでは、橘倫央専任講師から環境デザイン学科の授業科目「DP総合演習」でこれまで取り組まれてきたプロジェクト「渋産―シブサン アクリル プロジェクト―」について報告がなされた。「本学学生のデザイン力による地域資源の有効活用」を掲げた本プロジェクトは、産学が連携しながら5年間にわたって持続的な発展を遂げ、社会的に高い評価を獲得しながら学生に生きた学びを提供してきた点に特徴がある。
プロジェクト学習のマネジメントという側面では、プロジェクトの立ち上げから軌道に乗るまでの時期と軌道に乗った後の時期とでは、「教師の先導による目標設定と質保証」から「学生の自主性とオリジナリティの誘発」へと主な課題が移り変わってきたことが指摘された。また、質疑応答を通じて、教師の不断の努力やプロジェクト自体の魅力や戦略性はもちろんのこと、マンネリ化を防ぐテーマ設定の工夫をはじめ、学生が複数年にわたって本プロジェクトに関わり続けられる学科の科目構成が功を奏していることが確認された。その他にも、成果や条件が厳しく求められるプロジェクトにおける学習指導のあり方をはじめ、プロジェクトに関わる全ての学生のレベルアップを図る必要がある場合の苦悩や教師による介入の範囲と程度の判断などに関する悩みも参加者間で共有された。
他方で、プロジェクト学習の評価という側面では、成果主義的に評価することへの抵抗感や違和感、一律の評価基準に従って学生の成長を評価することの困難さが指摘された。参加者とのやりとりのもと、プロジェクトに従事する規定の時間数に加えて、自己評価を導入することの可能性に関する言及もあった。なお、今後の課題として、プロジェクト学習に係る教師の努力や貢献をどう評価するか、危機管理などのバックアップ体制をいかに構築するか、などの声も寄せられていた。
[文責:緩利 誠]

第3グループ
輝け☆健康美プロジェクト
発題者:管理栄養学科 清水史子,健康デザイン学科 不破眞佐子
司会:管理栄養学科 海老沢秀道
[参加者 16名]

第3グループでは、「プロジェクト学習のマネジメントと評価」というテーマで、管理栄養学科の清水史子先生と健康デザイン学科の不破眞佐子先生から「輝け☆健康美プロジェクト」についてお話しいただいた。本プロジェクトは「学生たちをもっと元気にしたい」との坂東眞理子前学長の呼びかけで2011年10月からスタートし、栄養士を目指す学生が主体となり、食事・運動・美容分野の正しい情報を提示し実践することを目的に実施されているものである。具体的には健康ランチを学生食堂で提供し、公式ブログで簡単エクスサイズの紹介などの学内活動に留まらず、世田谷パン祭りへの出店、亀屋に新しい和菓子の開発を通して地域との連携も視野に入れつつ、さらに株式会社LAWSONへの商品開発、株式会社大冷に冷凍食品を使用したメニューの提案など、企業とのコラボレーションも積極的に展開している。
これらの活動について、教員は学生が専門知識を生かして、社会貢献できるようにサポートするが、基本的には2年生が中心となり、3年生が支えるというピアサポート形式のもとで、プロジェクトの立案から完成までPDCAサイクルを有効に回してあくまでも学生主体で行われている。その結果、学生の「自ら考えて学び取る力」が養われると同時に、地域の活性化にも貢献できるようになったと学内外から一定の評価を受けている。一方、有志で始めたプロジェクトが今では単位化され授業として整備されたものの、プロジェクトの活動を公正に評価し、とくに点数化する場合の難しさが課題となっている。それに対し、参加者からは、まずは個々の学生のプロジェクトへの取り組み姿勢、参加状況を中心に評価し、場合によっては学生同士の相互評価も有効的ではないか、或いは点数化する前にとりあえず5段階評価で試みるのはどうか、さらにシラバスの記載に工夫を凝らすことも評価しやくする方法の一つと考えられるなど、建設的な意見が多く寄せられ、今後もプロジェクト学習に相応しい評価方法を模索していく必要があることで一致した。
[文責:胡 秀敏]

冒頭、本プロジェクトが始まった経緯について説明された。
本プロジェクトは、主宰教員が内容等説明を行い、学生が自由に応募して取り組む形式で行われている。複数のプロジェクトに参加している学生も多い。2014年に、2~4年次生を対象とした学科カリキュラムとして単位認定(1単位)している。基本的に、学生主体で活動しており、教員は助言、サポートに努めている。プロジェクトによって参加学生の人数は異なり、取り組む内容や費やされる時間、負担の大きさは大きく異なる。従ってそれに連動して、評価の基準も異なる。

【プロジェクトの概要】
本サロンでは、学生食堂ソフィアにメニュー提案しているプロジェクト、「H&Bメニュー提案」を事例として話題提供された。食堂にメニュー提案するために学生は、①学生によるメニューの立案、②試作、③教員によるチェック、④メニューの決定、⑤ソフィア担当者の合意、⑥提供、⑦提供メニューの評価、を受けることになり、この一連の工程を繰り返しつつ、よりよき食事の提供を続けてゆくことが求められる。この工程で学生はPDCAサイクルを実践しつつ栄養士あるいは管理栄養士としての力を高めてゆくことになる。
このプロジェクト参加学生は、教員からの指導に加えて、上級学年の学生による下級生へのサポートや互いに教え合う(ピアラーニング)ことなどを通して学習を進めている。
これまで、本プロジェクトでは85食をソフィアで提供している。これをメニュー集として冊子にまとめ、学園祭で配布している。この取り組みは学生に負担をかけるが、モチベーションを高めることに繋がっており、また企業とのコラボのきっかけになることもあるなど、十分な教育効果をもたらしている。

【評価方法について】
成果物のみで評価するのではなく、作り上げるまでの過程や、一連の活動に参加することで単位認定している。具体的には、参加状況、取り組み姿勢、貢献度を基に評価している。

【課題】
健康・美プロジェクトには多数・多種類のプロジェクトが開講しており、評価の基準や評価方法は統一されているわけではない。学生が活動しているその場に教員がいないこともある上、大学以外での取り組み(自宅でのメニュー試作、プレゼンテーション資料の作成など)も多く、学生マネジメントも難しい。評価方法については、検討の余地が残されている。

以上の話題提供に対してフロアから質問や意見が出されたが、公平性を持った客観的な評価をするためにどうしたらよいのかという内容に集約していた。
・ルーブリックの様な評価基準を取り入れてはどうか
・点数評価の試みはしたことがあるか
・教員による評価に加えて学生による相互評価を行っている大学がある
・具体的な到達目標を掲げれば、それに対する到達度を評価できるのではないか
・学生個人ではなく、チームとして評価することは可能ではないか
・せめて5段階評価できないか
などの意見が出た。
[文責:海老沢 秀道]

FDサロンアンケート集計
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平成28年度 第1回FD講演会報告(6月22日実施) [2016年07月01日(金)]

開催日:平成28年6月22日(水)16:30~17:30
場所 :学園本部館3階 大会議室
テーマ:「高大接続改革の狙いと方向性~大学入試改革と新時代における高大接続のあり方~」
講師 :小林 浩 様(リクルート進学総研所長、リクルート「カレッジマネジメント」  編集長)
参加者数:166名

リクルート進学総研所長の小林浩先生を講師にお迎えし、高大接続改革の経緯と動向、そのねらいや今後の方向性について、詳細にご講演頂いた。講演全体を通じて小林先生が強調されていたのは、高大接続改革の目的は「入試改革」ではなく、高校教育・大学教育・大学入学者選抜の三位一体となった「教育改革」であることを理解しておかなければいけない、ということであった。要旨は次の通りである。
高大接続改革の発端は、2011年11月に中央教育審議会初等中等教育分科会に設置された高等学校教育部会で、20年ぶりに高等学校教育のあり方が議論されたことにある。準義務教育化した高等学校教育の質保証をいかに図るかが議論の焦点であり、高校学習到達度テストの検討などが今後の方向性として示された。その後、大学入学選抜の改善をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化に向けた方策が議論されてきたわけであるが、その背景には急激な社会の変化とそれに伴う必要とされる資質・能力の変容があった。総じて、変化が激しく予測できない社会において、主体的・能動的に「生涯学び続けられる人」をいかに育成するかが高等学校ならびに大学双方に求められるようになったと言うことができる。そのための一体的改革が高大接続改革である。
現在、次期学習指導要領の改訂に向けた議論が行われているが、今回の主たるターゲットは高等学校教育であり、高大接続改革と密接に関連づけながら大きな改革が構想・実行されようとしている点に特徴がある。他方の大学教育も高等教育のユニバーサル化の影響を受け、大胆な質的転換が求められており、各大学の独自性を打ち出す必要性に迫られている。いずれも「質保証」が共通のキーワードであり、大学教育の場合、そのためには、建学の精神や教育の理念に基づく三つのポリシー(ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシー)をより明確にし、入学から卒業までの一貫した教育マネジメント・サイクルを強化していくことが必要である。入学者選抜もまたポリシーに沿った多面的評価を企画・実施していくことが重要となる。
今、大学は「入学の国」から「卒業の国」実現に向けての大きなプロセスの中にあり、各大学の理念・ミッションに基づいた、その大学らしいその大学ならではの人材<独自性・個性>をしっかりと育成することが強く求められている。「本学」を主語にした主体的改革により、「学生が何を学び、何ができるようになったか」という学習成果(Learning Outcomes)に目を向け、その評価・検証を通じて、質保証の仕組みをいかに構築していくが重要課題であると言える。
約50分の講演後、文部科学省が掲げる方向性に対する大学のタイプによる反応・対応の違いや今後の予測、学習成果の評価・可視化の方法などについて質疑応答がなされ、盛会の内に終了した。

以上

平成28年度第1回FD講演会アンケート結果

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平成28年度新任教員研修報告 [2016年04月13日(水)]

日時:  平成28年3月26日(土)13:30~16:20
場所:  本学大学1号館2F会議室
参加者: 新任教員15名、副学長、各部長4名、国際交流センター長、FD推進委員長
FD推進委員2名

 平成28年4月1日以降採用の常勤教員を対象に、「本学の建学精神及び教育の特色・学生支援の制度についての理解を深める」ことを目的とした新任教員研修が下記プログラムで行われた。

・本学のFD活動について           FD推進委員長     吉田昌志教授
・教学全体にかかわる取り組みについて    教務部長       井原奉明教授
・学生の進路・キャリア支援体制について   キャリア支援部長   森ます美教授
・本学の入試・学生募集等について      アドミッション部長  藤島喜嗣准教授
・学生支援・クラス運営について       学生部長       山崎洋史教授
・国際交流・留学について          国際交流センター長  西川寿美教授
・本学の研究支援について          副学長        小原奈津子教授

 研修会前半では、まず吉田FD推進委員長から本学のFD活動についての報告に引き続き、井原教務部長から学習意欲を向上させるためのPDCAサイクルと授業運営上の留意点や個人情報の取り扱いなど、教学全体にかかわる取り組みについての紹介があり、森キャリア支援部長から就職に向けてのキャリア支援体制や進路動向の現状、インターンシップ、とくに本学独自の社会人メンター制度について、藤島アドミッション部長から入試・募集の現状や任務についてそれぞれ説明があった。
後半では、山崎学生部長から学生ならびに先生をサポートするための学生相談室、保健管理室、障がい学生支援室から成る大学健康管理組織、また学生生活や学寮研修などについての説明があった。本年度から新たに国際交流センター長からグローバル人材育成事業の取り組みと本学の海外プログラムの紹介、また副学長から研究倫理と学内外研究費の執行ルールについての説明が加えられ、より総合的な研修内容となった。研修会ではそれぞれのプログラムの間に質疑応答の時間が設けられ、新任の先生方から授業運営、学生支援、研究業績システムに関する積極的な質問や、研修参加にあたって、「具体的な分かりやすい資料をいただき、説明も簡潔で大変勉強になった」、「試験問題のつくり方、学生指導の実際事例等、今後伺ってみたい」などの感想や要望が寄せられた。
記録 FD推進委員  胡 秀敏

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平成27年度 第2回FD講演会報告(12月9日実施) [2016年01月22日(金)]

開催日:平成27年12月9日(水)15:00~16:00
場所 :学園本部館3階 大会議室
テーマ:「英語を使用言語とする国際教養の実践について」
講師 :重松優特命准教授(昭和女子大学人間文化学部国際学科)
参加者数: 71名

国際学科特命准教授の重松優先生を講師にお迎えし、英語を使用言語とする講義の実践例について詳細にご紹介頂いた。講演では、早稲田大学社会科学部の現代日本学教育プログラム(Contemporary Japanese Study Program:CJSP)や本学での講義を素材として、➀授業設計上の工夫、➁授業運営上の具体的方策、➂成功・失敗例から得た課題について指摘がなされた。要旨は以下のとおりである。
CJSPは、主にアジア諸国からの留学生と日本人学生が受講する英語による学際教育プログラムで、日本と世界、技術と環境、文化と歴史、社会と政治の4領域で構成されており、主に歴史・文化、ものづくり・環境、マンガ・アニメをテーマに日本学講義を担当してきた。
一口に国際教育といっても、履修者が日本人か留学生か、使用言語が日本語か英語かの組み合わせによって4つのタイプに分けることができる。授業を設計する際は、履修者構成によってニーズが異なる点に注意しなければならない。英語で日本学を教える場合、日本人学生のニーズは、日本学を素材に英語を学ぶという点にあり、留学の準備やアフターケアを期待する。一方、留学生の場合は、既に英語力が高く、日本学を学ぶ点にニーズがある反面、欧米での留学を断念した学生も多く、モチベーションを高める工夫が求められる。留学生には、潜在的に日本語力向上のニーズもあり、英語を使用言語として設計されたプログラムでは必然的に日本語学習時間が不足する。そのため、日本語と英語双方のケアを考慮する場面が出てくる。
また、国際教育授業では、少人数教育のための履修者数のコントロール、テキストの選定、授業内の時間構成にも工夫が必要である。特にキャンパス内の寮で学生生活を送る欧米では、週2回の50分授業と週1回のTAによるフォローで講義が構成される手法が一般的で、そうした感覚では、1回90分の日本の授業は長く感じる。そこで授業を、前説、講義、アクティビティの3要素で構成するよう設計している。
授業運営上の具体的方策については、シラバスを示しながら説明がなされた。普段の授業は、授業内容に関連したYouTube動画や最近のニュースなど軽い話題(前説)から入り、対訳で1次資料を紹介するハンドアウトを丁寧に準備しつつ、日本人と留学生の履修者構成を考慮し、英語と日本語を効果的に使用できるメディアとしてのマンガを活用して、資料のみでは窺い知れない人物や情景についても視覚的に理解できるよう、硬軟織り交ぜた授業運営を試みている。また、歴史・文化、ものづくり・環境、マンガ・アニメをテーマとしていることから、学生を現場に引率する特別授業や、落語家による実演、自ら撮影したビデオの放映を取り入れるなど、現地現物に触れる工夫を行っている。
学生に課す課題については、日本人には英語学習に資するよう、留学生には基礎知識を身につけられるよう、学生の習熟度に応じて設定し、エッセイ形式の期末テストに至るまでをサポートしている。また、学生が積極的にプレゼンテーションできるよう、学生が準備して臨む提案型の発表を組み込んでいる。
履修者構成が変わると授業の雰囲気も変わってくる。国際教育プログラム全体の課題には、コピペ対策、歴史問題への配慮、卒業後のキャリアパスのサポートなど様々あるが、特に、留学生と日本人学生が気軽に参加できるよう環境を整えることが重要である。
約50分の講演後、早稲田大学と本学の留学生の反応の違いや日本人学生の参加動機などについて質疑応答がなされ、盛会の内に終了した。

以上

平成27年度第2回FD講演会アンケート結果
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平成27年度 第2回FD講演会 開催のお知らせ [2015年12月08日(火)]

平成27年度 第2回FD講演会を下記のとおり開催いたします。

日 時:平成27年12月9日(水)15:00~16:00(予定)
場 所:学園本部館3階 会議室 
講 師:重松優特命准教授(人間文化学部国際学科)
テーマ:「英語を使用言語とする国際教養の実践について」
対 象:本学常勤・非常勤教員

多くの方の参加をお待ちしています。

平成27年度FDサロン報告(平成27年7月8日実施) [2015年07月17日(金)]

日 時:平成27年7月8日(水)15:00~16:00
場 所:学園本部館3階 会議室 
メインテーマ:「本学教員の実際の授業から学ぶ」
 第1グループ 「アクティブラーニングとピアラーニング ~学習時間増加と理解定着へ向けての試み~」
  講師:井原奉明教務部長(英語コミュニケーション学科教授)
  参加人数:33名 
 第2グループ:「遠隔授業の取り組み」
  講師:フスレ准教授(国際学科)
  参加人数:12名

(第1グループ報告書)
4月に開催した本年度第1回のFD講演会に続き井原奉明教授に講師をお願いし、アクティブラーニングとピアラーニングの実施例を通して意見交換を行った。
まず前半は井原教授による実施例の紹介が行われた。ウォーミングアップ・導入、ミニ講義+要約、プリント・グループ学習という授業の流れについての概略説明の後、ご自身の授業の様子を動画にて紹介いただいた。その後、授業の問題点とその対応・今後の改善策についてのコメントおよび学生へのアンケート結果の報告があり、後半の時間はそれらを受けて参加者とのディスカッションが行われた。
ディスカッションについては、井原教授から3点のトピックが提供され、それらに基づいて意見交換を行った。参加者から出された主な意見・質問は以下のとおりである。
(1)グループ学習における役割の固定化(教える側・教わる側の学生の固定化の是非)
・役割分担については自然に任せてよいのではないかと思う。
・実際に役割を替える試みをしたことがある。明らかに実力不足の学生をファシリテーターにした際は失敗感があった。ファシリテーターにとなった学生からはつらい思いが感じとられ、そのグループにあたった他の学生からは物足りなく思っている様子が感じられた。(井原)
・役割を固定化すると予習してくる学生はいつも教える側になり、教わる側が予習をせず手抜きをして授業に臨む可能性が出てくる。(井原)
・ファシリテーターとなる学生が固定化されていても問題はないのではないか。
・発言しないことが参加していないことでなく、リスニングすることで理解が深められればそれも役割を果たしていることになるのではないか。
・デザイン系のグループワークでは全員参加型の学習形態を心がけている。
・グループ学習の役割が固定化することはやむを得ないと考えている。グループワークの目的によっても役割を替えるかどうかは異なると思われる。(例:プロジェクト学習の場合、授業の場合)

(2)アクティブラーニングの情報提供量(アクティブラーニングは講義より情報量が落ちることへの対応、どの様な授業がアクティブラーニングに向いているのか。)
→座席の近い参加者同士の数分間の話合いの後、それらの結果を含めて意見交換がなされた。
・講義とアクティブラーニングの時間配分の工夫が必要なのではないだろうか。
・(周囲の先生方との話し合いで)アクティブラーニングを取り入れやすい学科や授業内容があるという認識をした。
・グループ学習をしている学生の判断内容が誤っていた場合、どのように対応すべきか。
・話合いのプロセスは必ずメモをとるようにさせている。方向がずれている場合、このままでは回答に向かえないと思われる場合は「このままだと答えにたどりつけないかも・・・」という程度で指示をしている。(井原)
・学習のクロージングをどのような形にするかが重要である。学生が作ってきたPowerpointを用いてもう一度教員が説明するということを行い、その中で必要に応じて修正しながら説明を行った。
・発表者学生同士で修正ポイントに気づくこともある。他のグループの意見によって修正がきくこともある。(井原)
・学生に対して間違ってもよいというシステムをつくることが重要である。

■参加者の先生方からの質問をもとにディスカッションを行いたい。(井原)
アクティブラーニングに適した人数について
→座席の近い参加者同士の数分間の話合いの後、それらの結果を含めて意見交換がなされた。
・200人規模の授業で、6人ほどで20〜30のグループに分けてグループ学習を行っている。内容は合っているが、人数の規模は合っていないと感じている。
・学科の特性から資格対応科目が多くアクティブラーニングの導入が難しい。ただし実験実習系の科目では4人ぐらいのグループ学習が効率がよいと思われる。
・アクティブラーニング導入の目的は学習時間を増やし目的をもって学習させるプロセスを身につけさせることである。普通教室で60人の規模は周りの音声が気になるなど集中できない。40人程度が適切と考える。(アクティブラーニングの導入には)設備や環境の整備も必要である。(井原)

(3)視覚教材の「権威性」(Powerpointや配布物が教員側による正解の提示と思われてしまうことの是非)→このテーマについては時間の関係上、ディスカッションが行われなかった。

1時間という限られた時間ではあったが、様々な学科の教員が参加し活発に意見交換を行うことができたと思われる。

(第2グループ報告書)
第2グループには参加者12名が集い、フスレ准教授からグローバル人材育成プロジェクトの一環として実施されてきた諸外国との遠隔授業(同期型かつ集合型)の成果と課題について報告がなされた。本学で本格的に遠隔授業が実施されるようになってから2年が経過したということもあり、その間に蓄積されたノウハウをはじめ、授業の様子や担当教員の評価、受講学生の反応・評価などが紹介された。
遠隔授業を実施することによる教育効果は、例えば、①直接当事者国の教員の「声」をその国の言語で聞くことによる内容理解の多角化・深化と言語習得の促進、②授業における臨場感や緊張感の醸成と維持、③授業内容への興味・関心の向上、などが挙げられる。総じて学生にとって非常にいい刺激になっていることが読み取れたという。一方で、実施上の課題として、①時差への対応、②1コマあたりの時間の違いや時間割の調整の困難さ、②各大学が異なるレベル(年式や性能など)のシステムを備えている場合に多発するトラブル、③著作権やプライバシーの問題、などがあるとされた。参加者からは、「国際的にシステムを統一しようとする動きはあるのか?」「アジア諸国と違いボストンとは時差が大きいため、どうすればいいか?」「謝金はどのようにしているのか?」などという質問が出され、フスレ准教授からそれぞれについてアドバイスがあった。
本学の場合、国内外の大学との遠隔授業を行う条件はすでに備えているため、今後、各学科の授業で遠隔授業が活用され、さらに展開していくことが予想される。その際、制度や体制の整備による大学間協議の充実やシステムの整備はもちろん重要だが、「言葉の壁より、どのように教えるか、どのように学ぶか、すなわち、教え方と学び方の改善がより重要ではないかと思われる」というフスレ准教授のご指摘を忘れてはいけないと感じさせるサロンであった。

FDサロンアンケート集計
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平成27年度FDサロン開催について [2015年07月03日(金)]

平成27年度 第1回FDサロンを下記のとおり開催いたします。

日 時:日 時:平成27年7月8日(水)15:00~16:00(予定)
場 所:学園本部館3階 会議室
     ※会場は参加人数に応じて決定する。
テーマ:「本学教員の実際の授業から学ぶ」

多くの方の参加をお待ちしています。
参加者について事前調査を行っておりますが、当日参加もできますので、積極的にご参加ください。

平成27年度 第1回FD講演会報告(4月22日実施) [2015年05月29日(金)]

日 時:平成27年4月22日(水)15:30~16:30
場 所:学園本部館3階 大会議室 
講 師:井原奉明 教務部長(英語コミュニケーション学科 教授)
テーマ:「アクティブラーニングとピアラーニング ~学習時間増加と理解定着へ向けての試み~」
参加人数:84名

本学におけるアクティブラーニング、ピアラーニングの実施例について、教務部長である井原奉明教授に講演いただいた。
まず井原教授の目指す「良い」授業についての確認があった。それは大きく2つの目標からなる。ひとつは学生に勉強(行動)しようと思わせ、勉強(行動)させる授業、そして身につけた力を自分のため、人のために活用する人を育てる授業とし、もうひとつは自立した学習者・努力する人を育てる授業とする。これらの具体的前提として9項目をあげて説明された。(履修者との信頼感「良い」雰囲気づくり/伝達スキル(視線、声の大きさ・高さ・速さ・質、表情等)/90分の中にメリハリ(緩急の並みをつくる)/熱意(立った姿勢でダイナミックに)/学生に対して学習目的を明確化(行動の意味づけ+目標志向態度の育成)/適切な高さのハードル(難易度)設定/わかりやすさ/「なぜ?」「どうして?」という質問を引き出す/手許資料にはなるべく目を落とさない。)
後半は井原教授が実際に行っている実践例を3つ紹介いただいた。
実践例1は反転授業・アクティブラーニング・ピアラーニングを組み合わせたものであり、事前に学習させた内容が授業に役立つことを認識させつつ、応用や発展問題を与え進化させることが必要であるとする。グループワークの教室環境や欠席者への対応などにおいて問題点もあるがその解決方法も試行している。受講した学生からは学習時間の増加や理解の定着度においてよい評価を得られている。
実践例2はアクティブラーニングとピアラーニングを導入し、質問と回答のいずれも学生が行うという授業である。学生が考えた質問に対して「○○(人物)役」になった学生が回答するというもので学生からは「とても面白かった」「他人の頭になりきって考えるのは大変だったけど自分の身になったと思う」といったコメントが寄せられた。
実践例3はアクティブラーニングを用いて授業の要約・参考書・講義資料づくりを行わせるもので、哲学の文章を制限字数で要約させ「内容」と「ロジック」について対話させる、あるいは用語集・練習問題を作成させPowerpointデータと解説スクリプトをつくらせたものである。受講した学生からは「哲学をもっと勉強したくなった。」「毎回の授業も課題も、これぞ大学の授業って感じです。」といったコメントがあった。
約50分の講演後、会場から質問を受け付けた。それらは実践例3の内容で要約づくりの際に「資料のことばを使わない(本文中の語句を切り貼りさせない)こと、「たとえば」という比喩をなるべく使わせないということに対するより詳しい説明を求めるもの、そして授業時学生から質問を出させる工夫について問うものであった。

                                                              以上

平成27年度第1回FD講演会アンケート結果
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平成27年度 第1回FD講演会 動画配信 [2015年05月08日(金)]

平成27年4月22日に開催いたしました「平成27年度 第1回FD講演会」の動画を掲載いたしました。
ぜひご視聴ください。

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 日 時:平成27年4月22日(水)15:30~16:30
 場 所:学園本部館3階 大会議室 
 講 師:井原奉明 教務部長(英語コミュニケーション学科 教授)
 テーマ:「アクティブラーニングとピアラーニング ~学習時間増加と理解定着へ向けての試み~」
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