特別講義「スポーツとジェンダー」より:なぜ多くの女性はスポーツをしないのか?

現代教養学科で開講されている「現代社会と社会学」という授業では、身近な問題についてディスカッションをしながら、客観的な視点をもって現代社会に対する「疑う力」を養いつつ、担当のシム チュン・キャット先生から社会学の基礎を学んでいます。7月10日にこのインタラクティブな授業に特別講師として登場していただいたのが、ローレルゲート株式会社代表取締役・日本アクションラーニング協会認定コーチの守屋麻樹先生でした。

スポーツにおいて、競技者ならびにその競技者を支援する人々や観客は、国境、人種や性別の垣根を越えてみな平等な存在であるはずです。オリンピックはまさにそれを象徴するものであり、「平和の祭典」と称される所以がここにあります。しかし守屋先生のお話を伺い、スポーツには平等とは言い難い、現実があることに気づかされました。

今回のテーマである「スポーツと女性」は、私たちの潜在的な感覚に疑問を持たせました。例えば、スポーツ実施率では20代~30代の女性が極端に低く、これは育児、家庭、仕事に追われる女性の時間の無さにも原因があると考えられます。また、女性の競技指導者が少ないのも、古くからの慣例やスポーツにおける女性地位の低さが主因なのでは?という意見もディスカッションで出ました。

私たちは、いつの間にか現状を受け入れてしまい、それがおかしいという感覚さえも無くしてしまったかもしれません。体力や筋力における男女差は確かに存在するでしょう。ただ、それが意識の差になってはいけません。スポーツの中で勝負するのはあくまで対戦相手であり、性差や組織や慣例であってはいけないと強く思いました。そもそもスポーツとは、楽しく体を動かし健康維持や健全な心身の育成を目的として行われるべきではありませんか。

これはスポーツだけにとどまらず、あらゆる業界で言えることです。環境の改善には時間がかかりますが、そのきっかけとして私たち女性が「当たり前」の現状に疑問を持つことが重要な出発点となるでしょう。社会が女性をつくる、そんな現実が社会の広い分野でまだ根深く残っていると感じさせられました。そのことを改めて気づかせてくださった守屋先生、本当にどうもありがとうございました!

(記事:2年・大塚)