特別講義「なぜ女子大はいるの?~『女』、『男』と大学について考えよう~」

現代教養学科で開講されている「社会問題概観」という授業では、受講者が現代社会や社会の諸問題の数々の中から課題テーマを一つ選択し、そのテーマと密接に関連した具体的事例を提示しながら報告します。そして報告に基づきながら受講者全員で議論するディスカッションスタイルの授業です。担当のシム チュン・キャット先生から多角的な視点で物事を考えることを学んでいます。

今回(2018年2月上旬)は、一橋大学社会学研究科の特任講師でデール・ソンヤ先生を特別講師としてお迎えし、「ジェンダー」というテーマで授業を行いました。通常の授業と同様のディスカッションスタイルで、受講者全員でジェンダーについて考えました。
「なぜ女子大を選びましたか?」「女子大のセキュリティーはなぜ厳しいですか?」「もし異性として生まれ変わったら?」「友達が妊娠したらその子供の性別を知りたい?」とソンヤ先生は私たちに次々と質問を投げかけてきました。ソンヤ先生はなぜこのような質問をしたかというと、性別がどのくらい私たちの人生に影響しているか気づいてほしいと仰っていました。

もし異性として生まれ変わったとしたら、家族関係、通う学校、仕事、人間関係、好きになる人との関係、趣味など、ありとあらゆることが変わるということに気づかされました。そして生まれる前から人は性別によって違う扱いをされるということ、親の望みや希望とジェンダーは結びついているため、時にプレッシャーに感じるということを学びました。また、女性に「男性だったら?」と質問した場合、自信を持って行動できる、医者になる、野球をする、などの回答が返ってくる一方、男性に「女性だったら?」と質問した場合は、ドレスを着たい、化粧をしてみたい、可愛くなりたい、など見た目を重視した回答が多いとも仰っていました。このような男女の発想の違いからも、日本人にはジェンダー的思考が染みついているということを知りました。

今回の授業を通して、当たり前のように過ごしている何気ない日々の生活や社会の中には、私たちが慣れきってしまっているだけで何から何までジェンダーと深い結びつきがあるということに気がつきました。女子大に通う私たちだからこそ、女子大の存在意義やジェンダーについて考え、社会の現状をそのまま受け入れるのではなく常に疑問視することが重要だと感じました。女性として生まれてきただけで知らないうちに限界を作ったり諦めたり妥協したりしている自分がいるかもしれないとハッとさせられました。近年まったく化粧をしないかっこいいソンヤ先生、世界を見る新しい眼を私たちに開かせて下さり本当に心から感謝です!

(記事:2年・磯部)